企画部長 岸本高昌 のコラム
- 企画部長 岸本高昌
- No.0370
女性の就業促進のために一層の意識改革を
平成22年国勢調査の抽出速報集計結果が発表になった。わが国の労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は62,405千人で、労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は60.7%で、平成7年の63.9%をピークに低下傾向が続いている。また、男女別にみた労働力率は、男性が73.4%、女性が49.1%と、男女間で大きな開きがある。
少子高齢化社会を迎え、わが国が持続的な経済成長を果たしていくためには、潜在的な能力を有する人たちの労働市場への参加を促していくことが求められるが、特に女性の労働力率をいかに高めていくかが重要であることがわかる。
女性の労働力率が低い一番の理由は結婚、出産、育児などにより、仕事を辞めてしまうことにある。実際、年代別にみた労働力率は、男性は学校を卒業し会社を定年退職するまでの長い期間を山とした台形型のカーブを形作っているのに対して、女性の場合は学校卒業後の就職の時期と子育てが終了し再び働き始める40歳代後半の2つの山ができ、子育て期となる30~40歳代が谷となるM字型カーブを形成している。
このM字型カーブは、男女雇用機会均等法が施行される直前の昭和60年からみると、谷のへこみが年々なだらかにはなってきている。具体的には、昭和60年のM字型カーブの谷は49.3%(30~34歳)であったが、平成22年では67.3%(35~39歳)である。M字型カーブがなだらかになってきている背景には、働く女性の活躍推進やワークライフバランスの実現、短時間労働者と正社員との均等待遇の推進となどいった、男女共同参画のための様々な取組みが行われてきたことが大きい。
女性の労働力率を高めていくためには、今後さらに、このM字型カーブの解消を図っていく必要がある。その取組みに向けた課題としては、第1に、働く意欲はあるものの就業に結びついていない人への対応である。総務省の「労働力調査」(平成22年)によれば、女性の就業率と潜在的労働力率との差は30~34歳の場合で15.3%になっている。第2に、就業を希望しながらも家事や育児のために仕事が続けるのが難しいと考えて求職活動を行っていない女性が少なからずいることへの対応である。前述の労働力調査によれば、就業を希望しながら求職活動を行っていない女性において、家事育児のため仕事が続けられそうもないと考えている人の割合は30~34歳の場合で65.3%にも上っている。
子育て世代の女性の就業希望をかなえていくためには、仕事と家事・育児を両立できる環境の整備がさらに必要であることがうかがえる。もちろん、法律が整備され、保育所等の充実といった環境は整ってきている。ただ、今後はこうした制度面での環境の整備の充実に加えて、市民一人一人の意識の醸成がより大切になっていくと思われる。私たちの周りには、未だ男は仕事、女は家庭といったような考えを持った人が少なからずいる。それは男性のみならず女性にもおり、制度は整備されてきているにもかかわらず、そうした意識が女性の働く機会を狭めている。わが国が今後も持続可能な経済成長を続けていく上で、また、女性が生きがいのある人生を過ごしていく上でも私たちの意識を一層変えていかなくてはならない。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2011年08月19日|コメントを書き込む
- 企画部長 岸本高昌
- No.0356
大型専門店の行方
先日、長年使っていた石油ストーブが壊れたので、静岡市内にある家電量販店のヤマダ電機に行った。
暖房器具売り場には、石油ストーブのほか、電気ストーブやこたつ、ホットカーペットなど様々な製品が並んでいたが、従来使っていたようなタイプの石油ストーブを購入することにした。
その時、ちょっと気がついたことがあったのだが、それはなぜ家電販売店に石油ストーブを置いているのかということである。家電量販店に石油ストーブを買いに行ったのもおかしな話なのかもしれないが、石油ストーブは電気製品ではないのだから置いてないのが普通ではないかということ。そう思ってよくよく店内を見回してみると、家電量販店と言いながら家電だけを販売しているわけではなく、ブランドバックや時計、DVDやCDといった映像・音楽ソフトやおもちゃ、菓子や飲料品など、きわめて多様な商品を販売していることに気がついた。
ちなみに、隣接するコジマも同様で家電以外に薬や玩具などを置いているし、最近浜松駅前に出店したビックカメラも、元々、カメラ販売店であったのが、今ではパソコン、OA機器、家電製品、時計・宝飾、メガネ・コンタクト、酒、スポーツ用品、自転車なども販売している。ヤマダ電機では中古車の販売・買取を一部店舗で行っており、今後、電気自動車の販売も手掛けるという(ビックカメラも)。
総合スーパーのイオンやイトーヨーカドーは呉服店や洋品店といった専門店としての創業であったが、業態化、チェーン化を進める中で規模を拡大してきた。同様に、家電量販店も家電専門店やカメラ専門店として創業しながら業態化を進めながら成長してきているといえよう。一般にヤマダ電機やビックカメラなどは家電量販店、換言すれば大型専門店と言われるが、個人的には総合カテゴリーキラーというべき業態になっているように思う。カテゴリーキラーとは、特定の分野(カテゴリー)の商品のみを豊富に品揃えし、低価格で販売する小売店業態を指すが、多様なカテゴリーでの圧倒的な品揃えとリーズナブルな値段が魅力の総合量販店として、その特徴をさらにブラッシュアップしていくことに期待したい。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2010年12月27日|コメントを書き込む
