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- 主任研究員 大石真裕
- No.0100
観光は、地域活性化の切り札となるか
現在、わが国では、“観光立国”の実現に向けた取り組みが熱を帯びている。平成15年度に政府が打ち出した『ビジット・ジャパン・キャンペーン』は、「平成22年までに外国人観光客を、現在の約2倍の1,000万人にする」という国家プロジェクトだ。石原伸晃国土交通大臣が「観光立国大臣」に任命され、韓国、中国、米国、香港、台湾を重点市場として、訪日促進キャンペーンが行われたが、さらに16年度は、32億円(前年度比+60%増!)の予算を確保し、英、独、仏を重点市場に加えて、より戦略的にキャンペーンを展開していく構えである。
国の16年度予算の中で、都道府県や市町村が関係する観光関連事業をみると、たとえば国土交通省では、「まちづくり交付金」を新たに創設している。これは、市町村が歴史・文化等の特性を活かした個性あふれるまちづくりに取り組もうとした場合、まちづくりの目標(可能な限り数値化する)と、目標達成のための各種事業を盛り込んだ都市再生整備計画(仮称)を作成し、計画が認定されれば交付金が交付されるというもので、全体で1,330億円もの予算額となっている。
また、農林水産省では、「観光立村の推進」事業(87百万円)を新たにスタートさせる。これは、棚田や段々畑など日本独自の農山漁村の景観や文化を目玉商品として外国人旅行者を誘致し、「観光立村」を進めていこうというもので、地域の観光交流拠点に係るマップづくりや、観光大使等による地域の魅力発信事業に対して一定割合を補助するものである。
観光は、宿泊業や飲食業、輸送業など多くの業種が関わりを持つすそ野の広い産業であり、地域への波及効果も期待される。観光振興に取り組む自治体が増えているのも、中国が世界の工場としての地位を高め「工場誘致」の難易度が高まる中、「人の誘致」による地域活性化に期待が込められているためであろう。
しかし、「観光地化」という言葉に、あまり良い響きは感じられない。それは、住民の生活の場に観光客が土足で入り込んでくるようなイメージがあるからだろう。したがって、観光振興に取り組むのであれば、住民がそれを理解し、納得することが必要であり、それをベースに、来訪者をもてなす心・風土が醸成されていなければならないと思う。
最近では、歴史的な街道文化を生かした「街道観光」や都市自体が持つ文化的魅力を味わう「都市観光」などの形態が注目されはじめている。これらは、地域固有の資産を来訪者に堪能してもらおうというもので、観光と地域との関係がより密接になる傾向にある。おそらく、それは旅行者のニーズでもあり、一過性のブームではなく今後の観光の一つの方向として定着していくものと思われる。
本県でも、静岡空港を生かした観光振興の動きなどがみられるが、文字通りに地域が一体となり、ベクトルを合せて観光に取り組んでいく事で、来訪者や住民に愛される“観光”地が誕生して欲しいと思う。
投稿者:主任研究員 大石真裕|投稿日:2004年03月16日|
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