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- 特任部長 内野孝宏
- No.0069
「自動車リサイクル法」施行による影響
現在、全国で年間約500万台の使用済み自動車(廃車)が排出されているが、その部品を回収してリサイクル処分を義務づける「自動車リサイクル法」が2004年度より施行される見通しとなった。指定回収品目は、フロン類、エアバッグ、シュレッダーダスト(破砕くず)の3品目であり、対象となる自動車は、被けん引車・二輪車と大型・小型特殊を除くすべての自動車となる。
廃車処理については、これまでも金属部品の8割程度を自動車解体業者や破砕業者が再利用してきた。しかし、シュレッダーダストについては、鉄スクラップ価格の低迷などにより再利用が難しくなっていることや、埋め立て最終処分場が逼迫していることから、不法投棄への懸念が高まっている。こうした従来のリサイクルシステムが機能不全に陥ることのないよう循環型社会システムを構築していくことが本法律施行の背景にある。
リサイクル法については、これまでも家電、建設、食品など業界別に、個別商品ごとに制定されてきた。今回の「自動車リサイクル法」が、これまでのリサイクル法と大きく異なる点は、料金の徴収方法の違いにある。たとえば、家電リサイクル法では、廃棄時に料金が徴収されるが、自動車は新車購入時に含む(既存の車は最初の車検時に所有者が負担する)ことになりそうだ。いまのところ、1台あたり2万円程度の負担になるとみられるが、今秋頃にメーカーがこの費用を公表することになっている。
その費用は、本法律の施行により新たに設立される「資金管理法人」が一括管理して、最終責任者としての自動車製造業者と自動車輸入業者に払い渡される仕組みである。ただし、実際のリサイクル処理は自動車解体業者やフロン回収業者、破砕業者などの専門業者に委託することになりそうであり、リサイクル処理状況の管理については、電子マニフェストという帳票を使用して「情報管理センター」が行う仕組みとしている。
つまり、自動車リサイクル法では不法投棄による費用負担の回避という逃げ道を残さないようにしていることと、生産者拡大責任という考え方がより明確になっていくことである。
自動車の販売価格に最初からリサイクル費用を含めたことは、製品開発コンセプトの中に、リサイクルコストの低い自動車の開発ということが従来よりも一段と重視されていくものと思われる。たとえば、解体しやすさを考慮したボディーの設計やシュレッダーダストが発生しないような素材開発などである。
一方、自動車解体業者やフロン回収業者、破砕業者などの専門処理業者にとっては、処理費用の負担が明確になることで、新たな事業機会として参入する企業が増えることが予想される。また、自動車メーカーは、大量に廃車を仕入れて機械化により低コストで処理できる業者に委託処理を集中するなど、効率性追求への対応状況により、業者間格差の拡大を促すことになるものと思われる。
静岡県でも、本法律施行に伴う影響や業界の対応方向を検討する研究会を立ち上げた。自動車業界は静岡県の基幹産業であるだけに、「自動車リサイクル法」が新たな競争条件となって業界再編を促すことも十分に予想されており、完成車メーカー、部品メーカー、各専門処理・修理業など、個々の業界における今後の動向が注目される。
投稿者:特任部長 内野孝宏|投稿日:2003年07月18日|
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