- 企画部長 岸本高昌
- No.0308
飽和状態にある静岡県の小売商業 ―量から質への転換で商業力のアップを―
商業統計調査報告書によれば、平成19年の静岡県内小売業の年間商品販売額は11兆547億円で、平成9年からの10年間に△8.3%減少した。商店数もこの10年で△19.9%も減少したが、一方で、売り場面積は+9.4%の増加であった。
売り場面積が増加したにもかかわらず、販売額が減少しているという現象は、全国的に見られる傾向である。この10年間で、全国の小売業における売り場面積は+16.9%増えたが、年間商品販売額は△8.8%の減少となっている。
これまでは、中小商店と大型店との競争の中で、中小商店の廃業などにより商店数は減少しながらも、大型店の郊外立地により、販売額は伸びてきた。実際、平成9年対昭和63年をみると、静岡県の売り場面積は+32.9%増え、年間商品販売額も+29.3%増加した。しかし最近の状況は、売り場面積が増えても、売上は減ってしまう、つまり、大型店が出店しても、商業力アップには結びつかないという状況になっている。
これは一体どういうことなのだろうか。その大きな理由として考えられるのは、デフレの影響であろう。そして、静岡県全体の消費額を算定する元となる人口がほぼ横ばいで推移していること、また、景気低迷により家計支出額が減少していることにあるといってよいだろう。静岡県の人口は、平成9年から平成19年までの10年間に+1.2%増とほぼ横ばいであり、家計支出額を静岡市の勤労者世帯の1カ月当たりでみると、10年間で約5万円も減っている。
こうしてみると、高度成長期以来続いてきた、大型店の立地促進による販売増というわが国小売商業成長の図式が限界に来ているのではないかと考えさせられる。まちづくり3法が改正されたことで1万平方メートル以上の大型店の出店が厳しく規制されるようになったこともあり、これからは、量の拡大で販売額を増やすのではなく、質の向上に目を向けることがより重要になっていかざるを得ないように思う。
小売業界の牽引役である百貨店や総合スーパーの販売額は伸び悩み、これまで著しい成長をみせてきたコンビニエンスストアの販売額も鈍化する傾向にある。一方、家電や衣料、住居用品などの専門量販店などが消費者の支持を集めており、業態間の競争は激化している。今後は、規模の追求から、差別化による高付加価値化への転換が一層求められていくのではないかと思う。
○静岡県の小売業の推移
商店数(店) 年間商品販売額(億円) 売り場面積(千平方メートル)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平成19年 36,786 40,781 4,539
平成9年 45,921 44,488 4,148
昭和63年 51,130 34,400 3,122
資料)静岡県企画部経済統計室「商業統計調査報告書」
○静岡市1世帯当たりの1カ月間の収入と支出(勤労者世帯)
実収入(円) 消費支出(円)
――――――――――――――――――――――――
平成19年平均 540,548 307,180
平成9年平均 589,663 356,883
昭和63年平均 493,790 319,661
資料)静岡県統計協会「静岡県統計年鑑」
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2009年07月02日|コメントを書き込む
- 企画部長 岸本高昌
- No.0293
富士山静岡空港の利活用のために広域観光・交流プログラムの策定を
富士山静岡空港の開港予定日が6月4日(木)に決定した。就航路線は、国内6路線1日10便、海外2路線週11便が決定している(平成20年12月18日現在)。就航先は、札幌、福岡、沖縄、ソウル、小松(石川)、熊本、鹿児島となる。また、スイス行きのチャーター便の運行も決定している。開港により、こうした都市からのビジネスパーソン、観光客が増え、静岡県との交流が大いに盛んになることに期待したい。
開港日決定までには紆余曲折があったが、富士山静岡空港が真に“県民の空港”となるためには、これからの利活用促進の取組みいかんによると言える。静岡県の空の玄関口である富士山静岡空港に多くの飛行機が離発着しても、利用者が県外に直接流れてしまうのでは静岡県の活性化にはつながらない。静岡県民自身が利用しやすい、集いやすい空港づくりを進めていくのと同時に、富士山静岡空港に降り立つビジネスパーソンや観光客がどれだけ静岡県内で観光・交流をしてくれるかが重要になる。
富士山静岡空港よりも先に開港した石川県の能登空港は開港6年目を迎える。当初より、定期便は羽田便だけだが、チャーター便が平成19年度で55便、20年度も10月までに45便あった。チャーター便のほとんどが台湾からの観光客で、4泊5日程度で金沢市内、黒部立山アルペンルート、飛騨高山、名古屋などを回り、日本を代表する旅館である加賀屋へ泊まるのが人気のコースだという。
また、開港15周年の福島空港は、国内定期路線は札幌や大阪、沖縄、国際定期路線はソウル、上海と結ばれているが、特徴的なのは、韓国から多数のゴルフ客が来る点である。韓国にはゴルフ場が少なく、料金も高いため、福島県までゴルフだけをやりにくる客が少なくないという。
