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  • 主任研究員 玉置実
  • No.0358

「とりあえず」から「まず初めに」

 最近、会話でNGにしている言葉がある。「とりあえず」である。
 「とりあえず」という言葉を使おうとしたら、「まず初めに」と言い直すように努めている。

 きっかけは、経済雑誌の営業をテーマとした記事で、顧客が逃げる言葉の1つとして「とりあえず」が挙げられていたことにある。顧客の心理的なハードルを下げるために、つい、「とりあえずやってみませんか」と言ってしまうが、たとえば企業の購買担当者にとって、仕入先を変えることは自ら責任を負わなければならず不安もある。そこに、「とりあえず」では、いい加減な印象を与え、及び腰になってしまうというのである。心理負担のハードルを下げるのであれば、「まず初めに」という表現の方が、一つひとつ確実にステップを踏む印象があり、安心感を与えることができるという。

 そこで、とりあえず(・・・・・)、自分もある物事を始める際、「とりあえず始めてみよう」を「まず初めに、××をやってみよう」という言葉に置き換えてみた。すると、少し気持ちが前向きになることに気付いた。先行きに対する漠然とした感覚は両方とも変わらないが、「まず初めに」の方が、次に何かが続きそうな感じがするのである。期待感が膨らむのである。

 辞書で「とりあえず」の意味を調べると、「ほかのことはさしおいて、まず第一に。なにはさておき」であり、「まず」という意味も含まれるようである。多くの人にとって、2つの言葉には私が感じるほどの差がないのかもしれない。私も居酒屋に行けば、「とりあえずビール」と言うだろう。しかし、ちょっとした言葉遣いで、心持ちが変わる、そんな言葉の妙を感じている。

投稿者:主任研究員 玉置実|投稿日:2011年04月19日|コメントを書き込む

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