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  • 研究部長 大石人士
  • No.0029

人に優しい「近未来の商店街」の姿

 久々に東京の巣鴨地蔵通り商店街を訪れた。相変わらずの賑わいぶりである。いまさら紹介するまでもないが、同商店街は、JR山手線巣鴨駅から数分のところに位置し、若者の街「原宿」に対して、「おばあちゃんの原宿」とも呼ばれてきた。商店街の中ほどにある「とげぬき地蔵尊高岩寺」には、遠方から観光バスに乗って団体客も訪れる。
 今年は中山道開道400年ということで、街道沿いにあたる巣鴨各所でも記念祭などが開かれているが、そうしたイベントがなくても、街を歩くと毎日が縁日、毎日がイベント開催日のようにみえる。こうした光景は、地方のシャッター通りや閑古鳥が鳴いている商店街にとっては、夢のような話であろう。

 この巣鴨地蔵通り商店街は、商店街として明らかに顧客を選別している。主たるターゲットは、おばあちゃんやおばさん。しかも、寂しげなお年寄りではなく、よく食べよくしゃべる元気なお年寄りたち。高級品はほとんど置かれていないが、日常的なものがそれなりに品揃えされている。つまり、普段利用するものが、安く、素朴に売られている。
 また、ウインドウに特別装飾を施すわけでもなく、横文字やカタカナを使った案内・看板も少ない。それでいて各店が個性を持っており、店の売り物「我が店自慢」を持っている。その結果、店の前を通るのはほとんどが高齢者、あるいは、そうしたノスタルジックな雰囲気やアンティークさを求める世代と、顧客層が限定されているが、今日も賑わいが続いている。

 かつて各地にあった中心商店街の賑わいは、今や、郊外のショッピングセンターに取って代わられ、あるいは地域間競争の中で、より大規模な都市に吸収されてしまっているのが現実である。しかし、高齢化社会が訪れるなかで、あるいは住民が身近な生活のゆとりや消費空間の充実を求める時代においては、近代的な建物・街路や単なる賑わいだけが中心商店街に求められる姿ではなくなってこよう。
 巣鴨地蔵通り商店街では、「ぶらり のんびり 歩ける街づくり」に努めている。近年、各地で中心市街地の活性化や商店街の再生への取り組みがみられるが、これからの商店街、とりわけ地域の生活を担う商店街には、「きれいすぎない、買物に違和感を感じない、歩きやすい商店街」が求められているように思う。また、そこに住む人たちにとって日常的なもの、なくては困るものを扱い、気軽に参加できるイベントや祭りの場があること。そうした地域の歴史と文化を大切にした「人に優しい街づくり」。巣鴨地蔵通り商店街には、そんな近未来の商店街の姿があるように思う。

投稿者:研究部長 大石人士|投稿日:2002年10月03日|

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