富士山静岡空港の利活用については、富士山静岡空港利用促進協議会が組織され、官民一体となっての利用促進、需要拡大に向けた取組みが進められているが、先進地方空港の状況からも容易に推測されるように、就航先の個々のニーズに具体的に応えていくことが、利活用促進のカギになる。就航先が明確になった今、改めて広域的かつ具体的な地域活性化のプログラムを策定していくことが必要ではないかと思われる。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2008年12月29日|コメントを書き込む
- 企画部長 岸本高昌
- No.0274
外国人旅行者を素通りさせないために
来年3月に開港する富士山静岡空港は、すでに日本航空、全日空、アシアナ航空(韓国)が札幌、福岡、沖縄、仁川(韓国)との就航を表明している。また、このほかにも中国をはじめとするアジアの航空会社が就航へ高い関心を示しているという。
国際観光振興機構(JNTO)によれば、2007年の訪日外国人客数は834万人で、ビジット・ジャパン・キャンペーンなどの取組みも功を奏して、前年比13.8%の伸びとなっている。そのうち、アジアからの訪日外国客数は613万人と、全体の7割を占め、なかでも、韓国からの日本への旅行者は年間260万人におよび、国地域別で最も多い。前年比伸び率も22.8%と、全体の伸びを大きく上回っている。
筆者は、昨年度、韓国のいくつかの旅行代理店の日本担当の人と話をする機会を得た。韓国人にとって、日本は海外旅行先として最も人気のある国の一つであるとのことであった。韓国の旅行者が日本を好む理由としては、距離が近いことや、(今は若干下がったが)ウォン高でショッピングが魅力であることが主な理由としてあげられた。また、韓国にはゴルフ好きの人が多いものの、ゴルフ場が少ないため、ゴルフ目的で日本に来る旅行者が多いことや、韓国には温泉が少なく、温泉が日本観光の魅力の一つであること。また、韓国では山歩きがブームであるが、韓国には標高の高い山が少なく、日本の山は魅力的であることなどであった。
実際こうしたことから、韓国からの就航先である小松空港(石川県)には、近隣の温泉観光地への宿泊を目的とした観光客が降り立っており、また、福島空港(福島県)行きの飛行機には、空港周辺のゴルフ場でゴルフ三昧を楽しむ韓国人のゴルファーが多くを占めるという。
海外から静岡県への来訪者数(2006年度)は28万人で、訪日外国人客数の3.7%にとどまっている。静岡県は山あり海あり温泉ありで、しかもゴルフ場も多いことから、富士山静岡空港の開港によって、韓国からの旅行者が大いに増えることが期待されている。
しかし、先述の韓国の旅行代理店のある担当者の言葉が頭に浮かんでくる。
「静岡県には富士山がありますが、富士山の観光資源は山梨県側に集中していますよね。」
「静岡が日本有数の温泉地であることはわかりましたが、別府や登別などとの具体的な違いはどこにあるのですか。」
「すでに就航している他の県と比較した静岡県の魅力とは何でしょうか。」
富士山静岡空港ができても、利用者が静岡県を素通りしてしまうのでは、空港を作った意義は半減してしまう。静岡県の地域資源が来訪者にとっての真の魅力となっているのかを改めて検証してみることが必要であるように思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2008年07月09日|コメントを書き込む
- 企画部長 岸本高昌
- No.0256
静岡の食文化を地元で発信していこう
先月、静岡駅前の商店街を歩いていたら、県外から出張に来たらしいビジネスマンから某寿司屋の場所をたずねられた。昨晩、おでん屋へ行き「静岡おでん」をおいしく食べたが、店の女将さんから「『桜えび』や『生しらす』もぜひ食べてみて」と言われ、紹介された寿司店に行きたいとのことであった。
昔、浜松に出張に来た人がよくウナギを食べて帰るという話を聞いたことがあるが、最近は、富士宮やきそばや静岡おでんを食べることだけを目的に県外から来る人もいるという。その土地ならではの名産品をその土地に足を運んで食べてみたいという人は、着実に増えてきているのかもしれない。
人口減少が続くとみられる中、交流人口の拡大が地域経済の活性化の大きな要素となると言われている。静岡県でも富士山静岡空港の開港や新東名の開通などを通じて、一層の交流人口の拡大と地域の活性化が期待されているが、その際、静岡ならではの食文化を地元静岡において発信していくための仕掛けが有効ではないかと思う。つまり、これまではどちらかと言えば、地元の名産品を全国に販売していくことに力点を置いてきた取組みに加えて、地元静岡に来て食してもらうための仕掛けを行っていくのである。
すでに、冬の果物であるミカンが夏でも冷凍ミカンとしてスーパーなどで買うことができたり、高級食材の桜えびが水揚げ港である由比港内の飲食店で桜えびの天ぷらそばなどとして手軽に食べることができたりしている。静岡の歴史と自然が育んだ静岡の食文化に地元にあってこそ触れることのできる取組みの一層の盛り上がりを期待したい。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2008年02月12日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0242
商店街活性化のためには小売店への地道な支援活動を
先ごろ「平成18年度商店街実態調査報告書」が発表された。
1商店街の平均店舗数は59.2店。空き店舗数は5.3店で、空き店舗率は8.98%となり、単純な比較はできないものの、過去4回の調査で最も高い結果であった。
商店街の最近の景況は、「繁栄している」「停滞しているが上向きの兆しがある」と回答した商店街は6.4%で、「停滞しているが衰退する恐れがある」「衰退している」と回答した商店街は70.3%となった。「繁栄している」との回答は1.6%で、これは昭和45年以降9回の中で最も低い数字であり、商店街の衰退傾向に歯止めがかかっていないことがわかる。
