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  • 主任研究員 大石真裕
  • No.0238

あらゆる機会が学びの場となる

 先日、静岡県内のある企業を訪問した。主に、プーアール茶などの健康茶をはじめとする健康関連商品の通信販売を手掛けるこの会社は、驚くほどの勢いで業績を伸ばしており、平成8年に約6億円であった売上高が、平成18年には約54億円と9倍にもなっている。

 急成長の要因には、いくつか考えられる。たとえば、リピーターを増やすための仕掛けづくりだ。通販カタログでは、商品を紹介する写真や説明文にウエートを割くのではなく、顧客の感想・体験談をふんだんに掲載し、すべてのページに社長の一言が添えられる。時には、同社の商品を使って効果がなかった顧客のハガキが見開きで掲載されることもあるが、こうしたマイナス情報の提供も顧客の信頼獲得につながっているようだ。
 また、顧客からの手紙には、すべて返事を返すという。それも手書きでだ。一日に数百通の手紙が届くというが、社長、従業員で対応している。経営効率だけを考えればできることではないが、「よろこんでもらえる喜び」を社是とする同社の姿勢が根底にはある。
 そして、ヒット商品の開発である。同社が開発したプーアール茶は、くせがなくて飲みやすく、ダイエット効果の評判も口コミで広がり、現在では全売上の4割強を占める屋台骨となっている。同社は、「健康」をキーワードに新商品の取扱いを増やしてきたが、顧客の声がヒントになったり、顧客の要望に応えたものが少なくないという。売上全体の約15%を占める基礎化粧品も、こうした過程を経て3年ほど前に開発されたもので、次期主力商品に成長している。

 このような話を聞いて、松下電器グループ創業者・松下幸之助氏の次のような言葉を思い出した。
 「人は教わらず、また学ばずして何一つとして考えられるものではない。幼児のときは親から、学校では先生から、就職すれば先輩からというように、教わり、学んでのちはじめて自分の考えがでるものである。
 学ぶという心がけさえあれば、宇宙の万物はみな先生となる。物言わぬ木石から秋の夜空に輝く星くずなどの自然現象、また先輩の厳しい叱責、後輩の純粋なアドバイス、一つとして師ならざるものはない。
 どんなことからも、どんな人からも、謙虚に、素直に学びたい。学ぶ心が旺盛な人ほど、新しい考えをつくり出し、独創性を発揮する人であるといっても過言ではない。」(PHP総合研究所編「松下幸之助一日一話」より『学ぶ心』)
 先の会社では、顧客の声から商品開発のヒントを得ていたが、もし「よろこんでもらえる喜び」の実践にまい進していなければ、同じ情報を見聞きしても右から左へとすり抜けていただろう。問題意識を持っていれば、日常生活の何気ない場面からも課題解決のヒントを得ることがある。常に、学ぶ心を持ち、自らを高めていきたいものである。

投稿者:主任研究員 大石真裕|投稿日:2007年08月21日|

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