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主席研究員 山田慎也 のコラム

  • 主席研究員 山田慎也
  • No.70

「大人が趣味を楽しむまち・静岡」の提案

静岡県は、プラモデル、楽器、オートバイなど趣味に関連する産業が集積している。ということは、関係企業の社員を含めて、その分野を趣味として楽しんでいる住民がたくさんいるはずだ。そこで、その人たちが中心となり、経験が全くない人でも趣味の世界へ入ることができる仕組みをつくることができないだろうか。たとえば、学校の部活動のように、多くの住民が参加する"住民クラブ活動"のようなものはどうだろう。
住民クラブ活動の候補としては、前述した「プラモデル制作クラブ」、「楽器アンサンブル・クラブ」、「バイク・ツーリング・クラブ」のほかに、「クラウンメロン園芸クラブ」(賞味含む)、「モータースポーツ・クラブ」(自動車産業と富士スピードウェイがある)、「お茶づくり・煎茶道クラブ」、「オリジナル家具制作クラブ」、「サーフィン・マリンスポーツ・クラブ」など、書ききれないほど考えられる。
まずは、自分たちが"楽しむ"ことに関しては負けないクラブにする。その分野の人にしか分からないディープな楽しさが沢山あるほうがよい。実際に生産に携わっている人や、専門的な知識をもった人が県内に在住しているので、そう簡単に他の地域に真似されるはずはない。
しかし、同時に重要なことは、初心者でも簡単・手軽に楽しさを体験できるクラブにするということ。住民が心から趣味を楽しんでいれば、その世界に入りたいと思う人が増えるはず。その人たちをスムーズに受け入れる仕組みが必要だ。東京から日帰りで気軽に参加できるクラブ活動がある"大人が趣味を楽しむまち"として、静岡県をブランディングして発信できれば、交流人口の増加が期待され、さらには関連する仕事があれば定住にもつながるかもしれない。しかも流入してくる人々は、まさに住民と"趣味の合う人たち"なのだ。
住民クラブ活動は、できれば県や自治体公認の方がよい。趣味は、住民の幸福度を高め、健康増進にも効果があるはずで、県が推進する健康長寿日本一の施策とも合致する。
もちろん、県外住民のクラブ入会も大歓迎で、その際、自治体公認の方が参加する人々に安心感を与える。
静岡県は、日照時間が長く、首都圏に近いなど、すでに立地条件からみても"趣味のまち"としての優位性がとても高い。住民クラブ活動は、シティプロモーション効果、交流人口の増加、若者のU ターンや移住・定住の促進、高齢者の社会参加などの効果があり、地元産業の振興にもつながる。地方創生策としてなかなか有益だと思うが、いかがだろうか。

