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研究員 大石彰男 のコラム

  • 研究員 大石彰男
  • No.0374

伊豆半島の“ジオパーク”認定に向け動き始めた静岡県

 ジオパークというものをご存知だろうか。ジオパークとは、大まかにいえば、学術的価値を持った地形や地層などの自然遺産を用いて、その土地や地球の成り立ちを知ることができる自然の中の公園のことである。ただし、ジオパークの対象となるのは、地形や地質だけに限らず、その地域の自然環境を利用して培われてきた人々の歴史や暮らし、つまり、特産品や食べ物なども構成する要素として含まれることが特徴としてあげられる。
 日本には現在、日本ジオパーク委員会が認定した「日本ジオパーク」が20地域ある。一方、世界には、今年9月時点で、27カ国の87地域に「世界ジオパーク」があるが、世界ジオパークに選ばれるためには、まず、日本ジオパークの認定を受けた後、世界ジオパークネットワークによる審査を受け、認定される必要がある。ちなみに、現時点で世界ジオパークに認定されている日本のジオパークは、洞爺湖有珠山(北海道)、糸魚川(新潟県)、島原半島(長崎県)、山陰海岸(鳥取県、兵庫県、京都府)、室戸(高知県)の5地域となっている。

 ところで、ジオパークと似た感じのものとして世界遺産があるが、どこに違いがあるのだろうか。世界遺産は、多国間の世界遺産条約に基づいてユネスコが制定しているもので、顕著な普遍的価値を持つ文化遺産や自然遺産の保護を主な目的としている。一方、ジオパークは、ユネスコの支援によって2004年に設立された世界ジオパークネットワークが認定する自然公園であり、その主な目的は、地球科学的に貴重な自然遺産を保護しつつ、それらを地域の教育や科学振興、および観光事業に活用し、持続可能な方法で地域を活性化させることとなっている。つまり、世界遺産が対象物の保護・保全に重点を置いているのに対し、ジオパークは、対象地域の保護と活用の両方を重視しているのである。

 このたび、富士山の世界文化遺産への申請が決まったが、静岡県では、伊豆半島のジオパーク認定を目指す取組みも始まっており、今年3月には、「伊豆半島ジオパーク推進協議会」が設立された。伊豆半島は、かつて日本の南洋にあった火山島であったとされ、フィリピン海プレートの北上によって本州に衝突し、火山活動を経て現在の伊豆半島が出来上がったといい、世界的にも珍しい成り立ちだといわれている。また、大室山や堂ヶ島海岸といった地質・地形学的に貴重な自然資源だけでなく、伊豆半島の自然をもとにしてこれまで営まれてきた生活が生み出した棚田やわさび田のほか、火山信仰の神社や豊富な温泉など、伊豆半島の持つ豊かな資源はジオパークにふさわしいものだといえよう。ジオパークとして認定されるためには、これら自然環境の存在だけでなく、ツアーガイドの養成や各ジオサイト(見どころ)の理解など、地域住民の主体的な行動が重要になってくる。今後、行政機関だけでなく、地域全体で盛り上がっていくことで、ジオパーク認定に向け前進していってほしいと思う。

投稿者:研究員 大石彰男|投稿日:2011年10月24日|コメントを書き込む

  • 研究員 大石彰男
  • No.0360

大震災の発生であらためて再確認される地域建設事業者の重要性

 東日本大震災の発生から2カ月が経過した。いまだに被害の全容が把握できないなど、まさに未曾有の大災害となってしまったが、震災の発生で、あらためて、地域における建設事業者の重要性・必要性が再確認される機会になった。
 今回の震災で、被災地の建設事業者は、自身が被災者となったにも関わらず、人命救助や復旧作業にいち早く動き出し、現在も、復興に向けて懸命の作業を行っている。また、被災地以外の建設業者も、人材や機材の提供を惜しまず、復旧に向けて最大限の協力体制を敷いており、全国の建設業者が一丸となって、今回の危機を乗り越えようとしているのである。

