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研究員 青嶋一浩 のコラム

  • 研究員 青嶋一浩
  • No.0377

地元を知る機会

 先日、高校時代お世話になった先生に誘われて、とある高校で行われた地理の野外実習授業を見学した。その内容は、地図を片手に高校の周辺地域を歩き、地理の授業で学んだ地図記号の読み取りや現在地の標高を確認することや、周辺の歴史遺産や街並み、名称などからその地域の特徴や変遷を理解することであった。普段、現在地の標高や地域の標高差を気にする人はほとんどいないだろう。しかしいざ地図上で確認すると、住宅街をほんの数10m歩くだけで2〜3mの標高差があることに気づく。そして道路の起伏や住宅の高さを比べるとその高低差を肌で感じることができる。その高校は海から近い位置にあり、その地域の標高を認知することで、「東日本大震災級の津波がきたらどうなるか…」、「もっと標高が高く安全な場所はどこだろう…」と考えはどんどん膨らみを増してくる。

 また、その地域では最も標高が高い35mほどある秋葉山の上に、地元では「秋葉さん」として親しまれている秋葉寺がある。なぜ最も標高が高いところに秋葉さんがあるのか、秋葉さんは地域にどのような影響を与えているのか、秋葉さんとAKB48は関係があるのか…など今まで身近にあったにも関わらず興味を持たなかったことにも、いざ認知するとさまざまな疑問や発想が浮かんでくる。

 社会人になると、よく「高校や大学で学んだ学問は、社会に出るとほとんど利用することがない」という声を聞く。たしかに地理に関しても地図記号や世界の地名、事象を記憶しているだけでは灯台もと暗しで、日常の実務にはあまり役立たないだろう。しかし今回の野外実習もそうであるが、就職活動において自分の身のまわりに長く根付いている産業や、独自の技術や個性を持っている中小企業に目を向けるなど、今まで学んできた知識や考え方を身近なことに当てはめることで新たな発見や出会いの足がかりが生まれるだろう。

投稿者:研究員 青嶋一浩|投稿日:2011年12月20日|コメントを書き込む

  • 研究員 青嶋一浩
  • No.0366

「いつもどおり」を当たり前に行う難しさ

 夏の風物詩と言えば、夏の甲子園、ならびに全国高校総体もその1つであろう。今年も全国各地で高校生たちが、それぞれの目標に向かって熱戦を繰り広げている。そんな中、先日私は、高校総体静岡県予選に出場した母校弓道部の応援のため、静岡県武道館に駆けつけた。

 ここで弓道について基本的な説明をしておくと、弓道は弓を引く「射場」から28m先にある、直径36cmの円形状の的に矢を射る競技である。勝負の判断は極めてシンプルであり、的の中心、隅に関わらず的枠内に矢が収まれば○、外れれば×であり、より多く的中したものが勝ちである。言い換えれば、的から外さない限り負けることはない。的が動くことはないため、自分自身の技術と精神力をどこまで維持できるかが勝負の鍵を握る。

 母校の高校生たちは試合本番でも普段通りの射(弓の引き方)ができるよう、熱心に稽古に取り組んでいる。しかし試合になると、独特の緊張感による気持ちの変化や、体力の消耗による射の変化により、精一杯の弓を引いても的枠から逸れてしまう矢が多くなる。結局、後輩たちはあと一歩のところで全国高校総体出場を逃してしまった。試合で緊張することも「想定内」であり、それを受け入れ克服できるよう稽古に励んできたはずだ。しかしどんなに稽古をしても、大事なときに「いつもどおり」を当たり前に行うことは、やはり難しい。
 
 先般の大震災においても、大事な時に「いつもどおり」を当たり前に行えたかで、その後の命運を分けたケースが多々報道された。その中で東京ディズニーリゾートの対応は良いケースとして話題となった。震災発生時に、ゲスト(お客様)に対してキャスト(従業員)が「想定内」の事態として、冷静に対応して混乱を防いだという報道は記憶に新しい。しかし、一方で大部分が「想定外」の事態として、いつもどおりの対応が当たり前にできなかったのは残念なことである。

 さて、話を戻すが今年の全国高校総体は、被災地となった岩手、宮城を含む北東北地域で行われる。ぜひ選手の方々には、日頃の練習の成果を発揮し、「いつもどおり」の素晴らしいプレーで被災地に感動の輪を拡げて欲しい。がんばれ、高校生!

投稿者:研究員 青嶋一浩|投稿日:2011年06月29日|コメントを読む(1)コメントを書き込む

  • 研究員 青嶋一浩
  • No.0361

鉄道の節電に思う

 先日、用事で川崎市へ向かう機会があった。川崎市は東京電力管内、つまり計画停電対象地域であるが、日中JR南武線の電車に乗ると、駅発車直後に車内灯が消えた。
車内灯が消えると、はじめは少し暗くなり違和感がある。しかし、徐々に目が馴れると、車内の明るさに不自由さはなく、むしろ自然の光による明るさがさわやかで、落ち着きと涼しさがある空間に感じられた。一方、主要駅に停車すると再び車内灯が点灯しだす。消灯状態に慣れたためか、点灯すると明るすぎて、眩しさや暑さを覚えた。

 このような鉄道における車内灯の減灯は、静岡県内でも東京電力管内である富士川以東の路線では既に行われている。また、浜岡原発稼動中止の影響を受け、中部電力管内の鉄道会社でも、車内灯の減灯や冷房温度の設定変更などが検討されているようだ。
これまでは鉄道の場合、当たり前のように車内灯が日中も点灯されていた。これは、静岡県内の鉄道会社によると、お客様へのサービス向上の一環として、10年ほど前から行われているようだ。一方で、その他の身近な公共交通機関、たとえば路線バスやタクシーでは、日中に車内灯がつけられている光景を見かけることは少ない。

 「過ぎたるは尚、及ばざるがごとし」という故事成語があるが、電車における日中の車内灯も過ぎたるものの1つではないだろうか。今回の震災による節電対策を機に、電車以外でも、過ぎたる電気、及び過ぎたるサービスを見直してみてはどうだろうか。これら過ぎたるもののなかには、「無くても良かったもの」だけでなく、「無いほうが良かったもの」も多分に見つかるであろう。今後の生活環境においては、「無いほうが良かったもの」を見極め、無駄のない豊かさを作り出すことが、求められてくると思う。

投稿者:研究員 青嶋一浩|投稿日:2011年05月30日|コメントを書き込む

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