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  • 主席研究員 川島康明
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平成バイク史を振り返って

「平成」の終わりが近づいてきた。来年春に改元されるから、いまは最後の"平成の秋"となる。"秋"のイメージといえば、「食欲の秋」、「読書の秋」、「スポーツの秋」などさまざまだが、「バイクツーリングの秋」も入れておきたい。とりわけ今夏は暑さが厳しかった分、ライダーにとっては、この秋の朝夕の涼しさが例年以上にありがたく感じるだろう。
思い起こせば、昭和の終わりの大学時代に250ccの中古を手に入れて以来9台を乗り継ぎ、30回の平成の"秋"を過ごしてきたことになる。その間の国内バイク市場を振り返ると、まさに激動の時代。平成初期の"速さ"を追求するレーサーレプリカの全盛から一転、アンチテーゼとしてのネイキッド(裸=カウルのない)バイクの台頭は衝撃的だった。平成10年代には、テレビドラマに端を発したストリートバイクが盛り上がり、"オジさんご用達"だった250ccスクーターがカスタムも含め若者の間でブームとなった。そして現在、"アドベンチャー"や"ネオレトロ"といった売れ筋はあるものの、ニーズの多様化を反映し、市場の細分化が進んでいる。
法制度の改定も、この市場に大きなインパクトを与えた。平成8(1996)年、400cc超の大型二輪免許が教習所で取得できるようになったことで大型バイクのライダーが急増、17(2005)年の高速道路の二人乗り解禁も追い風となって、現在の40-50代のリターンライダーの隆盛へと至っている。一方、昭和の終わり頃から厳正化されてきた排ガス規制や騒音規制はメーカーの開発コストの増加につながり、18(2006)年の駐車場法改正で二輪車も取締対象になったことは、主に都市圏のビッグスクーターブーム終しゅうえん焉の引き金にもなった。
では、新たな元号を冠して始まる次代のバイクはどういう方向に変わっていくのか。キーワードは"安全性"だろう。二輪ゆえに倒れる宿命にあるのがバイク。だが近年では電子制御化が進むとともに、止まっても倒れない技術、走行中にタイヤが横滑りしたときガスを噴射して車体を立て直す技術など、ユニークな開発も進められている。
もう1つのキーワードが"快適性"。車両自体の構造や機構が生み出す快適性のみならず、スマホとのさらなる連動や、車両とコミュニケーションを可能にする技術が注目される。以前、バイクに乗ると脳が活性化されるという研究報告が発表されたが、10年先を見通せば、脳の働きや身体機能の変化をリアルタイムで確認・蓄積できる仕組みが実現されれば面白いと思う。
足元でやや盛り返しているとはいえ、現在、125?超のバイクの国内年間販売台数は10万台弱と、20万台を軽く超えていた平成初期の半分にも満たない。だが、静岡県は世界有数の二輪車生産地。この類たぐいまれ稀な地に暮らしているという事実をかみしめ、バイクの良さを次代に伝えていく必要がある。平成という時代の区切りに、改めてそう感じる。

投稿者:主席研究員 川島康明|投稿日:2018年10月31日|

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