羅針盤

ホーム > 羅針盤 > 主席研究員 大石真裕 > 求む!個性派書店

  • 主席研究員 大石真裕
  • No.

求む!個性派書店

静岡市中心商店街の老舗書店が7月末に店を閉じた。これで、私が子どものころにあった3
つの書店がすべて消えてしまった。新たに大型書店が3つできているが、静岡市生まれとして
は寂しさを感じる出来事であった。
商業統計から静岡県の書籍・雑誌小売業を概観すると、2014年の事業所数は284事業所、年
間商品販売額は368億円で、20年前の1994年(745事業所、607億円)と比べて、事業所数で
約6割減り、販売額では約4割減少している。一方で、1事業所当たりの売場面積は、111?
から303?へと3倍近くに増え、業界の変化を肌で感じる。
少子化、活字離れなど厳しい経営環境下で、書店はITの進化にも大きく揺さぶられている。
インターネット通販の普及で自宅でも本を購入でき、さらには本自体の電子化も進みタブレッ
ト端末などで閲覧可能になってきている。
"店舗"と"商品"の両面で価値を問われている書店だが、対抗策として"複合化"の動きが
起きている。その代表例が「蔦つたや屋書店」。同店は、ライフスタイルの提案をコンセプトに、本
だけでなく映像・音楽ソフトや文具、雑貨を販売しカフェを併設するなど、多様な商品・サー
ビスを取り扱う。近年、蔦屋書店は全国に展開しているが、出版取次大手も書店の複合化を推
奨しており、今後、静岡県でも複合書店が増えていくと予想される。
こうした"時を過ごせる書店"も魅力的だが、"作者とつながる書店"が静岡にあれば、ぜひ利
用してみたい。本は、私たちに知識や刺激を与えてくれるが、常に一方向の関係でしかない。
本に書き切れなかった思いや裏話を著者から直じかに聞き、質問や感想を伝えられる機会があれば、多くの人の興味を引くだろう。
まずは、本県ゆかりの作家を招いたトークショーやワークショップを開催し、これを足掛
かりに作家仲間や編集者へと輪を広げる。こうした取組みを継続し、著者との関係性が拡大・
深化していけば、読者の探求心や創造力は大きく高まるだろう。そして、作家がふらっと立ち
寄る"サロン的書店"ができると感動ものだ。加えて、最適な1冊にたどり着くための手助
けをしてくれる、いわば"本ホンシェルジュ"機能も望まれる。1年間に出版される書籍は8万点
にも上り、我々には把握しきれない。書店員や図書館司書の知識とネットワークを使って、要
望を満たしてくれる内容の本や当該分野に詳しい書店員などを紹介してくれるサービスがあれ
ば、強みを持った書店になると思われる。
全国チェーン店が幅を利かせる同質化したまちは、面白みに欠ける。まちの魅力を高めるた
めにも、遠方からも人が訪れる"個性派書店"が静岡に増えていくことを期待したい。

投稿者:主席研究員 大石真裕|投稿日:2017年10月02日|

ページの先頭へ

入会お申し込み・資料請求について 入会および維持会員への切り換えなどに関するご照会・お問い合せは、総務部会員担当までご連絡ください。
また、入会資料の送付をご希望される方は、入会お申し込み・資料請求フォームよりお申し込みください。電話番号 054-250-8750 E-mail info@po.seri.or.jp 受付時間 9:00から17:00 祝日 土・日・祝除く入会お申し込み資料請求フォーム

  • 維持会員専用サイト

カテゴリー

最近の投稿

月別

  • サービス案内
  • 財団法人 静岡経済研究所 書籍のご案内
  • 静岡経済がわかるリンク集
  • 静岡県内事業者一覧
  • 研究社員紹介
  • マーケットプラザ