投稿者:主席研究員 山田慎也|投稿日:2016年10月31日|

  • 主席研究員 山田慎也
  • No.63

2017年新卒者の採用活動スタート、オール静岡で支援を

 3月1日、2017年の新卒者向けの会社説明会が解禁となり、採用・就職活動がスタートした。経団連が示す採用スケジュールを巡っては紆余曲折があり、結局、2年連続の変更となった。会社説明会の開始は昨年と同じだが、面接等の選考開始は、一昨年の4月から昨年は8月へ、今年は6月となる。
 選考解禁が大幅に後ろ倒しになった昨年は、特に地域企業で採用活動が混乱した。それまで、大手企業の採用が一段落してから採用活動をしていたが、大手の採用決定が遅れたことで、内定辞退の発生や、学生と接触する時間が十分確保できないなどの事態となった。
 その結果、1月になってもまだ4割の企業が採用活動を継続しており、採用計画を充足できそうな企業は2割にとどまる状況だ(就職支援財団調べ)。若年人口の減少や景気回復で大手企業が採用を増やすなど売り手市場となった影響もあり、地域の活力源である地域企業の採用難が、深刻な事態となっている。
 今、地方の課題の一つは人口減少への対応であり、人を呼び込むには雇用の場=企業の採用確保が必要だ。特に地域企業では事業を成長させるために必要な人材を確保することが不可欠である。地域企業の採用と新卒大学生の就職をサポートすることは、地方にとって最重要課題であり、産学官民が一体となってこの課題に取組む必要がある。
 静岡県では、県内大学と経済団体、および行政機関が一堂に会する「しずおか産学就職連絡会」が4年前から活動しており、採用と就職のミスマッチ解消のため、企業と学生の"顔が見える"関係づくりに向けて連携をとっている。そうした情報交換の場から、学生がこれまで志望対象としていなかった企業を新たに発見できると評価が高い対話型交流会を中心とする「静岡型採用サポートシステム」の仕組みが広がるなど、成果が出始めている。
 採用・就職支援は、各自治体や商工団体等が個々に実施しているのが実情で、肝心の学生に地域企業の情報が十分に行き届いていない。特に首都圏等の学生に対する情報発信や地域企業との出会いの場の設定は、静岡県全県で連携して一体的に行う必要があり、オール静岡の体制づくりが期待される。
 さて、今年の大手企業の選考開始は6月からだが、経団連に加盟していない企業の動きなど予測できない部分があり、地域企業は、これまでより一歩踏み込んだ採用活動を早めに開始することが重要だろう。当所では、中小企業に適した採用手法を解説する「新卒採用実践講座」を緊急開催(2016年3月23日、詳細はこちら)するので、ぜひ、参考にしていただきたい。

投稿者:主席研究員 山田慎也|投稿日:2016年03月03日|

  • 主席研究員 山田慎也
  • No.54

有効求人倍率、同じ1倍だが…

 静岡県の有効求人倍率が回復している。リーマン・ショックによる景気後退で、平成21年には0.4倍(季節調整値、新卒除く)を下回る月もあったが、そこから徐々に回復して、昨年1月にはようやく1倍を超え、現在は、1.13倍(平成27年1月)となっている。
 雇用のバロメーターである有効求人倍率は、企業の求人数が、職を求める求職者数の何倍あるかを示した数値。求人数が求職者数を上回れば1倍以上となり、働こうとする人にとって、職に就きやすい状況といえる。
 さて、リーマン・ショックの前にも、ちょうど1倍だった時期があったのだが、当時と現在とでは、同じ1倍でも中身が異なる。その違いを見てみよう。
 まず、企業からの求人数。リーマン・ショックによる景気後退が始まった平成20年9月の求人数は5万5千人(求職者数も5万5千人)。それに対して、26年6月の求人数は6万3千人(求職者数も同じ)と、8千人も多い。最近の求人数も6万5千人?6万7千人で推移しているが、実はこの水準は、ここ20年間の静岡県内の求人数の最大レベル。企業の求人ボリュームが最高の状態の中、求職者数が徐々に減少することで(職に就くことで)、有効求人倍率が改善している状況といえる。
 そして、求人の内容も異なる。まず、求人数のうちパートの求人が、景気後退前と比べて5,600人増加、求人数に占める割合も32%から37%に高まっている。また、業種別の新規求人数を比べると、製造業が約▲800人、卸・小売業では約▲900人減少する一方、社会保険・社会福祉・介護事業では約1,500人も増加している。さらに、求人企業の規模では、従業員29人以下の企業が約4,800人増加する一方、従業員30人以上の企業では約▲2,600人の減少。 つまり、企業側は求人を最大レベルまで増やしているが、その中身は、景気後退前と比べて、パート、介護事業、零細事業所の求人が多いのだ。そして、企業側から見れば、これらの求人が充足しにくくなっている点も重要である。
 求職者数の方は、リーマン・ショックによる景気低迷期の平成21年には、一時9万人まで膨らんだが、就職が進んで現時点では5万人台まで減少。中長期的には人口減少圧力もあり、企業側からすれば、求人しても人がなかなか採れない、“人手不足の時代”に入ったといえる。
 これからは、有効求人倍率が1倍を上回ったら、雇用環境が改善したと安心するだけでなく、企業の人手不足が深刻化し始めるサインという側面にも、留意しなければならないだろう。

投稿者:主席研究員 山田慎也|投稿日:2015年04月01日|

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