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- 特任部長 内野孝宏
- No.0257
「富士山静岡空港」利活用の視点
静岡県にとって、初の「空」のインフラである「富士山静岡空港」の開港(平成 21年3月予定)まで、あと1年に迫った。それまでは、土地の収容問題などもあって「必要論議」に終始せざるを得ない面もあったが、ここにきて、ようやく、空港建設の本来の目的である「利活用」についての論議へと動き出した感がある。
こうした利活用論議はいろいろな場面を通じて接する機会があるが、ただ、その熟度をみると、現段階においては産業間及び地域間で温度差があることは否めない。たとえば、観光などは、空港利用のイメージが広がりやすいこともあり、すでに東アジアの国々の観光ニーズの把握や静岡県内の観光ルートマップの作成など、かなり具体的な論議に至っている半面、ビジネスユースとなると今一つの感がある。また、地域別には、お膝元の中部は比較的活発であるが、東部・西部に関しては、羽田・中部セントレアの両空港との距離もあってか、どうしても迫力に欠けるようだ。
これは、おそらく「初」ということで空港情報が静岡県に集積されておらず情報源に乏しいこと、とくに静岡県の場合、インフラについては、高速道路にしても鉄道にしても、「国の政策の中での建設」という経験でしかないことが「活発な利活用論議を生む風土になっていない」のではないだろうか。
ここで、空港利活用の全体像について、他空港での視察経験などを踏まえて私なりに整理してみると、その視点としては、(1)空港は道路や港湾と同様、産業や生活のためのインフラ(ツール)であり、地域への経済波及効果を高めるには、「地元にいかにカネを落としてもらうかの仕組みづくり」を地域が主体となって戦略的に展開することが重要、(2)地域への大きな経済波及効果に結びつけるためには、空港機能を支える産業群(機内食、リネンサプライ、警備・清掃、物販・飲食、バス・タクシー・レンタカー)以外においても、幅広く空港を利用した需要創造を行うことがポイント、(3)それには、「富士山静岡空港」の特性を活かす方向での検討が有効-などが挙げられよう。
なお、(3)の「富士山静岡空港」の特性分析については、現在の想定路線を前提に「SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)」(下表A参照)を行い、また、(2)の幅広い「需要創造」については、ア.臨空ビジネスモデルの形成による既存産業の活性化・高付加価値化(フライト農水産業、観光産業、製造業、サービス業)、イ.政策誘導による新産業の育成・誘致、ウ.長期的な地域活性化効果などを挙げてみたので、参考にしていただければ幸いである(下表B参照)。
空港というインフラの最大の特徴は、「遠隔地を迅速に点と点で結ぶ」、「途中下車なし」のインフラということである。つまり、空港までの移動や目的地への移動はピンポイント的な動きが強く、周辺地域において、ついでに「○○する」という動線があまりみられないため、「まちづくり」など地域開発が起きにくいことである。利活用への取組みは、これからが正念場を迎えるが、地域への大きな経済波及効果に結びつけるためには、空港を高度利用していくための取り組みを、各地域・各産業または地域間・産業間で幅広く、静岡県の空港として官民が連携しつつ戦略的に展開していくことが重要である。
投稿者:特任部長 内野孝宏|投稿日:2008年02月14日|
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