商店街が抱える問題としては、「魅力ある店舗が少ない」が36.9%で最も高く、次いで「商店街活動への商業者の参加意識が薄い」が33.4%、「経営者の高齢化等による後継者難」31.4%、「店舗の老朽化・陳腐化」25.5%、「核となる店舗がない」24.7%などとなっている。つまり、商店街の問題は、大型店の郊外進出や景観整備など、周辺環境に関する問題というよりも、商店街を構成している個店の経営問題に起因しているといえる。
商店街活性化の取組みは、平成10年に「まちづくり3法」が施行され、さらに、平成18年に同法が改正されて、大型店の郊外立地が原則規制されることとなるなど、広くまちづくりの観点から進めていくこととなった。しかし、本調査結果をみる限り、商店街の繁栄には十分つながっていないことが伺える。商店街を含めた中心市街地をにぎやかにしていくためのハード・ソフトのさまざまな取組みも、商店街自体の繁栄にはつながっていないということであり、改めて商店街自体の活性化に取り組んでいく必要があるのではないかと考えられる。
個々の商店の経営問題に行政等が直接関与していくことはなかなか難しい。とはいえ、まちづくりの観点からのハード整備事業ばかりでは商店街のにぎやかさは取り戻せないし、活性化もしていかない。起業家育成・支援や後継者育成といった個店支援のためのソフト事業に地道に取り組んでいくことが、にぎわいのある商店街づくりにつながり、ひいては、活気のあるまちづくりにつながっていくように思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2007年08月31日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0229
宿泊者増のために幅広い地域からの誘客を
国土交通省観光経済課では「宿泊旅行統計調査」(平成19年1月)をまとめた。これは、わが国の宿泊旅行の実態を全国規模で把握するものとして実施準備が進められている調査の予備調査として行われたものである。平成18年6月から8月の3カ月間の従業者10人以上のホテル旅館及び簡易宿泊所の全宿泊施設を対象に、宿泊者数や宿泊目的、宿泊者の居住地などを調査している。
本調査によると、平成18年6月から8月の延べ宿泊者数は全体で7,760万人泊で、うち観光目的が主となる宿泊者の割合が58.0%となっている。また、外国人の延べ宿泊者数は502万人であった。この調査をみていくと、静岡県の宿泊業の特徴がいくつかみえてくる。
特徴の1つは、静岡県が全国有数の宿泊者数を有している点である。都道府県別の延べ宿泊者数をみると、最も宿泊者数が多いのは東京都で868万人(シェア 11.2%)、2位は北海道の808万人(同10.4%)、3位は千葉県の380万人(同4.9%)、4位は大阪府の376万人(同4.8%)で、静岡県は第5位の329万人(同4.2%)であった。
特徴の2つ目は、観光を主目的とする宿泊者の割合が多い点である。宿泊の目的には大きく観光を主目的とする宿泊と、そうでない宿泊とがある。観光を主目的とした宿泊の割合は、全体では58.0%であるが、静岡県は熱海や伊東といった全国的に有名な温泉観光地有するだけに72.3%となっている。ちなみに、北海道は74.5%、千葉県は76.5%で、静岡県と同様に観光目的を主体とする宿泊者の割合が多くなっている。
静岡県の特徴の3つ目は、外国人の宿泊者の割合が低いことである。外国人延べ宿泊者の割合は、全国では6.5%であるのに対して、静岡県は2.5%でしかない。北海道では6.9%、千葉県では11.6%となっている。
特徴の4つ目は、表には示していないが、定員稼働率が低いことである。全体では46.1%であるのに対して、静岡県は40.5%にとどまっている。ちなみに、東京都は62.0%、北海道は54.0%、千葉県は57.3%となっている。
本調査は、6月から8月に限定されて行われた予備調査であり、年間を通じた調査が行われれば、また、違う結果となる可能性もある。ただ、静岡県の宿泊需要の8割以上が地元である中部地方や関東地方からの観光客であり、今後、より宿泊需要を獲得していくためには、国外をはじめとして、これまであまり対象としてこなかった地域からの誘客を図っていくことが重要と言えよう。
都道府県別宿泊目的別宿泊割合と外国人宿泊割合
(単位:人、%)
|延べ宿泊者数|観光目的が 観光目的が |うち外国人
|50%以上割合 50%未満割合|延べ宿泊者割合
--------------------------------------------------------------------
全 国| 77,601,770| 58.0 41.7 |6.5
東京都| 8,675,120| 19.7 79.4 |20.2
北海道| 8,076,940| 74.5 25.5 |6.9
千葉県| 3,796,150| 76.5 23.5 |11.6
大阪府| 3,755,090| 23.0 77.0 |12.5
静岡県| 3,291,870| 72.3 27.7 |2.5
--------------------------------------------------------------------
注)平成18年6月から8月、従業員10人以上施設。
割合は四捨五入の関係で100%にならない場合がある。
資料:国土交通省「宿泊旅行統計調査」(平成19年1月)
延べ宿泊者数の居住地域別割合 (単位:%)
