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主任研究員 玉置実 のコラム

  • 主任研究員 玉置実
  • No.0358

「とりあえず」から「まず初めに」

 最近、会話でNGにしている言葉がある。「とりあえず」である。
 「とりあえず」という言葉を使おうとしたら、「まず初めに」と言い直すように努めている。

 きっかけは、経済雑誌の営業をテーマとした記事で、顧客が逃げる言葉の1つとして「とりあえず」が挙げられていたことにある。顧客の心理的なハードルを下げるために、つい、「とりあえずやってみませんか」と言ってしまうが、たとえば企業の購買担当者にとって、仕入先を変えることは自ら責任を負わなければならず不安もある。そこに、「とりあえず」では、いい加減な印象を与え、及び腰になってしまうというのである。心理負担のハードルを下げるのであれば、「まず初めに」という表現の方が、一つひとつ確実にステップを踏む印象があり、安心感を与えることができるという。

 そこで、とりあえず(・・・・・)、自分もある物事を始める際、「とりあえず始めてみよう」を「まず初めに、××をやってみよう」という言葉に置き換えてみた。すると、少し気持ちが前向きになることに気付いた。先行きに対する漠然とした感覚は両方とも変わらないが、「まず初めに」の方が、次に何かが続きそうな感じがするのである。期待感が膨らむのである。

 辞書で「とりあえず」の意味を調べると、「ほかのことはさしおいて、まず第一に。なにはさておき」であり、「まず」という意味も含まれるようである。多くの人にとって、2つの言葉には私が感じるほどの差がないのかもしれない。私も居酒屋に行けば、「とりあえずビール」と言うだろう。しかし、ちょっとした言葉遣いで、心持ちが変わる、そんな言葉の妙を感じている。

投稿者:主任研究員 玉置実|投稿日:2011年04月19日|コメントを書き込む

  • 主任研究員 玉置実
  • No.0353

水産高校には魅力が一杯

 現在、専門高校と地域産業界が連携して、地域の水産業を担う人材を育成するための事業「地域産業の担い手育成プロジェクト(水産分野)」(文部科学省、水産庁、静岡県教育委員会の共同事業)に関っており、事業の実施校である静岡県立焼津水産高校を頻繁に訪れます。普段は、企業経営者や行政関係者と会う仕事が多いだけに、専門分野外である学校の施設や生徒の取組みなどに触れると驚かされることも少なくなく、いろいろな面で好奇心を刺激されます。

 まず、その施設の本格さには驚愕です。焼津水産高校には、大きく分けて4つの専門学科があります。船の操縦やカツオ一本釣りの方法を学ぶ「海洋科学科」、カツオやマグロの缶詰製造方法を学ぶ「食品科学科」、マダイやヒラメなどの養殖技術を学ぶ「栽培漁業科」、水産分野の流通を学ぶ「流通情報科」です。
 「海洋科学科」には、カツオ釣りを体験するための実習船「やいづ」があります。全長は65m、定員67名、魚群探知機なども装備され、総建造費は18億円を誇る本格的な船です。生徒は、この船で1カ月程度の航海に出ます。また、船の機関の仕組みを学んだり部品加工技術を取得する施設、加えてマリンスポーツを学ぶ実習棟もあります。
 さらに、「栽培漁業科」の実習場として、養殖場(臨海実習場)が併設されています。広さは、9,300平米(約100m×100m)にも及び、実際の養殖事業者と見間違えてしまうほどです。養殖されているウナギは、産地偽装が社会問題になって以降、産地の確からしさを理由に、百貨店から仕入れたいという要請がくるほどの高い品質です。
 一方、「食品科学科」には、缶詰製造実習棟が配置されており、こうしたすべての施設を丁寧に見て周ると、2~3時間では不足するくらいです。

 また、実習製品も魅力的なものが少なくありません。そもそも、ツナ缶の消費拡大に水産高校は大きく関っているのをご存知でしょうか?遠洋マグロ漁船の第五福竜丸が被爆したことから、マグロのイメージが悪くなり、消費が大きく落ち込みました。そこで、県の研究施設と協同で、輸出用のツナ缶詰を製造、消費量を拡大に大きく貢献したそうです。
 最近では、地元の水産加工会社と協力して、焼津のカツオと海洋深層水を使った旨味調味料の魚醤を製造しました。カツオの旨味成分が凝縮されている味は、焼津らしい創作料理を作るのに最適で、プロの調理人にも評判となっているようです。

