主任研究員 田中敏孝 のコラム
- 主任研究員 田中敏孝
- No.0375
秋入学で大学の国際化は進むか ~注目される国際教養大学の取組み~
海外での生産や販売、出店など、企業の国際化が進行していると言われている。また、それに伴い、企業内における人材の国際化も急務であるとされ、筆者も今年のまんすりー7月号で、外国人留学生の活用について取り上げさせていただいた。しかし、人材の国際化は、長い目で見れば、日本人、特に若年層の国際化が必要であり、社内で国際的な人材を育成することは困難であるため、あらかじめ国際的な人材を採用することが手っ取り早い方法といえよう。そこでカギを握るのが、企業に人材を送り出す大学が、いかに国際的な人材を養成していくかいうことである。
こうした中で、現在議論されているのが、大学による秋入学の導入である。つまり、大学の入学時期を現在の4月から、グローバルスタンダードでもある9月に移行することで、外国人学生の日本留学、日本人学生の海外留学といった往来を活発にし、大学の国際化、ひいては国際的な競争力の向上を図っていこうというものである。
東京大学が現在、秋入学制度の導入を検討しているが、実は、すでに導入済の大学があることはあまり知られていない。秋田市にある国際教養大学である。2004年に開校した同学は、秋田空港近くの山中にある公立大学で、学生数は820名(2011年4月現在)と少ないが、秋入学だけでなく、他の大学とは異なる様々な特徴を持つ。学部は国際教養学部のみであるが、全ての授業が英語で行われている。また在学期間中に、1年間の海外留学が義務づけられ、提携大学は欧米からアジア、オセアニアなど全世界に及ぶ。授業が英語で行われ、キャンパス内に外国人留学生が多いことから、同大学にとって海外留学はそれほど必要性は高くないと思われるが、同大学の学生によれば、海外留学は、もちろん言語能力を磨く場でもあるが、むしろ、異文化と接する中で思うようにいかないことが多く、自分自身で意思疎通を図って問題解決を図っていかなければならないため、精神的なタフさが身につくことが最大のメリットであるらしい。このような海外留学の効果もあって、国際教養大学は、2007年度に初めて卒業生を送り出してから、新日鉄、三菱重工、ソニー、住友商事など、名だたる企業に人材を輩出するようになっている。
筆者も、1998年に中国上海において、語学研修という形で、秋入学を経験している。そこでは、外国でなければ感じることのできない空気、得られない経験を得ることができた。
今日の国際情勢にあっては、日本はもはや、政治や社会、経済、さまざまな方面で、島国根性を持ち続け、実質的な鎖国状態を維持することは許されない状況にある。現在はどちらかと言えば内向きといわれている若者が、今後は積極的に世界への扉をノックしていくことを期待したい。
投稿者:主任研究員 田中敏孝|投稿日:2011年10月28日|コメントを書き込む














