ウィークリーコラム

ホーム > ウィークリーコラム > 特任部長 内野孝宏 > 景気診断にもバイオマーカーの開発を

  • 特任部長 内野孝宏
  • No.0042

景気診断にもバイオマーカーの開発を

 文部科学省は「都市エリア産学官連携促進事業」を推進する全国19地域を選抜した。当事業は地方大学などの「知恵」を活用し、産学官連携事業の促進により新規事業の創出などを図るのが狙いで、静岡県中部(静岡市、清水市、焼津市)は、「心身ストレスのバイオマーカーの構築と抗ストレス評価システムの開発」を研究課題とする地域として地域指定を受けた。

 具体的には、静岡県立大学(食品栄養科学部、薬学部)、静岡大学、東海大学、県静岡工業技術センターなどが研究機関の核となって、これら機関の研究シーズを地域企業とともに共同研究開発に結びつける。研究内容としては、各種ストレスが脳、神経、血流等に与える影響を解析して、ストレスに対応するバイオマーカーを活用した抗ストレス評価システムを開発し、生理活性物質の探索と食品・医化学品素材への応用を図るものである。

 静岡県の中部地域は、多種多彩な食品産業、化学産業、医薬品産業など幅広い関連産業の集積とともに、お茶やみかん、魚介類などの特産の農林水産物なども豊富であり、有効成分となり得る素材や抽出・開発技術には十分な素地を有する地域といえる。共同研究開発事業等に対して年間1億円程度の助成を3年間に及び受けられることとなるが、これまでのように個々の企業がそれぞれのテーマで行う研究開発に対する助成でなく、業種横断的に地域が一体となり、しかも大学が進める基礎研究分野を起点に世界最先端の研究地域を目指す点が注目される。

 今まで漠然とした不安でしかなかった生活習慣病等の原因となるストレスの負荷状況やメカニズムを解明し、各個人の生体や状態に合わせた有効成分を投与できるようになれば、ストレス社会に生きる現代人の潜在需要が一気に顕在化することが期待される。ひるがえれば、日本経済も似た状況にあり、「キャッチアップ」が終焉して明確な目標像や将来ビジョンが見出せない中で、デフレ経済の浸透、中国の急追、IT革命、少子高齢化など様々なストレスが襲い、財政問題をはじめとする各種の制度疲労が起きている。

 「日本経済は重い肺炎にかかっており、すでに血圧も下がり始めている」と表現するエコノミストもおり、確かに、不良債権といった悪性腫瘍の除去手術や体質改善のスリム化策ばかりでなく、栄養補給による癒しの処方箋も必要と思われる。適切な治療を行うためにも、景気判断を各種統計指標によって後追いで行うのでなく、リアルタイムで景気診断ができるバイオマーカーを開発して有効成分を適切に投与できる仕組みづくりを構築することが経済分析に携わる人にも求められているのかもしれない。今年こそ、日本経済が健康体を取り戻すことを期待したいものである。

投稿者:特任部長 内野孝宏|投稿日:2003年01月06日|

ページの先頭へ

入会お申し込み・資料請求について 入会および維持会員への切り換えなどに関するご照会・お問い合せは、総務部会員担当までご連絡ください。
また、入会資料の送付をご希望される方は、入会お申し込み・資料請求フォームよりお申し込みください。電話番号 054-250-8750 E-mail info@po.seri.or.jp 受付時間 9:00から17:00 祝日 土・日・祝除く入会お申し込み資料請求フォーム

  • 維持会員専用サイト

カテゴリー

最近の投稿

月別

  • サービス案内
  • 財団法人 静岡経済研究所 書籍のご案内
  • 静岡経済がわかるリンク集
  • 静岡県内事業者一覧
  • 研究社員紹介
  • マーケットプラザ