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  • 主任研究員 大石真裕
  • No.0034

アメリカ流通業の視察を終えて

 今回、アメリカ合衆国を訪問する機会をいただき、多くの小売店を視察したが、その中で “アメリカはバイタリティに溢れている”ということを身をもって感じた。たとえば、ラスベガスは、“賭博”のイメージを払拭し、今では年間数千万人もの観光客が訪れる“リゾート・レジャーの一大拠点”へと見事な変貌を果たした。昨年の同時多発テロの影響が、いまだに影を落としているということだが、夜中にもかかわらず多くの家族が連れ立って出歩く光景や、4,000室を超えるホテルがいくつもあることには驚かされた。
 
 また、砂漠の中に開発されたリタイヤメント・コミュニティ「サン・シティ」も気が遠くなるほど広大で、開発が始まって数年しか経っていないが、すでに3,500世帯7,000人ほどが居住している。「サン・シティ」内には、ゴルフコースなどレクリエーション施設も整備されていたが、さらに小・中学校や病院の建設が計画されており、まさに荒野の中に新たな町が誕生しようとしていた。こうした大規模開発が、民間主導で相次いで行われているのがアメリカである。

 こうした動きは、アメリカが80年代の低迷を克服し、90年代には見事な復活を果たしたからこそ可能であったと言えよう。そして、それは規制緩和や税制改革といったサプライサイドの経済政策が、産業構造の転換や多くのベンチャー企業の輩出を促したことによるものといえるが、こうした政策を講じることができたのも、それを足場に産業の競争力が復活したのも、アメリカに満ち満ちているバイタリティによるものだと感じた。

 一方、多くの小売店や飲食店を視察して、エンターテイメント性が徹底して追求されていることに感心させられた。果物・野菜の並べ方にはじまり、絵文字や色の上手な活用、惣菜の見せ方など、凝った演出を随所に感じる。この背景には、?業態間競争が厳しさを増すなかで、取扱商品による差別化が難しくなっている、?アメリカは人種のるつぼであるため、従業員の質を一定に保つことが困難であり、良質な顧客サービスを安定したレベルで常時提供することが難しい、などの問題点もあるのではないかと思うが、ご同行いただいた流通コンサルタントの松村清氏が言われた“Wao!と言わせる店づくり”、“See me、Touch me、Feel me、Buy me(見て、触って、感じて、買って)、へと導く、五感に訴えかける雰囲気づくり”が実践されていた。

 それから、ドラッグストアの「ウォルグリーン」が行っていた“ドライブスルー調剤”や、「ラルフス」、「ハリスティーター」といったスーパーマーケットが導入していた“セルフ・スキャン”方式のレジなど、顧客の利便性を追求している印象も強く残った。
 アメリカで成功したビジネスや戦術が、日本でも必ず成功するかといえば、答は「No」であろう。しかし、アメリカが、多くの部分で日本に先んじていることは確かであり、アメリカで起こっている事象について、その背景・理由を自分なりに噛み砕いて考え、自身の業務に反映させていきたいと思う。

投稿者:主任研究員 大石真裕|投稿日:2002年11月05日|

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