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  • 特任部長 内野孝宏
  • No.0028

より広い視点での「空港経営」議論を

 静岡県は、静岡空港の運営方法を検討する組織として「空港戦略プロジェクト会議」を発足させた。県内企業や学識経験者等をメンバーとして、?民間活力を活用した空港経営のあり方、?空港を活用した物流の高度化、?国際的な産業戦略に対応した空港機能のあり方などを集中的に検討することとなっており、先頃、?の空港経営については、その中間整理案が示された。

 ここで議論している民間活力の導入に向けた「空港経営」の対象とは、空港ターミナルビル(ランドサイド)と滑走路などの空港本体施設(エアサイド)である。中間整理案では、従来のような「空港ターミナルビル」だけを第3セクターの経営形態で運営するのでなく、滑走路、エプロンなどの空港本体施設を含めて一体的に経営することとしており、国内の地方空港では初の試みとして注目を浴びているようである。

 公共事業の非効率性や財政状況が悪化していることを考慮すれば、民間活力の導入についての議論を進めることはもちろん重要である。ただし、他空港との手法の違いをクローズアップしてしまうことで、「空港経営」に対する視野を狭めることだけは避けたいものである。つまり、静岡県にとっての空港経営の本質は、「空港をいかに利活用し地域経済を活性化していくか」であり、静岡県としての空港活用戦略を明確にした上で、そのための戦術論や手法論を展開することが重要であることをもう一度よく確認しておきたいことである。

 とくに静岡空港の場合、他の空港と違って東京と結ぶための空港でなく、地方間を結ぶローカルネットワークの空港である。新幹線との競合状況などを考えた場合、他の交通手段から振り替わる「代替需要」に期待するよりも、たとえば北海道が近くなったことでスキー客を増加させる、あるいは静岡の観光に足を運んでもらう「新規需要」開拓ための知恵や工夫について民間活力を引き出すことの方が、「空港経営」として重要である。

 また、静岡空港の設置による一番大きな期待は、高速道路や新幹線、港湾等これまでの交通インフラと違い、直接、海外と短時間でダイレクトに結ぶことのできる交通手段を持つことである。ハブ空港化を進めている韓国(仁川空港)、上海(浦東新空港)、新香港空港などと定期便を結べば、世界とのネットワークが一挙に広がることとなる。それをいかにビジネスチャンスに結びつけるか、いかに交流を拡大し「需要創造」に結びつけるか、民間活力の導入議論はそこに集中すべきである。そうした中で、それを実現するひとつの手段としての空港ターミナルビルや空港本体施設といったハード施設・サービス提供施設の運営について、官と民との役割分担を明確にしていくことが必要と考えられる。

投稿者:特任部長 内野孝宏|投稿日:2002年09月27日|

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