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  • 主任研究員 大石真裕
  • No.0087

2007年問題とコミュニティ・ビジネス

 最近、「コミュニティ・ビジネス」なるものが、ちょっとした注目を集めている。いまだ統一的な定義はないものの、概ね「地域が抱える課題を解決するために、地域の構成員が活動主体となって、収益を確保しつつ継続的に取り組む事業」と位置付けることができ、地域産業の空洞化や中心市街地の衰退、中山間地域の過疎化など、地域社会の活力低下が顕在化する中で、これらの問題を解決する手法として関心を集めているわけだ。
 その活動分野は、高齢者向け配食サービスなどの「福祉・健康活動」から、歴史文化資源を活かした「まちづくり」、障害者や高齢者の能力開発を行う「就業支援・人材育成」など多様な領域に及ぶ。また、こうした活動は、“地域の構成員が主体”となっていればよく、組織形態については、NPO法人や任意団体から株式会社などの営利法人まで、さまざまな組織が担い手となり得る。

 全国を見渡すと、特に兵庫県においてコミュニティ・ビジネスは盛んである。それは、阪神・淡路大震災の復興の過程で多くのボランティア団体が誕生したが、いつまでも手弁当で活動を続けていくのが困難になり、ビジネスの手法を採用していったことによる。
 かわって静岡県では、それほど関心を集めているとは言い難いようだ。ただ、そうした中でも、学校を補完する教育の場をつくり、数十人に上るひきこもりの青年を社会に送り出してきたNPO法人や、介護保険が施行される10年以上も前から高齢者介護に取り組み、現在も介護保険ではカバーされないサービスの提供によって、高齢者が生きがいを見つけ元気を取り戻すサポートをする企業など、地道な活動をつづける組織がある。
 一方、こうした活動を支援する行政も増えている。支援内容としては、事業の立ち上げ経費を補助したり、弱いとされる経営面の相談が主に行われているようだ。なかでも大阪府では、立ち上げ事業所数の数値目標を設定するほど熱が入っている。

 わが国では現在、「2007年問題」が浮上している。2007年というのは、団塊の世代でも一番多いとされる1947(昭和22)年生まれの人が60歳定年を迎える年である。全体では800万人にも上る団塊の世代の中には、これまで培ってきた技能やノウハウを社会のために生かしたいと考える人が少なくないはずだ。
 コミュニティ・ビジネスは、決して大儲けできるニュービジネスではない。しかし、多様な側面から地域に活力をもたらす可能性を秘めたものであり、多くの人が参画可能な事業といえよう。団塊の世代や女性が、地域のために何かアクションを起こそうとしたときに活動しやすい道筋を、行政が中心となって今からつけておくことが大切ではないだろうか。

投稿者:主任研究員 大石真裕|投稿日:2003年12月03日|

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