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  • 特任部長 内野孝宏
  • No.0095

期待大きい大学改革

 国立大学は、本年4月1日を以って、独立行政法人へと移行する。小泉内閣の「聖域なき構造改革」の一環である。

 改革の目玉は「運営費交付金」の新設であろう。これまでのように目的・使途がヒモ付きで決められた予算配分というものでなく、使途自由な交付金という形で国から渡されるため、自ら予算を組むことができることや、収益化して翌年度への繰越しもできる。ただし、運営費交付金は、第三者評価の結果に基づき配分されるため、大学の自主裁量が増える反面、経営努力や状況によって増額・削減のメリハリが反映される仕組みとなる。

 今後の大学に期待される役割はきわめて大きい。ひとつは、高等教育機関として「知」を創出する担い手としての役割である。高齢化社会を迎える中で、資源のない日本が今後も高い国際競争力を維持していくための武器は、誰もが指摘するように「知」以外に何もないだろう。

 先日、回路設計部門等で中国の技術者を採用している電子制御機器メーカーを訪問したが、「中国製品に安かろう、悪かろうのイメージなんてまったくない。優秀な技術者を確保するなら、日本の新卒よりも中国だよ。人口13億人も抱えるだけに、探せば想像を絶する天才もいる」と言われ、この会社が好業績を続ける会社だけに愕然とした。ただでさえ、世界の中で日本の学生の学力低下が叫ばれており、多くの企業が頭脳までも海外調達する方向に傾かないよう努力していくことが今後の大学の責務ではないだろうか。

 もうひとつは、研究開発機関としての役割である。原理法則を発見するような「基礎研究」を地道に推し進めていくことも大学に課せられた重要な使命であることに変わりないが、一方では、今回の大学改革の大きな狙いである「自ら稼ぐ体質になる」ための産官学連携事業を一層推進することが重要である。スピード競争の時代であり、情報開示しながら逸早く研究成果として結果を出す。そのためには、地域企業への技術開発支援など、収益を生み出す「応用研究」を重視することがますます重要となろう。

 静岡大学では、こうした状況を睨んで、昨年10月に「イノベーション共同研究センター」を設立した。静岡大学が得意とする光・電気・電子、情報システムなどの研究分野に関する技術相談の窓口であり、?地域企業等との共同・受託研究、?大学発ベンチャーの支援・育成、?大学のシーズ創出、?知的財産の創出支援・管理・活用などを統合する組織として設立された。

 先般、当センターの担当教官と面談させていただく機会があり、国立大学の先生が民間からスカウトされたことにも驚いたが、「大学の先生の意識改革から進めています。地域との接点を求める仕組みも積極的に仕掛けます」という言葉の中に、大学の生き残りをかけた強い意気込みと熱意を感じることができた。実際、地元の金融機関や商工会議所に精力的に働きかけて、中小企業が気軽に技術相談を持ち込める連携体制の整備を進めている。

 その一環として、今回、当研究所では静岡大学より「産学官連携と技術相談に関するアンケート調査」のお手伝いをさせていただくこととなった。利用実態や課題・問題点、大学への期待など、地域中小企業の産学官連携についてのニーズを整理することで、今後の産官学連携強化の施策に反映させるための調査である。是非ともアンケートへのご協力をお願いするとともに、「大学は敷居が高い」との既成概念を捨てていただき、気軽にドアをノックする姿勢と機会をもっていただきたいと考えている。


投稿者:特任部長 内野孝宏|投稿日:2004年02月12日|

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