北海道・東北 関東 中部 関西 中国・四国・九州 国外
--------------------------------------------------------------------
全 国 9.4 35.5 13.9 15.2 12.0 14.0
東京都 6.1 31.0 9.9 7.3 10.4 35.3
北海道 30.5 32.2 7.8 10.3 5.5 13.6
千葉県 5.4 38.1 15.3 10.1 7.9 23.2
大阪府 3.0 28.9 8.4 26.4 11.7 21.6
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2007年05月08日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0216
改正まちづくり三法に思う
大型店の出店を規制して中心市街地の活性化を進める「まちづくり三法」が、平成18年8月に改正された。
旧のまちづくり三法は平成10年に制定され、全国で609市町村(平成18年7月12日現在)において、中心市街地活性化計画が策定され、さまざまな取組みが行われてきた。しかし、中心市街地の活性化に取り組む当事者の一つである商店街が疲弊してしまっていることや、市民参加が十分に図られていないこと、中心市街地の競争相手である郊外型の大型店の出店を抑制しにくいことなどから、地方都市を中心に多くの中心市街地は衰退傾向に歯止めをかけられないできた。
今回改正された内容の目玉は、床面積1万平方メートルを超える大規模集客施設の出店できる地域が近隣商業、商業、準工業地域に限定されたこと。また、認定を受けるには、準工業地域に大規模集客施設の設置を抑制する特別用途地域を指定することが必須になったことである。従来の活性化法では中心市街地の活性化に取り組む一方で、郊外への大型店の出店が比較的自由になっていたことから、中心市街地活性化事業の成果が十分にあげられなかったという反省がそこにはある。
また、改正法では、事業者や地権者等の民間事業者の参画も明確になり、計画された事業の早期の実現が期待されるものとなっている。つまり、改正法に基づく活性化計画は、まちづくりの方向性の明確化と成果とがかなりはっきりと求められているといえる。
そもそも、中心市街地活性化の問題は、中心商店街の衰退の問題だけを含んでいるわけではない。都市の顔としてふさわしい町並みの形成の必要や、人口の郊外流出による都市機能の分散化による社会コストの増大、交通渋滞の発生、地域の祭りの担い手不足等の地域文化の維持の必要など、活力ある地域経済社会を維持・発展させていく上で、その都市が抱えているさまざまな問題が存在している。つまり、中心市街地活性化の問題は、その都市のあり方やまちづくりの方向を左右する都市全体の問題であるといえる。
改正三法的にいえば、自分たちのマチを「郊外開発型」とするのか、「中心市街地活性化型」としていくのかの選択ということになるが、中心市街地活性化への取組みは、都市が抱えているさまざまな問題について総合的に考えていく良い機会になるのかもしれない。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2006年12月15日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0205
多様性の提供で活性化が期待される静岡県の小売業
静岡県の小売業の現状をみると、平成16年において年間3兆9,700億円の販売額となっており、これは全国シェア3%となっている。静岡県の人口が全国の3%のシェアであることから、静岡県の小売業は人口に見合った販売がなされていることが伺われる。
ただ、この内訳をみると、本県の特徴が明らかになる。すなわち、全国に比べると、静岡県小売業の総販売額に占める百貨店や総合スーパーの割合が低い。具体的には、百貨店の県内シェアは3.0%、総合スーパーは3.8%であるのに対して、全国のそれは、それぞれ5.6%、6.3%にもなる。反面、食料品スーパーや専門店の県内シェアは73%で、全国に比べて約3ポイント高い。
一般には、大型小売店対中小専門店、郊外の商業集積対中心商店街といった対立の構図が言われ続けられているが、静岡県の場合、多少なりとはいえ、中小専門店のがんばりが伺われ、同時に、今後一層大型店の出店が加速していくことも予想される。
小売販売額が全国的にも減少傾向にある中、消費者の多種多様なニーズに応えていけるだけの多様な選択肢を提供していけるかどうかが重要になっている。この本に書かれているように、静岡県の小売業は比較的力強く、多種多様な業種業態が存立しているが、これからもお互いに切磋琢磨していくことで、静岡県の小売業全体の活性化が期待される。
ところで、本記述に関する資料は、本年6月に弊所から発行された「図説しずおかの産業力・市場力」によっている。本書は、従来、さまざまな指標が全国シェア3%となっていることから“3%経済”といった言われ方をしてきた静岡県がさまざまな産業や市場において、具体的にどの程度のシェアを有しているのかを約100分野で実証してみたものである。自分の会社に関係する産業や市場の状況を把握していく上でぜひご一読いただくと良いのではないかと思う。
年間商品販売額の業態別内訳(%)
静岡県 全国
--------------------------------------
百貨店 3.0 5.6
総合スーパー 3.8 6.3
食品スーパー 13.4 11.8
専門店等 59.6 58.4
訪問・通販等 20.2 17.9
--------------------------------------
