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  • 主任研究員 大石真裕
  • No.0259

ひと手間かけた食の提供を

製造品出荷額が全製造業の約1割を占めることから、俗に「1割産業」と呼ばれ、わが国経済において重要な役割を果たしているのが、食品製造業である。

先日訪問した、フジ日本精糖清水工場では、世界で初めて砂糖からイヌリンを生産することに成功し、「フジFF」として製造販売している(国際特許出願中)。イヌリンとは、水溶性食物繊維の一種で、チコリやキクイモ等に多く含まれ、低カロリーで整腸作用、血中脂質の低減、血糖値の上昇抑制、ミネラルの吸収促進効果などが確認されている。欧州では、それらの植物から抽出したイヌリンを糖尿病患者の栄養補助剤などとして利用しているというが、同社の「フジFF」は、微生物酵素を反応させて作ることで、品質安定性の高い高純度イヌリンを生産できる優位性を持つ。「フジFF」は、無味無臭の白色粉末で、食品本来の風味を損なうことがないため、さまざまな食品に利用できる。さらに、一定濃度で水に溶かして冷却すると微細結晶を形成し、生クリームに似た食感が得られ、保湿性向上や苦味渋味のマスキング効果も得られることから、バターやショートニングなどの脂肪代替素材として販売に力を入れ始めている。

また、日東富士製粉静岡事業本部では、静岡県の特産品である温州みかんを原料とする「温州みかんパウダーV」を製造販売している。温州みかんには、他の柑橘類と比べてβクリプトキサンチンが圧倒的に多い。これは、リコピンやβ-カロテンと同じカロテノイドの一種で、発ガン抑制や糖尿病、骨粗鬆症予防に効果があるといわれている。「温州みかんパウダーV」は温州みかんを物理的に粉末乾燥したものであり、色素・香料は一切使っていないことから、鮮やかな黄色味とほんのりとした香りを付けることができる天然食品素材として、パン、ケーキ、麺、デザートなど幅広い活用が可能であり、同社でも、みかんパウダーを使ったホットケーキミックスやそうめんを製造販売している。

こうした素材は、他の食品メーカーも広く使うものだけに、大きな影響力を持つ。他社との差別化を模索しながらも、経営資源を研究開発等に振り向けられない中小メーカーにとって、こうした素材を活かした製品開発も1つの特長となろう。さらに、焼津水産化学工業では、同社が開発した「低塩しょうゆ・塩」を原料とする健康志向食品の開発を他の食品メーカーに呼びかけ、統一ロゴ『食事の塩分が気になる方に』による一体的なブランドとして売り出していこうと提案、多くの賛同者を集めているように、意欲ある食品メーカーが集まり、“ローカルブランド”を立ち上げていけば、販路・需要開拓でも大きな力となるのではないだろうか。

食品製造業にとって、人口減少による国内マーケットの縮小は大きな転換点といえる。弊所『SERI経済ファイル』(3月1日発行)では、「静岡県食品製造業の現状と展望」に関する調査を実施しており、是非そちらもご覧いただければと思う。

投稿者:主任研究員 大石真裕|投稿日:2008年02月22日|コメントを書き込む

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