研究員 須藤みやび のコラム
- 研究員 須藤みやび
- No.0336
韓国を見ていて感じたこと
先日、休暇をいただいて、富士山静岡空港から韓国へ行ってきました。静岡を11時45分に出発する飛行機でしたので、自宅を8時30分ごろに出ればよく、静岡から出国できる便利さを改めて感じました。
たった3日ほどの観光旅行であり、訪れたのはソウルだけでしたが、印象的だったのは、町全体が日本にはない活気に溢れていたことです。経済の停滞に加え、社会全体に閉塞感が漂う日本とは対照的な感じがしました。中東の原子力発電所を受注するなど、最近、報道などで韓国のニュースを目にすることも多いのですが、3月23日の日本経済 新聞にも、『韓国企業 なぜ元気?』という特集が掲載されていました。
それによると、世界的に景気が低迷する中で韓国企業が元気なのは、1.海外市場を積極的に開拓してきたこと、2.国内市場をしっかり押さえていること、そして、3.政府が企業活動を積極的に支援していることなどが背景にあるとのことでした。特に、1997年のアジア通貨危機で経済が悪化した時に、企業間の大規模な事業集約や産業再編を政府主導で進めたことが、企業の競争力を高め、現在の好調ぶりにつながっているとのことでした。
ただし、当時の改革は、大量の倒産や失業が発生するなど大きな痛みを伴うものであり、それでも改革を進めることできたのは、国民の間に、海外旅行の自粛や装飾品の拠出といった運動が起きるほどの危機感の高まりがあったからとのことでした。現在の日本は、高齢化の進行、世代間の格差の拡大、財政赤字の拡大、国内市場の縮小といった多くの問題を抱えており、社会にこれだけ閉塞感が広がっているのは、問題の存在自体は認識していても、具体的な改善策が示されないことにあるのではないかと思います。たとえ痛みが伴う方策であっても、実行することで将来に希望を見出せるのならば、受け入れる賢明さを日本人は持っていると思いますし、逆に、今やらなければ、もう猶予はない段階まで来ているようにも感じます。
ただし、先に挙げた問題の解決には政治的な判断が不可欠であり、一企業や一個人の力だけでは限界があることは否めません。そういう意味では、分野こそちがえ、バンクーバーオリンピックの女子フィギュアスケートの戦いは、現在の状況を象徴していたようにも思えます。しかし、政府の積極的な関与があったとはいえ、韓国の企業が、グローバルに活躍できる人材の育成や成果主義の徹底など、競争力を高める努力をしてきたことも事実であり、基本には、個々の企業と、その中で働く個人の努力があると思います。
日本の一地方都市、静岡で生きていてはいても、世界の動きとは無関係ではいられないと強く感じます。わずか3日間の観光旅行ではありましたが、今後日本が競争力を高めていくためにも、わたし個人も日々研鑽を積んでいかねばと考える良い機会となりました。
投稿者:研究員 須藤みやび|投稿日:2010年03月29日|コメントを書き込む
- 研究員 須藤みやび
- No.0316
郊外型喫茶店の発展に期待!
静岡市の中心部にはコーヒーショップが多く、どこへ入ろうかと迷ってしまうほどです。思いつくだけでも、ドトール、スターバックス、タリーズ、サンマルク・・・。そして最近では、マクドナルドが安くておいしいコーヒーで大人客の取り込みに成功して話題になりました。異なる系列の店舗が隣接していたり、徒歩5分圏内に同系列の店舗が複数店あったりと、なかなかに競争は激しいようですが、町歩きに疲れた利用者にとっては、思い立ったらすぐに立ち寄れるコーヒーショップは、とてもありがたい存在です。
ところが、一歩町を出て車での移動中となると状況は変わります。上に挙げたコーヒーショップは、あくまでも都市部を想定して作られたものであり、郊外型の店舗はありません。これに代わる施設を敢えて挙げるとしたら、ファミリーレストランになるのでしょうか。
ファミリーレストランは、駐車場が広くて入りやすい上に、注文してから共されるまでの時間が短く時間調整がしやすい、メニューが豊富で喫茶だけでも利用できる、テーブルが広くて打ち合わせなどもできるといった利点から、平日の日中はサラリーマンがよく利用しています。私も、業務上車での移動が多くなり、これまであまり利用したことのなかったファミリーレストランをよく利用するようになりました。そして、遅まきながらその便利さに目覚め、最近では休日の夜に友人と会う時などにも利用するようになりました。
私がよく利用する店は、店舗内が明るく健全な雰囲気なので、夜、女性同士でも安心して入ることができます。そのせいでしょうか、夜の9時過ぎにもかかわらず、女性客を中心に大層賑わっていて、駐車場がいっぱいで入れなかったり、店内でテーブルの空きを待つこともしばしばです。そして、多様な年齢層にも驚きます。10~20代の若者が多いとはいえ、40代以上の女性グループが活発に話をしている場面によく出くわしますし、50~60代の夫婦や女性グループも見かけます。そして、時間帯のせいもあるのでしょうが、しっかりと食事をするというよりもむしろ、軽食やデザート、飲み物を注文して話に興じている人が多く、“夜も安心して利用できる郊外型の喫茶店”として利用されているようにみえます。