 一方、生徒ですが、水産高校というと男子高というイメージがありますが、現在は、4割弱が女生徒です。女生徒で船乗りを目指す子もなかにはいますが、多くは食品科学や流通の勉強を目的に入学してくるようです。“草食系男子、肉食系女子”ではありませんが、女生徒の元気が良く、男子生徒より多く感じてしまうこともあります。また、バンカラのイメージもありますが、今は、礼儀正しい生徒ばかりで、部外者の私が学校に入ると、大きな声で必ず挨拶をしてくれます。こうした生徒の姿勢が地域で評価され、昨年度の就職内定率は100%となりました。

 これ以外にも、学校の先生方の話やオリンピックに選手を輩出させるレベルのレスリング部、夏の大会でベスト16の成績を残した野球部など部活動の姿を見ると、感心したり、改めて気付いたりすることが数多くあります。自分自身が普通高校出身だったこともありますが、地元にこうした魅力的な学校があることを嬉しく思うとともに、これからもその魅力を発見していきたいと思います。

投稿者:主任研究員 玉置実|投稿日:2010年11月01日|コメントを書き込む

  • 主任研究員 玉置実
  • No.0340

愛犬HACHIに教えられたこと

 最近のペットブームに乗って、私の家でも、柴犬(名前:HACHI)を昨年8月から飼い始めました。10カ月経過して新鮮な驚きと発見が数多くありました。

1.家を守るより、自らのテリトリーを守る
 物騒な世の中ですから、犬を飼い始めた目的の1つに、防犯がありました。しかし最近、その期待が違っていたような気がしています。確かに、HACHIは、知らない人が来たり、知らない音が聞こえると吠えることがあるのですが、一方で、可愛がってくれそうな人には、見知らぬ人でも、自らお座りして、尻尾を振ることが少なくありません。ここまでは、HACHIの性格だから仕方がないとあきらめもつきますが、加えて、現在、庭の半分をハチの自由に動ける範囲としていますが、その範囲以外は、あまり興味を示しません。庭の残りの場所や家のことは、どこふく風です。しかし、自分のテリトリー内だと、飼い主ですら、勝手に物を動かそうとすると、凄い勢いで噛んできます。飼い主が侵入者扱いになってしまうこともシバシバ…。家を守るより、自分のテリトリーを守ることがHACHIにとっては重要なのです。

2.人の気持ちを見抜く
 犬だからといって、あなどれません。飼い主と駆け引きをします。トイレのために散歩をさせているのですが、最近は、なかなかトイレを散歩中にしなくなりました。トイレをすると散歩が終わってしまうことが分かっているようです。最初は30分で済んでいた散歩が、いつのまにか5分、10分と延びて行き、いまでは、散歩は1時間を超え、犬の体力とともに、私の脚力もつきました。また、本気で叱られているかどうかも分かるようです。公園などで悪さをした際、周りの人の目を飼い主が気にして叱ると、誰のことを叱っているのといわんばかりに、飼い主から目を背け、涼しい顔をしています。それ以来、HACHIの前では、素直にしています。

3.変わるのは飼い主
 名前負けしているので、せめて他の人が飼っている犬レベルに躾ようと、最近、ドッグトレーナーの派遣を依頼しました。トレーナーの話を聞いて、実践指導してもらうたびに、犬の悪い癖も直っていきましたが、飼い主の方も、誤まった飼い方や考え方も指摘されました。必要以上に可愛がらない、10秒経過するとその行為は忘れる犬が多いので、叱ったり、誉めたりはその場でしなければいけない、わざわざ餌を持ってきて誉めても、それは違うことを誉めているなど…。インターネットや本で、たくさんの情報を集め、躾の勉強をしたのですが、犬を飼い始めたことをきっかけに躾けられたのは、飼い主という実感が強くなる日々です。