合計 100.0 100.0
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2006年08月30日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0196
市町村合併で重要さ増す新たなコミュニティづくり
平成の大合併が進んでいる。全国で3,232(平成11年3月31日)あった市町村が、1,820(平成18年4月1日)までになっており、静岡県の場合も、74あった市町村が42市町までになっている。平成の大合併は基礎的自治体である市町村の規模拡大を図ることで、財政再建や組織・事業の効率化、また、三位一体改革と呼応する形で地方分権を進めていくための土台づくりを狙いとしているが、静岡県を見ても、人口70万人以上の政令市から人口1万人未満の町まであるなど格差は依然大きく、より高い自治能力を有していくため、さらなる合併が検討されている状況にある。
ただ、行政規模が拡大していくことは、行政と市民との距離が相対的に開いていくことを懸念させる。政令市になるような場合は、区役所を設けることで従来並みのサービスの提供に努めているケースもあるが、一般には、財政縮小を進める中で、従来の役所が閉鎖されてしまうなどによって、市民サービスの高度化、多様化に対応しにくくなるという問題を抱えるケースも少なくないとみられる。
また、少子高齢化により高齢者世帯が増え、これまでの自治会組織の運営が困難となる状況も出てきており、行政と地域住民との連携を停滞しつつあるとみられる。
こうした課題を解決していくためには、これまでの“行政主導”によるまちづくりから、“市民と行政との協働”によるまちづくりに転換していく必要があると思われる。
具体的な取組みはすでに始まっている。福岡県宗像市では、高齢化や少子化など1自治会では対応が難しい問題や、福祉・環境・青少年問題などへの行政の組織横断的な対応の必要性の増大や、福祉・健康づくりや生涯学習拠点としての重要性が増しているコミュニティセンター機能の見直しの必要などに対して、市内13地区において運営協議会を設置し、市民と行政が協働してまちづくりを進めている。また、兵庫県宝塚市では、3から5程度の小学校区を1つのブロックとして「まちづくり連絡会議」を設け、ブロックごとの「まちづくり計画」を住民自らの手で作っている。
静岡県も行政効率化と少子高齢化が進む中で、市民の声をこれまで以上に行政に反映させたり、コミュニティを充実させたりするための新たな仕組みづくりが、今後ますます求められていくものと考えられる。
福岡県宗像市:http://www.city.munakata.fukuoka.jp/community/index.html
兵庫県宝塚市:http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/?PTN=LV2&LV2=11
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2006年07月14日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0184
子育て支援事業に思う
昨年12月22日に厚生労働省から公表された人口動態統計の年間推計によれば、2005年の人口は統計史上初めて自然減になる見通しであるとされた。同推計によると、2005年の出生数は106万7,000人となり、一方、死亡数は107万7,000人で、結果、2005年は1万人のマイナスとなったという。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、わが国の人口は2007年から減少するとしていたが、それよりも早く人口減少社会に突入したことになる。
少子高齢化対策として子育てをしやすい環境を作り上げていこうとの取組みは以前から行われていたが、小泉首相は年頭会見で人口減少社会に危機感を表明、猪口少子化担当大臣も「早めの対応と、議論も精力的にスピード感を持って進める」としている。
静岡県では、2005年4月に国の指針に基づき「しずおか次世代育成プラン」(http://www.pref.shizuoka.jp/kikaku/ki-13/200505/color/)を策定し、地域における子育ての支援や、子どもや母親の健康の確保・増進、仕事と家庭との両立の推進など、7つの方向で施策を展開している。その具体的な取組みの一つとして注目したいのが、来る3月11日(土)に、ツインメッセで催される子育て支援キャンペーン「パパママ応援団」での映画「ボクラの島を忘れない」の上映会である。この上映会には弊所も裏方として協力させていただいているが、瀬戸内海に浮かぶ小さな島の小さな保育所での日々の生活をつづった内容であり、子育ての楽しさ、すばらしさが感じられる映画である。
行政の施策としては、県のプランにあるように多様な施策が展開されているが、人口減少社会に突入した今、猪口大臣が提起したように、出産費用の無料化などのより踏み込んだ対策が期待される。併せて、親が子どもをたくさん生み育てることに意義を感じられる社会的な意識を醸成していくことも重要であると思う。女性が社会の中で活躍することが当たり前になってきている中、人口を維持するのに必要とされる合計特殊出生率2.08人という数の子どもを生み育てていくことは金銭面や精神面、時間面など多くの負担を強いるものであり容易でない。そうした負担以上に子育てがすばらしいことであることが実感できる今回の上映会は、子育ての意識を醸成していく上で大変意義のあるものであり、ぜひご覧になっていただきたいと思う。
