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  • 常務理事 高橋節郎
  • No.0191

初心忘るべからず

 最近の景気拡大や好調な企業業績を反映して、雇用関係の指標も好転している。本年3月の失業率は前月と変わらず4.1%で、引続きここ数年来の最低水準を維持するとともに、有効求人倍率は1.01倍で昨年12月以来4カ月連続して1を上回った。こうした良好な雇用環境を受けて、来春卒業予定の大学生・大学院生の採用計画も大幅に増加している。

 株式会社リクルート社傘下のワークス研究所によれば、景気の堅調さと今後予想される団塊世代の大量退職という事情などから、2007年卒業予定の大学生・大学院生を対象とする全国の民間企業の求人総数は82.5万人と、昨年より12.6万人増加し、バブル期(1991年)の84万人に次ぐ水準となった。一方、学生の民間企業就職希望数は43.7万人で昨年とほぼ変わらないことから、新卒の求人倍率は昨年の1.60倍から1.89倍に上昇し、学生にとっては久々の売り手市場といえる。

 そのため、企業側は新卒採用に加えて、大卒の中途・通年採用を増やしているという調査結果も出ている(4月26日付日本経済新聞)。一方、社員の意識も従来と異なってきている。大手志向・安定志向は変わらないものの、就職しても3年以内に離職する者が中卒者の7割、高卒者の5割、大卒者の3割を占めるという、いわゆる「7・5・3現象」が恒常化してきた。すなわち、「就職」が、かつてのような「就社」を意味するものではなくなっているのである。加えて、ここ数年にわたり企業が実施してきたリストラの中で、派遣社員やパートタイマーなどの非正規社員の割合は確実に増えつつある。

 こうした中、今年度の県内経営者による新入社員向けメッセージをみると、「挑戦意欲」、「自己研鑽」、「良き社会人」という言葉が多かったように思う。いずれも言い尽くされた言葉ではあるが、よくよく考えてみると、これらは新入社員に向けた言葉というだけでなく、すでに企業に勤めている社員全体に対しても通じるものといえる。つまり企業は、社員がこうしたメッセージを実践できるような環境を整えることが肝要であろう。特に、現在のように、雇用形態が多様化して、各人のロイヤリティやモラルの高さを維持することが難しくなっている状況においては、そうした企業風土を醸成することの重要性は増している。それにより、「人材」が「人財」となり、企業の永続的発展に寄与することが期待される。トップによる新入社員向けメッセージをみて、改めて「初心忘るべからず」ということを痛感した次第である。

投稿者:常務理事 高橋節郎|投稿日:2006年04月28日|

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