 こうしたことを知るたびに、最近のペットブームの秘密が、少し分かり始めたような気になっています。


投稿者:主任研究員 玉置実|投稿日:2010年05月25日|コメントを書き込む

  • 主任研究員 玉置実
  • No.0282

ワークショップ「ワイガヤ会議」に参加して

 私事で恐縮だが、市民活動に興味があり、現在、「静岡市市民自治推進委員」を務めている。委員会では、行政が新しい計画を作成したり条例を制定したりする際に、市民の意見を広く集めているかといった手続きの確認や、市民がまちづくりに参加しやすい仕組みづくりはどのように行えばよいのかといった点について検討している。今回は、会議で取り上げられ、実際に自分も一部参加した内容について紹介したい。

 それは、「健康福祉ワイガヤ会議」である。静岡市健康福祉部が、平成21年度を目途に策定を目指す「健康福祉基本計画」について、広く市民の意見を反映させるために設けられたワークショップだ。平成19年度末から始まり、これまでに葵・駿河・清水の3区ごとに5回開催されている。応募した市民、福祉関係者、行政担当者など合計20~25名が毎回集まり、4~5のグループに分かれ、健康福祉における地域の課題やアイデア出しを行ってきた。ワークショップの時間は、2~3時間であり、毎回、白熱した議論が展開されている。

 ワークショップは、市民の意見を集める手法として、一般的となりつつあるが、市の担当者によれば、これだけ回数を重ね、3地区で延べ350人以上の数を集める規模のワークショップは、静岡市では初めてという。また、会議の運営を担当したNPOによれば、「福祉や介護などに精通した人でなくても、5回参加する間に、積極的に発言するようになり、貴重な市民の意見としてまとめられた」という。参加者からも、「他人と意見交換でき、福祉や介護に興味を持てた」といった意見も聞かれる。私自身も、会議の一部に参加してみて、市民のまちづくりに対する熱い思いを感じるとともに、介護や子育てで苦労している方々の生の声やアイデアに、うなずく機会も少なくなかった。

 今後は、地方分権が一層進む中で、まちづくには市民の力がますます欠かせなくなる。まちづくりというと、専門的な知識や経験が必要と思われがちであるが、自分自身の経験や生活範囲の中での気づきを発言するだけでも十分な情報となる。市民が議論する楽しさを多くの人に知ってもらい、市民によるまちづくりが一層進展することを期待したい。

投稿者:主任研究員 玉置実|投稿日:2008年10月02日|コメントを書き込む

  • 主任研究員 玉置実
  • No.0263

老化と花粉症

 私事で恐縮だが、不惑を超えて、老化を意識するようになった。きっかけは、小さな字が見えなくなったからだ。もともと近眼で、眼鏡を着用しているが、ファーストフード店などのちらしに書かれている注意書きがよく見えない。仕方なく、眼鏡を外して見るのだが、この仕草が「老眼」の始まりであるということに気づくのに3カ月かかった。

 一旦、老化を意識すると、自分の体に起きている変化が、次々に気になりだす。白髪が増えた。徹夜ができなくなった。さらに、早起きになった。昔から、早起きだったが、近頃は、どんなに遅く就寝しても、新聞が配達される時間には目覚めている。すべての変化が老化と関係あるように思えてくる。

 また、老化防止や健康維持の商品にも関心が向く。アンチエイジング、老化防止の商品だけでなく、健康食品や健康グッズにも注意を払うようになったのは、若い時と比べると体力が低下しているだけに、老化の進行につながりそうな「病気」に対して強い不安・恐怖心があるからである。健康が商品開発のキーワードといわれているが、こうした不安の高まりが、大いに影響していると実感している。

 こう書いてくると、老化のマイナス面ばかりだが、プラス面もみつけた。それは花粉症である。花粉症とは30年来のつきあいだが、ここ2~3年、症状が軽くなってきている。特別な治療をしたわけではないので、不思議に思い、知人の耳鼻咽喉科の先生に聞いたところ、年を取ると若いときと比べて、反応が悪くなるため、症状が軽くなる場合があるとの説明をしてくれた。こうした反応や感覚の衰えが、自分に本当に良いことかどうかは微妙だが、これから、年をとることのプラス面の情報を多く探していきたいと思う。