とはいえ、そこはあくまでもファミリーレストラン、満員のお客さんで店内は大変な賑わいようで、向かいに座った友人の声が聞こえないこともよくあります。おそらく、従来はファミリーレストランには来なかった一定の年齢以上の利用客は、私も含め、本当はもう少し落ち着いた雰囲気の場所を求めているはずです。しかし、これほど便利で夜間でも安心してくつろげる場所が他にないため、そうした人達がこの店を利用していると感じます。そんな様子を見ながら、「大人が落ち着いてくつろげる郊外型喫茶店の需要は大きいはず。そんな店があれば絶対利用するのに・・・」といつも思っていました。
考えてみれば、日本人の多くは、生活に車が必要ないわゆる“郊外”で生活しています。ダイソーや洋服の青山といった革新的なビジネスモデルも、地方の郊外型店舗から生まれました。ショッピングセンターをはじめ、“郊外型”がこれだけ隆盛を極めている今、それまで街の中にしかなかったものを郊外型に置き換えてみたり、逆に、郊外にしかなかったものを都市型に置き換えてみれば、新たな需要を発掘できるかもしれません。いずれにしても、消費者はどちらかの形態をすでに体験済みなので、新形態への認知もスムーズに進むはずです。
そんなことを考え始めて2年余りが経ったこの夏、近くに、喫茶店チェーンのコメダ珈琲店が出店するという話を耳にしました。コメダ珈琲店は名古屋版のモーニングで有名なので趣旨は違うかもしれませんが、サラリーマンの打ち合わせや休憩需要、私のようなイブニング(!)需要も取り込むことで、同チェーンを皮切りに、郊外型喫茶店の形態が広まり、さらに発展して欲しいとひそかに願っています。
ただし、コーヒーの飲みすぎで夜眠れなくならないよう気をつけねば・・・。
投稿者:研究員 須藤みやび|投稿日:2009年09月02日|コメントを書き込む
- 研究員 須藤みやび
- No.0286
“生産性”は難しい・・・
最近、“生産性”への関心が高まっています。日本は諸外国にくらべて生産性が低いといわれており、(財)社会経済生産性本部の調査によりますと、2005年の日本の労働生産性は、先進7カ国で最下位、OECD加盟国中30カ国中20位と低位に位置しているそうです。特にサービス業においてその傾向が強いといわれていますが、それは、日本で提供されるサービスの質の高さの反映だという意見もあり、一口に生産性といっても、国によって風土や文化的な背景が異なることから、国ごとの生産性を比較することは大変難しいことだと感じます(参考:弊社「経済ファイル」2007年8月号、「SERIまんすりー」2008年8・9月号特集、同10月号 海外リポート)。
先日、システムエンジニアの方と話をした時にも、国によって人々の常識が異なるため、国ごとの生産性の違いを論じるのはとっても難しいという話になりました。その会社では、シリコンバレーの企業にプログラミングの業務の一部を委託していますが、日本側の考えを相手企業の従業員に理解してもらうのにとても苦労するとのことでした。たとえば、製品の使用上全く問題はないものの、仕様上プログラム内の数値を修正する必要が生じた場合、日本人社員であれば特に異論もなく修正作業に入ってくれますが、外注先のアメリカ人からは「その作業に何の意味があるのか。なぜそこまでしなければいけないか」と苦情が出て、なかなか作業にとりかかってもらえないのだそうです。現地の社員説得のため、しばしばアメリカに飛んでいくという彼は、「そもそも合理的なアメリカ人には、使用上何の弊害も無いのに修正作業をすること自体理解できないようだ。世界一厳しいといわれる日本の消費者の要求水準に答えるため、日本製品はいささか過剰品質になっている部分があるのは否めず、それが低生産性の一因といえるのかもしれない。」と言っていました。
生産現場以外でも、オフィスでの生産性向上をうたった本などを読んでいると、「いかに余計な業務を省き最短距離でゴールにいきつくか」が課題とされ、ここでも過剰品質が問題とされています。生産性をあげるには、仕事を指示する側も受ける側も、指示した水準以上のものを要求しても提供してもいけないとありますが、日本企業のオフィス部門では、部下は上司の言外の意図を読み取って上司の要求水準以上の品質の成果物を作成したり、指示された内容に関する周辺情報を調べたりすることがごく普通に行われていますし、こうした気配りは繊細な日本人ならではの美徳ともいえます。「生産性向上のため、過剰品質を排除せよ」といっても、これは日本人のものの考え方にも関わる部分なので、一朝一夕に変えるのは難しいと思われますし、果たして変えることが本当に正しいのかどうかも考えてしまうところです。
今後人口が減少する日本が成長著しい新興国と伍していくには、1人当たり生産性を高める必要があるといわれています。日本人の美点を残しつつも生産性を高める方法は無いものだろうかと、改めて考えさせられました。
投稿者:研究員 須藤みやび|投稿日:2008年10月29日|コメントを書き込む
- 研究員 須藤みやび
- No.0265
行き着くところは人と人との信頼関係