 これまで、建設業界には向かい風が強まっていた。2年前の衆議院選挙で、「コンクリートから人へ」のスローガンを掲げる民主党政権が大勝したことで、縮小傾向が続いていた公共工事への予算は、さらに大幅に削減され、民間工事もリーマン・ショック以降、大きく落ち込んだままの状態が続いている。この間、疲弊した建設事業者の倒産が相次いだ。もし、大震災など自然災害が発生した際に、その地域に建設事業者がいない、などといった事態が起こったとしたら、その地域の復旧は誰が担っていくのだろうか。
 静岡県でも、承知の通り、M8程度と想定される東海地震は、30年以内の発生確率が87%であり、今すぐに起きても不思議ではない状況となっている。また、もし、東南海・南海地震と連動で地震が発生するようなことになれば、東日本大震災並みの規模の地震や津波が起きる可能性もなくはない。さらに、最近では、大規模な水害が毎年のように発生しており、昨年は、静岡県内でも小山町が甚大な被害に見舞われている。
このようなことからも、地域に根ざした建設事業者の存在は非常に重要である。

 もちろん、公共工事の予算については、これまで疑問の声が大きかった、いわゆる“ハコモノ”的な公共事業は見直されるべきである。また、建設事業者は、生産性の向上や徹底したコスト管理など、自社の収益を計上するために最大限の自助努力が必要である。今後は、新しい建物を作るだけではなく、災害に強い国土づくりを目指すためにも、建物の耐震化や施設の維持・補修といった分野に予算を重視し、建設事業者もそこで力を発揮していくことが求められよう。特に日本では、コンクリートや鉄で作られた施設、例えば、橋梁やトンネルといったものの中には、高度成長期に建設されて長期間経過したものが多く、その機能性を維持する必要性に迫られている。地域に密着し、地域の守り手となることが、これから求められる建設事業者のあるべき姿であるように思う。

投稿者:研究員 大石彰男|投稿日:2011年05月20日|コメントを書き込む

  • 研究員 大石彰男
  • No.335

屋外の定番イベントとなったロックフェスティバル

近年、夏を中心に、野外でのロックフェスティバル(以下、ロックフェス)が全国各地で盛んに行われるようになってきた。ロックフェスとは、主に野外で行われるロック系のミュージシャンが複数出演する音楽イベントとのことで、大規模なものになると、2?3日連続で開催され、総入場者数が10万人を超える。ぴあ総研の調査によると、ロックフェスの動員数は、平成12年には36万人だったものが平成20年には150万人を超える規模に達し、市場規模も音楽コンサート市場(1,503億円)の1割程度を占める規模に達しているという。今年も、春から初秋にかけて、ざっとみただけで全国で50本近いロックフェスが開催され、静岡県内では、つま恋で「ap bank fes ’10」、富士スピードウェイで「JAPAN JAM 2010」などが行われる。
 ロックフェスには様々な形態があるが、開催される場所という点で分けると、野球場やサッカー場などを利用して大都市の街中で行われる「都市型」と、地方の自然公園や広大な空き地を利用する「地方型」の2タイプに分かれる。このうち、地方型では、近年のロックフェス人気を見込んで、地域を活性化させたい県や市などの自治体が積極的にロックフェスを誘致しているところも多い。
今年で11回目を迎える「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」は、第1回から茨城県のひたちなか市の国営ひたち海浜公園で開催されている。当時、ひたちなか市は、隣接する東海村の原発事故の影響もあって観光客が減少していた。そこで、観光客を取り戻し、地域を活性化したいとの思いから、積極的にロックフェスを誘致したとのことであり、その後も市をあげてロックフェスの開催に取り組み続けている。
私も、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」には、第1回から何回も参加しているが、当地に向かうと、街全体が開催に協力していることを肌で実感する。ロックフェスの開催中、市内や近隣市町の宿泊施設だけでは宿泊能力が足りなくなるため、自治体が会場周辺にテントスペースを設けたり、民間施設が臨時の宿泊場所を提供していた。また、会場内の飲食ブースには、市内の業者が数多くの店舗を出店しており、軽食のほか、地元の特産品などを扱っている。なかでも、ひたちなか市民の有志による「みなと屋」は、地元の海産物や野菜などを安く提供していて、一番人気である。実際、私も、地ビールや名物の五浦ハムの串焼きを目当てに並んでいたが、いつも行列が絶えることはなかった。
活況を呈しているロックフェスであるが、“ロックフェスバブル”と揶揄されているように、すべてのロックフェスが成功に至っているわけではない。ロックフェスが7?8月に多数開催されるようになったことで観客が分散化し、チケットの売れ行きが芳しくないところも出ている。地方で開催されるロックフェスのなかには、毎年継続して開催することができないものも多い。ロックフェスをその地域に定着させ、安定した動員を得るためには、出演アーティストのラインアップを充実させるだけでなく、地域全体でロックフェスを迎え入れて盛り上げる体制づくりが必要であるように思う。

