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調査研究部長 山田慎也 のコラム

  • 調査研究部長 山田慎也
  • No.93

巨大都市圏の際(キワ)にある静岡

静岡県では、転入から転出を差し引くと、年間約▲5.6千人の人が県外に流出している。流出先は、東京都と神奈川県で▲5.6 千人とほとんどが首都圏である。雇用の場や商業など都市機能の差が理由として指摘される。
都市機能の充実度は人口規模に比例する。静岡県の人口365万人に対して、東京駅から半径50km圏の人口は3,500万人と、静岡県のざっと10倍である。さらに人口70万人弱の静岡市と比較すると、なんと50倍となる。静岡市の市外流出は年間▲1千人で、やはり東京都・神奈川県への流出がほとんどだが、都市機能50 倍の巨大都市に、移動時間1時間の距離で"隣接"しているのだから無理もないともいえる。
これを逆に東京側から静岡をみてみると、興味深いことがわかる。
まず、東京駅50km圏内には、横浜、川崎、千葉、さいたまなどの大都市が含まれるが、このエリアは通勤圏で一体と考えてよい。
その外側の東京駅50km-100km圏には、宇都宮や高崎、前橋、そして県内では三島が含まれるが、新幹線駅があれば通勤可能圏といえるだろう。
さらに、その郊外の100km-150km圏に、静岡市のほか、甲府、那須塩原、ひたちなか、日立などがある。ひかり級の新幹線であれば1時間なので通勤は不可能ではないが、交通費も考えると相当厳しくなる。そして150km以上離れると、東京からの独立性が強くなる。
それでは、東京都市圏の"郊外"にあたる、50-150km圏のエリアに立地する都市の中で、最も人口規模が大きな都市はどこか?それが静岡市70万人である。次の宇都宮52万人、高崎37万人と比べて、東京50km以上の郊外では、静岡市がダントツ1位の都市なのだ。
このことは何を意味するのか。東京の立場から見れば、東京圏内で人が足りない場合に、まず、静岡県がターゲットとなりやすいといえるのではないか。たとえば少子化を背景とする大学生の確保難などでは、相応の吸引力が我が県にかかっていると思われる。
つまり静岡県(特に静岡市以東の都市)は、都市機能50倍以上の大都市圏の際(キワ)、通勤から移住の境目に位置している。しかも際の都市群の中で静岡市が最も大きく、だからこそ、首都圏からの最も強い移住吸引力を受けていると推測される。
ではどうすべきか。こうした巨大都市圏との隣接を前提として、逆に交流人口の獲得など、そのエネルギーを取り込む視点が必要だ。さらに、安価で安心して生活・子育てできることをPRする「30歳になったら静岡県!」(静岡県)や、地方での健康的な生活を高齢者に提供する「CCRC」、地方で能力発揮の機会を提供する人材マッチングなど、首都圏民が抱える課題に対してソリューション(解決策)を提供する発想が、首都圏郊外トップ都市のアドバンテージ(優位性)を活かした、静岡活性化のカギといえるのではないか。

投稿者:調査研究部長 山田慎也|投稿日:2019年07月01日|コメントを書き込む

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