参考リンク
映画「ボクラの島を忘れない」のお知らせ(www.pref.shizuoka.jp/kikaku/ki-07/oshirase.html)
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2006年01月20日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0174
積極的な対応求められる高年齢者活用
わが国は、世界でも例をみないスピードで少子高齢化が進んでおり、労働力人口はすでに減少傾向にある。なかでも、若年労働者は大幅な減少が予想されており、企業が必要な労働力を確保していくためには、高年齢者の活用をこれまで以上に進めていく必要があると考えられている。
すでに、トヨタ自動車では全従業員を対象に定年退職後の再雇用制度を2006年4月から導入することを決め、年齢の上限を現行の63歳から65歳に引き上げることとした。これは、厚生年金制度の支給開始年齢の引き上げに合わせたものであると同時に、2007年から団塊の世代が一斉に定年を迎えるのに際して人材不足が懸念されていることが背景にある。
ただ一般には、企業における高年齢者の活用はまだこれからの状況にあると言える。すなわち、厚生労働省が行った調査でみると、60歳以降も就業を希望する高年齢者が半数以上に上る一方、原則として65歳まで働ける場を確保している企業は全体の3割弱にとどまっている。
高齢者雇用促進で国から表彰されているような先進的な企業の取組み状況をみると、処遇はパートタイマー的になるものの、仕事内容は高齢者用の仕事が用意されているのではなく、一般従業員と同じ仕事が用意されているのが特徴的である。そこでは、体力面の衰えをカバーするためのハード的な環境整備はもちろんのことであるが、たとえば、高年齢者に対してもサークル活動への参加などの職場内教育を行ったり、高年齢者がこれまで培ってきた技術・技能を発揮しやすい雰囲気づくりを進めるなど、ソフト的な職場環境整備に力点が置かれている。
どちらかというと、企業はこれまで高年齢者を余剰的な人材としてとらえ、その能力を評価し活用していくという意識が不足してはいなかっただろうか。高齢者雇用が一般的になっていくこれからは、高年齢者を特別な労働者として扱っていたのでは事業は立ち行かなくなるおそれがある。高年齢者をリタイヤした人として、特別扱いをすることのない企業風土を醸成していくことが何より求められているように思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2005年10月25日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0160
注目される第二創業
近年、第二創業という言葉をよく聞くようになってきた。第二創業とは、すでに事業を営んでいる事業者が創業時の事業とは異なる事業を開発すること、または、時代の変化にあわせて本業とは異なった市場もしくは製品・サービスを新たに開発することを言う。団塊の世代が定年を迎えようとしているが、オーナー企業の多くが経営者の代替わりを迎えようとしており、事業を引き継ぐに当たり、第二創業を進めようとしている若手後継者が少なくないためと思われる。
当所では、一昨年より、「若手経営者・後継者勉強会」を開催して、会員企業の第二創業のお手伝いをしている。これまで、人事管理や税務、コミュニケーション力、IT活用などをテーマとして取り上げ、会社経営に必要な最新かつ基礎的な知識・ノウハウの習得を狙いとして実施してきた。参加者は各回15名程度と少人数であるが、講義を聴くだけでなく、非常に熱心に質疑応答を行っていただいている。
当所で行われている第二創業のための勉強会のテーマは、参加者からの要望を元に決めているが、参加者個々人の問題意識はきわめて多様である。たとえば、人材活用の勉強会においては、最近導入が活発化している成果主義賃金制度や目標管理制度を理解するだけでなく、親族である役員レベルにどう浸透させていくかといった問題など、若手後継者ならではの悩みが多く寄せられた。
第二創業は、既存事業の停滞を打破し、新たな市場を開拓したり、既存市場に新製品を投入していくことを狙いとしているわけであるが、そのために若手後継者が身につけていかなければならない事柄はあまりに多い。当所では、17年度においても若手経営者・後継者の勉強会を行っていく予定である。引き続き若手後継者のニーズに合ったテーマと内容に心がけ、次代を担う経営者づくりの一助を担っていければと思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2005年07月01日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0149
NPOの参画で中心市街地の活性化に活路を
中心市街地活性化のためのマネージメント機関であるTMOの活動が停滞している。昨年、会計検査院が14年度末までに認定されたTMOを調査したところ、中心市街地における商店数や、年間小売販売額、空き店舗率等のなんらかの指標が好転しているTMOは1割から3割程度にとどまり、TMOが十分に機能しているとは言い難い状況が伺われた。具体的な活動状況としては、事業の実施体制については、全体の約8割がリーダーシップを持って事業全体をコーディネートできる人材や商業等に関する専門的な知識を有する人材等が不足しているとし、財源確保の状況については、収益事業を行っているTMOの多くが赤字であった。また、空き店舗対策事業は計画しているTMOの約3割が未実施で、テナントミックス事業を実施したのは2割弱にとどまっていた。