投稿者:研究員 大石彰男|投稿日:2010年03月29日|コメントを書き込む

  • 研究員 大石彰男
  • No.0301

新名神高速道路を走ってみて

 私事ではあるが、今年のお正月に車で大阪に行ってきた。毎年、年に何回か、大阪に行くことがあるのだが、運転が好きなこともあって、いつも車で移動をしている。大阪方面に行く際には、今までは、名古屋からは名神高速道路か名阪国道を利用していたが、今年は新名神高速道路を初めて利用してみた。
 新名神高速道路は、昨年2月、亀山JCT(三重県)-草津田上IC(滋賀県)間の約50kmが部分開通した。これは、既に開通していた草津田上IC-草津JCT間を合わせて、東名阪自動車道と名神高速道路を結んでいる新しい交通動脈である。従来、名古屋-大阪間を車で移動する場合には、名神高速道路を使って関ヶ原経由で鈴鹿山脈を大きく北に迂回するか、名阪国道を使って南回りで奈良を経由するかのどちらかが主なルートであり、静岡から関西方面に向かう場合には、いずれも遠回りしているような感覚だった。しかし、新名神高速道路は鈴鹿山脈をほぼ直線で貫いており、NEXCO中日本によると、従来の名神高速道路経由と比較して、距離で34km、時間にして約20分短縮されているという(豊田JCT-草津JCT間で比較、新名神高速道路は伊勢湾岸自動車道および東名阪自動車道を経由)。
 時間短縮以外にもさまざまな効果が現れている。新名神高速道路の開通後は、現名神高速道路の渋滞が大幅に減少している。現名神高速道路の一宮JCT付近や東名高速道路の名古屋IC以南は、交通が集中する“渋滞多発区間”であったが、新名神開通後は、この付近での渋滞の発生率が約6割も減少したという。NEXCO中日本によれば、高速道路の渋滞減少だけでなく、並行する一般道でも渋滞が減少しているといい、さらに、新名神高速道路を利用した観光バスツアーの増加による沿道の観光施設の客数増加などの効果も現れているという(なお、新名神高速道路は部分開通にすぎないため、新名神高速道路と接続する東名阪自動車道や、名神高速道路の草津IC以西では、逆に渋滞が増加してしまっている問題も発生しているが…)。
 そして、実際に新名神高速道路を走行してみて、肌で感じることのできた効果もある。前述の通り、新名神高速道路は鈴鹿山脈を越えるルートを通るが、トンネルや橋梁を多用することで、山脈部分を走っていても急勾配や急カーブはまったくなく、運転が非常に楽だった。山脈に向かって走るため、登り坂は続くものの、ストレスになるような坂ではなく、乗用車もトラックも快適に走行できる工夫がされていた。運転がしやすいためか、交通の流れは非常にスムーズであり、交通量の多さを感じさせないようになっている。実際に、新名神高速道路開通後の1日当たりの交通量は、当初予想の14,000台/日を大幅に上回る30,000台/日にも達しているが、実際には交通量の多さをそれほど感じることはなかった。

 さて、静岡県内では現在、新東名高速道路の工事が着々と進んでおり、県内部分(御殿場JCT-引佐JCT間)については、平成24年度に供用が開始される予定である。新東名高速道路の完成に伴う県内への効果は、生活面でも経済面でも計り知れないものがあると思うが、新名神高速道路のように、さまざまな効果が期待できるのではないかと思う。また、新東名高速道路も新名神高速道路と同じく山間部を中心としたルートであるが、こちらもトンネルや橋梁を駆使して建設されており、非常に走りやすい高速道路となっている様子である。Googleマップの航空写真で新東名高速道路のルートを見ながら、走行できる日を今から非常に楽しみにしている次第である。

 ところで、最近のニュースや新聞で連日のように話題になっているが、政府の追加景気対策の一環として、今月28日の土曜日からETC搭載の一般車に限り、休日なら全国どこまで行っても一律1,000円で高速道路が乗ることができるようになる。春の行楽シーズン、関西方面にお出かけの際は、車で新名神高速道路を利用してみてはいかかでしょうか。

投稿者:研究員 大石彰男|投稿日:2009年03月19日|コメントを書き込む

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