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主席研究員 岸本高昌 のコラム

  • 主席研究員 岸本高昌
  • No.55

『スポーツ産業』に一層の注力を

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催の決定に続き、2019年にラグビーワールドカップの日本開催も決まった。静岡県ではエコパスタジアムがラグビー試合会場の1つにあげられるなど、県民のスポーツへの関心が大いに高まっていくことと思われるが、これを機に、ビジネスとして静岡県型スポーツ産業の振興が期待される。
 『スポーツ産業』とは、ゴルフのクラブやウエアといった用具の製造や販売に取り組む「スポーツ用品製造・流通産業」、スポーツに絡んだ旅行や書籍・雑誌の販売などの「スポーツサービス・情報産業」、フィットネスクラブやスイミングスクールといった「スポーツ施設・空間産業」が含まれる。また、プロスポーツを中心とするエンターテインメント産業もこの3つが融合したハイブリッド産業としてスポーツ産業に包含される。これらを合わせたスポーツ産業の市場規模は、日本全体で11兆円を超えるという。
 もともと静岡県は、サッカーのJリーグや、バスケットボールのBJリーグといったプロスポーツをはじめ、学生スポーツや市民スポーツが盛んな土地柄であり、静岡県も、スポーツ産業の振興に取り組んでいる。東・中・西部のそれぞれに「スポーツ産業振興協議会」が設けられ、地域性を活かした取組みが産学官によって行われている。
 西部地域では、63団体・企業が集まり、スポーツ用具のメーカーなどが中心となって、主に中高年層を対象としたウォーキングの普及や、成人向け体力診断システムの開発等の実証実験に取り組んでいる。
 また、東部地域では、67団体・企業が集まり、最近増加している自転車でのツーリングに向けて、富士ひのきの間伐材を利用したサイクルラックを製作するなど、自然と観光的な要素を取り込んだスポーツ産業創出のための実証実験を行っている。
 中部地域では、24の企業・個人などが集まり、サッカーを切り口に、イベント開催等を通じて、新商品や新サービスの開発等に取り組み、起業者の創出を狙っていこうとしている。
 静岡県商工振興課によれば、「スポーツを切り口とした産業化の取組みは、他県にはみられない静岡独自の取組み」とのこと。人口減少社会の下で新たな産業起こしが課題となる中、複数の産業を組み合わせて商品・サービスの高付加価値化を図る「産業融合」を、いかに図っていくかが鍵になる。
 次世代産業を創出していく上でも、ハイブリッド産業としての特徴を持つスポーツ産業の振興に、一層の注力を期待したい。

投稿者:主席研究員 岸本高昌|投稿日:2015年05月01日|

  • 主席研究員 岸本高昌
  • No.41

「女性の活躍」推進には働き方の見直しを

 アベノミクスの成長戦略の柱の一つに「女性の活躍」が掲げられている。少子高齢化が進み、労働力人口の減少が懸念される日本。経済・社会の活力を維持していくためには、女性の社会進出をもっと促していくことが欠かせないという考えが背景にある。しかし、現実に女性を戦力化していくためには、社会慣習や家庭の事情、個人の価値観などさまざまな制約があり、進めにくいのが実情だ。


 静岡県の女性の有業率(15歳―64歳で、ふだん、収入を得ることを目的として仕事をしている人の割合)は約53%で、全国平均の約49%を上回る。ただ、女性の職業について「子どもができてもずっと職業を続けるほうが良い」と考える人の割合は、全国が約46%であるのに対して、静岡県は32%にとどまる。つまり、静岡県の働く女性は、仕事よりも子育て・家庭を大事に生活していきたいと考える傾向が強いことがわかる。


 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(内閣府)では、仕事と生活の調和が実現した社会を、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」としている(傍点は筆者)。つまり、仕事と生活の調和とは、生活の時間を充実させるだけではなく、責任ある仕事を通じて生きがいを感じられることが重要になる。家庭を大事にしたいと考える傾向が強い女性社員でも仕事にやりがいを感じることができるかどうかで、女性の意識は大きく変わってくる。


 ワーク・ライフ・バランスの推進のために、多くの企業で育児や介護などの両立支援制度の整備がなされている。そうした中で、女性社員が生き生きと働いている職場に共通していることとして、仕事内容に男女の差を設けないことと、両立支援制度の利用に際してお互い様の雰囲気づくりができていることがあげられる。女性だからといって単純な仕事や補助的な仕事にとどめるのではなく、やりがいを感じられる仕事を任せ、男性社員と同等に業績を評価する。また、育児休暇の取得などに際しても、女性社員も男性社員もお互い様の気持ちで、気兼ねなく取得できるようにすることである。


 最近は、イクメンという言葉があるように、子育てに積極的に携わりたいという男性社員も増えてきている。女性社員が生きがいを持って働ける職場づくりは、男性社員にとっても働きやすい職場にもつながる。結果として、職場全体での働き方が見直され、生産性の高い企業への転換が図られていくことになる。

投稿者:主席研究員 岸本高昌|投稿日:2013年11月28日|

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