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  • 主任研究員 冨田 洋一
  • No.108

「キッチンカー」を起点とした 地域活性化に期待

私の家の近くでは、昨年秋から毎週金曜日と土曜日の午後6時頃から3時間ほど"夜鳴きラーメン"の軽トラックがチャルメラの音色を響かせて地域を周るようになった。どうやら、かき入れ時である夜の時間帯の来店客が減少したため、店舗で来店を待たず、自らお客様の元へ出向くことにしたらしい。

新型コロナの影響で飲食店では、客席数を減らし、換気装置や空気清浄機を設置し、来店客が入れ変わるたびに座席やメニューを拭き上げながら営業を継続しているが、売上高は前年を大きく下回る状態が続いている。このため、「キッチンカー」や「フードトラック」など、"移動販売車"で活路を見い出そうとする飲食店が増えているようだ。

最近のキッチンカーは、夜鳴きラーメンのように住宅街で呼び込みをしながら走るケースは少なくなっており、駐車場やイベントスペースで、昼間に飲食物を提供するスタイルが主流となっている。安定した集客が見込める食品スーパーやドラッグストア、ホームセンターなどの店舗入口付近の駐車スペースでは、食欲をそそる香りを漂わせているのを目にする機会も多くなった。

ちなみに、キッチンカーで営業を始めるためには、露店等の営業許可と、「食品衛生責任者」の資格が必須となる。新店舗開設に比べれば初期費用は安いとされるが、キッチンカー本体と調理器具、備品などで最初に200?300 万円、営業場所の使用料や出店料、キッチンカー保管スペースの駐車場代などで毎月10?20 万円、そのほかに食材代や燃料代などが必要になる。

こうした中、大阪府豊中市では、行政がキッチンカーの営業を支援する実証実験を昨年から始め、今年4月からは対象エリアを市内全域に拡大し、出店する事業者も20者近くまで増加した。公園や住宅街の一角に出店させることで、住民が店舗に出向かなくてもシェフの料理が味わえると好評だ。行政としても住民の利便性向上に加えて、災害時における食事提供方法としてキッチンカーの有効性を検証しているそうだ。

そもそもキッチンカーは屋外での営業が基本なので雨や風に弱いが、店舗に比べて新型コロナの感染リスクは相対的に低いとされ、withコロナの状況下でも展開がしやすい。

しかもキッチンカーは、住宅街やオフィス街などの需要が見込める地域をピンポイントで狙って営業ができる点が強みである。メニューを絞り込めば、食材確保や料理工程も効率化することができる。また、コロナ禍で現場に立つ経験が減った若手料理人にとっては修行の場にもなり、雇用を維持することにもつながる。

静岡県内でも、行政による単純な飲食店の経営支援にとどめず、キッチンカーを起点として、住民の利便性向上や地域活性化に取り組むことで、新型コロナで沈みがちな地域に活力が戻ることを期待したい。

投稿者:主任研究員 冨田 洋一|投稿日:2021年09月06日|

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