投稿者:主任研究員 玉置実|投稿日:2008年04月02日|コメントを読む(1)コメントを書き込む

  • 主任研究員 玉置実
  • No.0244

広がる、学生による地域や社会的課題への取組み

 近年、地域の課題を自らの手で解決しようとするNPOや市民活動団体が数多く登場しているが、こうした中、大学生や専門学校生などの学生が、自らの手でまちづくりや地域の課題の解決に取り組もうとする動きが拡大していることをご存知だろうか?大学生とまちづくりというと、これまでも空き店舗対策に学生のアイデアを活用する動きはあったが、最近では、就職支援や環境問題などさまざまな分野に活動範囲が広がっているのである。
 
 こうした取組みが増加する背景には、学生の柔軟なアイデアを、地域や商店街の活性化・再生に結び付けたいとする自治体や商店街の意向がある一方で、学生が在籍する大学側にも、全入時代を迎え、地域の生きた教材をテーマとするフィールドワークによって、学生に魅力ある講義が提供でき、最終的に学生確保につながるといった狙いがあるものと思われる。

 しかし、活動の課題も多い。まず、学生は4年間で卒業してしまうことから、組織として継続性をどのように持たせるかである。就職活動で忙しい4年生ではなく、3年生が中心とした仕組みを作る工夫をしているグループもあるが、それでも毎年、学生の関心や成果にはバラツキが生じてしまう。また、学生中心の活動といっても、多くはゼミ活動の延長線であり、対外的な交渉や事前準備など指導教官の負担が重いという問題も生じている。大学側でも地域貢献の重要性は理解していても、具体的に教官の支援を行う大学はまだ少ないのが現状である。さらに、行政からの委託事業を継続的に行っている場合には、前年度より高い成果が求められることも、活動が継続し難い一因となっている。NPOや企業のように、同じスタッフが事業を行えば前年実績より高い結果を残すことは可能だが、毎年入れ替わり教育的要素が強い学生にとっては必ずしも容易なことではない。

 学生の地域や社会的課題への取組みは緒についたばかりであり、しばらくは、大学内部の支援体制や地域の関わり方など、解決しなければならないハードルは多い。ただ、少子高齢化の進展により、今後、若者にはますます地域の担い手としての役割が増すだけに、地域や大学など、学生を取り巻く方々の積極的な支援が期待される。

投稿者:主任研究員 玉置実|投稿日:2007年10月23日|

  • 主任研究員 玉置実
  • No.0212

変わる結婚式に対する考え方

 最近、欧米風の一軒家をまるごと貸し切って結婚式や披露宴を開く、ハウスウエディングの台頭が目覚しいが、同時に、最近の新郎新婦に対する結婚式の考え方やスタイルも大きく変化している。

 具体的には招待客の構成に現れている。従来の結婚式といえば、「家と家との結びつきを深めること」が目的であり、親戚や近隣に住む知人が招待客の中心であったが、最近は、「新郎新婦のために行う」という意味合いが強まり、招待客は友人が中心になっている。「友人といっても、新郎新婦が、現在本当に親しくしている人であり、しかも、友人同士も親しくないと駄目です。というのも、新郎新婦の友人同士、話題がなくて気まずくなることが心配になるからです」(式場支配人)というカップルも少なくないらしい。

 また、結婚式場の決定パターンも、以前は、新郎新婦が両親と相談して決めることが多かったが、最近では、新郎新婦が決めてから、両親が追認するケースが増えているという。「ブライダルフェアに見えられた新郎新婦の方にご連絡する際は、それぞれの自宅ではなく携帯電話にするように注意しています。うっかり、自宅に連絡して、親に知れでもしたら、新郎新婦から大変なお叱りを受けます」(結婚式受付担当)と、連絡手段に気を遣う場合も多いという。
 
 このように結婚式に関する決定権は、親から子どもに完全に移っているが、一方、結婚式費用は、依然として親に依存するカップルが多い。「親も子どもに甘くなっているのでしょうか?式場など親自身の希望があっても、ほとんど表明せず、最後は、子どもの希望に合わせてしまいます。とくに、娘に頼まれると、いくらでも費用を出す父親が多いようです」(ホテル式場運営者)という。

 親のスネをかじるのは、子どもの特権といえばそれまでだが、このように自由に結婚式を挙げた新郎新婦も、やがては親となり、子どもが結婚する時期を迎える。そうした時に、親としてかじられるだけのスネは残っているのだろうか?楽しみである。

投稿者:主任研究員 玉置実|投稿日:2006年10月27日|

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