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  • 常務理事 高橋節郎
  • No.0172

数字の裏付けが不可欠

 「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」(山田真哉氏著、光文社新書)という本が売れている。まず、この表題のみでは何を言っているのかわからないところが、読者の関心をそそる。「さおだけ屋」とは、「たーけやーさおだけー」というメロディーにのせて、洗濯物を外に乾すための「さおだけ(竿竹)」を売っている業者のことで、彼らの商売がどのように成り立っているのかを会計学的に解き明かすところから本書は始まる。「さおだけ屋」を見かけたことのある人は多いだろうが、どうみても「さおだけ」が飛ぶように売れているとは思えないし、それだけで商売が成立つとは考えにくい。その謎を理論的に解いていくことで、読者は会計学的な知識が身につくという実務書である。結論から言えば、「さおだけ屋」の謎は、実は売上が高い一方、仕入れの費用が安いところにあるのだが、そこに至る説明が実にわかりやすい。

 また、郊外の住宅地にある高級フランス料理店が何故やっていけるのかという設問に対しては、副業として料理・ワイン教室を実施することで本業の商売が成立っているという実例を出して、最終的には企業における連結経営の重要性を説いている、といった具合である。

 以下、在庫と資金繰り、機会損失と決算書、回転率、キャッシュフローなどの会計学的テーマを、身近な例を示しながらやさしく説明しており、ついつい読者は引き込まれる。
会計学という、一般的には無味乾燥なテーマを、高校生でも理解できるようなレベルで書いていることがベストセラーとなった理由であろう。

 会計の数字は企業の状態を映し出す鏡であり、経営活動は必ず会計の数字に反映される。
 つまり、企業経営と会計とは切っても切れない関係にある。書店に行くと、会計や財務に関する本があふれているが、逆にいえば、この分野はそれだけ理解しにくいからであるとも言える。本書のように、難しいことをやさしい例を使って説明するには、著者が事の本質を本当に理解していないとできないことであり、会計の本質を知る上で本書を一読する価値はあるものと思われる。
 
 本書の中で、「優秀な経営者には、おさえるべき数字はちゃんとおさえている人が多い」というくだりがあるが、この良い例が、やはり最近流行りの本で、株式会社ハマキョウレックス社長の大須賀正孝氏が書かれた「やらまいか!」の中にみられる。この本の中で、同社長は、商売の秘訣や、「やる気」の重要性を厳しいながらもユーモラスに語る一方で、「収支日計表」を作成することにより原価計算をきちんと行うことの重要性を説いている。
 商売を成功させるには、数字の裏付けが不可欠であるということであろう。

投稿者:常務理事 高橋節郎|投稿日:2005年09月30日|

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