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  • 主席研究員 山田慎也
  • No.78

変化してきた"働き方"と今後の視点

最近、働き方改革や大卒者の就職戦線など、企業の人手不足が深刻化していることもあり、就労問題が注目されることが多くなっている。働き手といえば、現在では、企業などに勤めるサラリーマンが当然のことのように想定されるが、以前は事情が違っていた。
約60年前(1954年)の雇用形態別の就業者割合をみると、自営業主が約25%、家族従業者が約32%と、自営・家族経営的な働き方が約6割を占め、企業などに雇用されている人は半数以下だった。つまり、若者が働くといえば、以前は農業や個人商店など、実家の家業を継ぐか手伝う人が相当数いたのである。
その後、産業の工業化・サービス業化が進み、高校や大学を卒業した後の就労先が、企業に正社員として雇用されて賃金を得る形に変化してきたわけである。その結果、現在(2016年)では約9割が雇用者となっている(自営業主8%、家族従業者2%)。
ちなみに、同期間には高学歴化も進行し、大学進学率は7.9%(男性13.3%、女性2.4%)から52.0%(男性55.6%、女性48.2%)へと大幅に高まった。半数以上の若者が大卒・雇用者へと進むのだから、大学生の就職・採用が社会問題化するのは必然といえる。
こうした変化を踏まえれば、企業組織での働きやすさが、多くの国民の幸せに影響するわけで、やはり働き方改革は重要である。ワークライフバランス(過度な長時間労働の是正など)は、すべての企業に共通する課題といえるが、特に中小企業では、以前の自営・家族経営的な働き方の良い面を引き継ぐ視点があってもよいだろう。
従業員の育児・介護への臨機応変の配慮や、ボランティアによる地域貢献、また、企業と従業員の家族とが一体的な親密さを築いていくこともよいかもしれない。こうしたアットホームな組織運営は、中小企業の人手確保や定着にも有効だろう。行政も、こうした企業を積極的に支援すべきである。
一方、地域の視点から言えば、地域に根付いていた自営・家族経営の消滅が進み、大学進学率が高まったことが、人口流出にも影響を与えたといえる。これからは、高学歴の人材を地域で育て、有効に活かす方策を真剣に考えていかなければならない。
企業誘致による雇用創出も大切だが、自営・家族経営が担っていた地域コミュニティを再構築するような、地域密着型の"新しい自営業"を生み出す起業促進が必要ではないか。地域企業の企業内起業やスピンオフ奨励なども、有能な人材を地域に根付かせる可能性がある。人口減少を見据え、地域としての新しい働き方を模索する視点が求められている。

投稿者:主席研究員 山田慎也|投稿日:2017年07月31日|コメントを書き込む

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