2007年から団塊世代の大量退職が始まり、国内の企業では、これまで培ってきた技能や技術を今後どのように継承していくかが大きな課題となっています。また、人口が減少に転じて人材確保が難しくなってきたことも、技術・技能継承の難しさに拍車をかけているといわれています。
実際、?西部地域地場産業振興センターが平成19年度に実施した「技術・技能継承」に関する調査でも、調査対象企業の実に8割が、技術・技能継承に関する何らかの取組みを行っていると回答しています。技術・技能継承に対する危機感を強めた多くの企業では、それまで熟練技能者個人が暗黙知として蓄えて技能を言語化・数値化したり、形式知化が困難なものついては、社内に学校を設けて直接指導を行うなど、技術・技能継承に向けたさまざまな取組みが行われています。
先日、こうした技術・技能を継承するために先進的な取組みを行っている企業の方からお話を伺う機会がありました。その会社は、日本でも有数の切削加工技術を武器に、宇宙衛星部品などの精密加工を行っています。同社の具体的な取組み内容について一通りお話をうかがった後、「技術・技能継承を行う上で最も大切なことは何ですか?」との問いを投げかけたところ、腕組みをじっと考えていた社長は、「それは、人と人との信頼関係ですね」とおっしゃいました。「指導する側とされる側との間に信頼関係がなければ、せっかくのアドバイスも単なる中傷と思われてしまいます。逆に、信頼関係ができていれば、より良い仕事をするためのアドバイスとして素直に受け入れることができます。」とのお話しでした。
成果主義の導入が進み、社内の人間関係もよりシビアになっていく中で、他人のことなど構っていられないといった風潮も強くなっています。しかし、技術・技能継承に止まらず、互いの信頼関係なしには業務が円滑に進まない場合も多々あります。また、「この人のためなら」といった強い思いが、困難な仕事を前進させる原動力になったりもします。杓子定規にはいかないのが人間関係の難しい部分でもあり面白い部分でもあります。
最先端の技術を支えるのも結局は“人”。他社を寄せ付けない圧倒的な技術力で成長を続ける秘訣を、改めて教えられた思いが致しました。
投稿者:研究員 須藤みやび|投稿日:2008年04月30日|コメントを書き込む
- 研究員 須藤みやび
- No.0246
売れるのは、高いものか安いもの
先日、近所の服屋さんで、「3-5万円のジャケットといった、中間価格帯の商品が売れなくなってきている」という話を耳にしました。これは、その店固有の現象ではなく、同系列の地方の専門店全体に共通して見られる傾向なのだそうです。古くから営業しているそのお店は、比較的裕福な地元の固定客をがっちり掴んでいるため、高価格帯の商品はよく動いているそうですが、従来、普通のサラリーマン世帯の層がそれほど気負いなく購入でき、最もよく出た中間価格帯の商品が、ここ数年の間に明らかに売れなくなってきているとのことでした。
考えられる理由としては、まず、国産品と何ら遜色の無い高品質な輸入品が、驚くほど安く手に入るようになり、消費者がシーンによって異なる価格帯の商品を買い分けるようになったことがあります。加えて、お店の方が肌で感じるのが、「若年層の購買力が明らかに低下してきている」ことだそうです。その店は、若年層については、特に仕事を持つ女性を強く意識した品揃えになっていますが、かつては正社員一辺倒であった勤務形態が多様なものに変わったことで、「昔にくらべて、今の若い人は、服にお金をかける余裕が無くなってきている」と強く感じると言います。
こうした消費者側の変化に対し、アパレルメーカーも対策を打ち出してきており、その店の商品群にも明らかな変化がみられます。それは、ここ1-2年の間に、同一ブランドの中で、値段を半分程度に抑えた廉価版が沢山見られるようになってきたことです。廉価版もそうでないものも商品タグは全く変わらないため、一見しただけでは素人目には区別がつきません。ブランドイメージを損なわないようファッション性は維持しつつ、素材や縫製などで製造コストを抑えているようです。以前から、海外の高級ブランドでは廉価版を出す動きがありましたが、それはあくまで、知名度を上げファンを作るための“入り口”としての意味合いからでした。しかし、最近、日本のアパレルメーカーが、低価格帯のブランドを新たに立ち上げるだけでなく、知名度のある既存ブランドの中で相次いで廉価版を出しているのは、消費の傾向が変わり、低価格ゾーンを積極的に取り込んでいかねば売上を上げることができなくなってきたという背景があるようです。
こうした現象も、今ではすっかり定着した感のある「二極化」という言葉で説明されるのかもしれません。私自身は日々の生活の中で、この言葉をそれほど強く感じたことはありませんでしたし、すべてがこの言葉で説明できるわけではありませんが、消費構造の変化が目に見える形で現れてきていることも事実です。今後、日本の社会はどういった方向へ動いていくのか、そして、それに対しどのような対策を立てるべきなのか。大きな変化の真っ只中にある今だからこそ、将来を見極める力をつけていく必要があると、改めて痛感させられました。
投稿者:研究員 須藤みやび|投稿日:2007年11月05日|













