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  • 主席研究員 大石真裕
  • No.84

"自未得度先度他 "の心

1986 年の「男女雇用機会均等法」施行以来、推し進められてきた女性の活躍推進が、近年の地方創生や働き方改革の流れの中で、注目度を高めている。そこで、静岡県における女性活躍の状況を「国勢調査」(総務省)からみると、2015 年の女性労働力人口は83.7万人、労働力率は51.9%となった。全国(50.0%)を1.9ポイント上回り、都道府県順位は10位となり、本県の女性の労働参加は全国でも高い水準にある。
しかし、女性労働力率を年齢別にみると、「25?29 歳」(80.2%)が全国34 位、「30?34歳」(71.8%)は35位と低位にある。その上、両世代の差(8.4 ポイント)は、都道府県別で9番目に大きい。これらの数字が意味することは、結婚・出産・育児期にあって仕事を持たない女性、離職する女性が静岡県には比較的多いということだ。
これら世代の女性労働力率に影響を及ぼす要因としては、世帯主の収入を家族で補う必要があるといった金銭面の事情や、子どもの面倒をみてくれる保育所や自分または配偶者の親が近隣にいないといった育児環境面の充実度などがあるとみられるが、これらに加えて、仕事や家庭に関する価値観も影響していると考えられる。
内閣府が実施した「地域における女性の活躍に関する意識調査」によれば、"自分自身が職業を持つことについてどう考えるか"という質問に対して、「子供ができてからもずっと職業を持ちたい」と回答した静岡県の女性は28.7%で、全国(28.3%)並みの水準となっている。
これに対して、男性に"自分の配偶者が職業を持つことについてどう考えるか"という問いをしたところ、静岡県で最も多かった回答は、「子供ができたら一度職業をやめてほしいが、子供が大きくなったら再び職業を持ってほしい」で38.7%に上り、全国で4番目に多い。その一方で、「子供ができてからもずっと職業を持ってほしい」(16.6%)は45位と低い位置にあり、静岡県の男性には、「男は仕事、女は家庭」といった旧来型の性別役割分業意識が根強く残っていることがうかがわれる。
女性の活躍を今後も促していくには、長時間労働など男性主体の働き方を改めるとともに、職場の上司、同僚や家族の理解・協力が欠かせない。そこには、男性の意識改革が必要である。高度経済成長期に効率的であった家族の形が合理性を失いつつある今日、「男(女)はこうあるべき」といった固定観念を払拭し、性別に関係なく個人を尊重することが求められる。自分本位ではなく、相手のことを優先して考える"自じ 未みとくどせんど得度先度他た "(禅語)の心を高め、多様化する女性の価値観に真しんし摯に向き合っていくことが、静岡県の男性には必要だろう。

投稿者:主席研究員 大石真裕|投稿日:2018年05月31日|

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