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  • 常務理事 高橋節郎
  • No.0013

IT化の進展

 内閣府が本年4月に発表した上場企業を対象にしたアンケート調査(回答数1,202社、除く金融機関)によれば、今後3年間(14?16年度)の設備投資計画額の年平均伸び率は全産業平均で+1.2%(製造業+0.8%、非製造業+1.9%)となり、前年度調査の+3.6%(製造業+3.9%、非製造業+3.0%)を大幅に下回った。
 しかしながら、そのうちIT(情報化)投資の年平均伸び率は、過去3年間(11?13年度)が+8.8%であったのに対して、今後3年間も+7.1%と、鈍化はしているものの依然として高率である。

 当研究所が同時期に行った静岡県内の中堅・中小企業に対するアンケート調査(回答数537社)においては、こうした傾向が特に顕著である。すなわち、14年度の設備投資総額は前年度実績見込比△9.0%となったのに対して、IT投資については、同+13.4%(製造業 +12.1%、非製造業 +15.3%)と堅調な伸びを示している。

 このように、企業の設備投資マインドは低調であるものの、IT部門については、前向きに取組む先が多い。これは、IT投資の内容がハードウエア導入の次のステップとして、ソフトウエアに重点を写しつつあることが、大きな要因としてあげられる。

 一般に、企業経営でITを活用する目的には、コスト削減や在庫圧縮など経営の効率を改善すること、また、新たな経営手法の導入と相まって事業・業務を刷新することの2つがある。そして、今後、ブロードバンドの拡大と携帯電話等のモバイル機器の普及により、電子商取引がさらに活発化すると考えられることや、仕事のやり方を根本的に見直すBPR(業務再構築)やCRM(顧客情報管理)などの手法が、新しいビジネスモデルとして、経営の根幹に関わっていくとみられることから、後者の事業刷新のための戦略的なIT活用は、その重要性を一層増していくと予想される。

 ところで、わが国の全人口に占めるインターネット利用者数は、総務省調査によれば、この1年間で900万人増え、13年末で5,600万人となった。これは全人口の44%に当たるが、この数字(世界第16位)は、米国の59%(同第4位)に遠く及ばず、香港、台湾、シンガポール、韓国といったアジア諸国にも劣後している。

 こうした実態を鑑みて、わが国でも昨年、「e-Japan計画」において、5年以内に世界最先端のIT国家となり、知識創発型社会を目指す、というIT国家基本戦略が作られた。これには、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成や電子商取引の推進、国と地方とが一体となった電子政府の実現等が謳われている。

 米国発のITバブルは崩壊したが、企業経営や市民生活にITが今以上に浸透していくことは間違いないとみられるだけに、IT化の動向には引き続き注視していく必要がある。


投稿者:常務理事 高橋節郎|投稿日:2002年05月31日|

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