会計検査院では、TMOに求められる重要な要素として、専任従事者の存在、自主財源の確保、集客力につながる魅力あるテナントの誘致に向けた努力をあげており、TMOの理念そのものが十分に浸透していないこともあって、TMOに期待される本来の機能が十分に発揮されていないと結論付けていた。
多くのTMOにとって、こうした指摘は外から言われなくても十分認識していることであり、わかってはいても、現状の体制ではヒト、モノ、カネ、情報のほとんどが不足し、その対策を打ち出せないでいるのが現状であるとみられる。
こうした中、閉塞感漂うTMO活動に光明を差しているのがNPOとの連携である。いくつかの事例をあげると、横浜市の菊名西口商店街では、子育て支援のNPO法人が空き店舗に入居したことをきっかけに、商店街活動にNPOに関わっている主婦や若者が参画し、ホームページの開設や子供向けイベントの実施など、停滞傾向にあった商店街活動が活発化し、若い主婦の来街者が増えたことで品揃えにも変化がみられるなど、個々の商店の活性化にもつながったという。また、豊橋市のTMOでは、豊橋駅前の花園商店街の空き店舗に新しい魅力(商店)を作り上げようと、NPO法人の「車いす工房」を誘致した。同商店街には、障害者とその家族、また、福祉関係の大学生などが多く訪れるようになり、その結果、身障者によるパン屋や大学生による中国茶店などの店が次々にオープンし、9つあった空き店舗が一掃されるまでになったという。
こうした成功例からみたTMO活性化のポイントとしては、TMOの活動を従来の主体である商店街や商工会・商工会議所だけが担っていくのではなく、一般市民の活動をいかに取り込んでいくかという点があげられよう。わざわざ高いお金をかけてイベントを行うのではなく、一般市民の活動の場を中心市街地が提供していくことで、空き店舗を埋め、新たな来街者を増やし、市民の交流も深める。特に、コミュニティビジネスに代表されるNPO活動は、地域性が強い割に活動の場の確保が課題になっているケースが多いと言われており、マチの中心である中心市街地は格好の活動の場といえる。
この4月から、中心市街地活性化法施行令が改正され、法定TMOへのNPO法人の参画が可能になり、中心市街地の活性化に向けた市民の参画はより容易になっていくものと思われる。当然のことだが、中心市街地は商店街や行政だけのものではない。昔は“日曜日はマチに行く”が当たり前であった市民の意識をいかに取り戻していくか、市民とともに考え、行動していく場が求められつつあるように思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2005年04月12日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0122
身近で本物に触れたり健康に良いレジャーが人気
先ごろ、「レジャー白書」(財団法人 社会経済生産性本部)が発刊された。これによれば、平成15年におけるのレジャー市場の規模は82兆1,550億円に上る。ただ、ここ5年間では約3兆4,000億円もの減少となっており、国内景気の低迷やSARSの発生などの影響があるとはいえ、レジャー業界は厳しい状況におかれているといえる。
昨年に比べて、支出が減ったレジャーをみると、海外旅行(対前年比△8.6%)、中央競馬等公営ギャンブル(同△5.6%)、ゴルフ場(同△4.0%)、スキー場(同△3.3%)、CD・VTRなど鑑賞レジャー用品(同△3.9%)、国内観光・行楽(同△2.8%)、新聞・書籍(同△2.1%)などがあげられる。
一方、レジャー市場全体としては減少している中で、支出が増えたレジャーもある。たとえば、テニスクラブ(同+9.3%)、フィットネスクラブ(同+3.0%)、映画等鑑賞(同+2.0%)、パチンコやゲームセンター等(同+1.2%)、料理等学習レジャー(同+1.7%)などである。また、遊園地・レジャーランド市場は、数字としては対前年比△0.3%とほぼ横ばいであったが、「ラクーア」や「大江戸温泉物語」といった日帰り温浴施設や、「横濱カレーミュージアム」や「自由が丘スイーツフォレスト」などのフードテーマパークが次々にできた。
ここから、最近人気のレジャーの特徴を考えてみると、以下の3点が挙げられよう。
近辺志向:ゲームセンターや映画鑑賞など、身近で楽しめる。
本物志向:フードテーマパークや学習レジャーなど、本物に触れられる。
健康志向:日帰り温泉やフィットネスクラブなど、癒しや健康に良い。
これまではレジャーのトレンドとして、日帰り旅行に代表される「安・近・短」レジャーがよく言われてきたが、現在は、家の辺りで本物に触れたり健康に良いことのできる「近・本・健」レジャーがトレンドになっているように思われる。
ところで、今後実現が期待される需要の大きさである潜在需要(参加希望率?現在の参加率)をみると、第1位が海外旅行で、第2位が国内観光旅行となっている。現在の「近・本・健」レジャーの人気も、海外旅行や国内旅行への強いニーズの裏返しとみることができるわけだが、この潜在需要を「近・本・健」の視点でいかに顕在化させていけるかが、「近・本・健」レジャーのさらなる成長へのカギになるのではないかと思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2004年08月27日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0109
人材を育てる
企業において社員の育成は、会社の成長に不可欠な事柄であることは言うに及ばない。しかし、実際に会社の屋台骨を支えていけるような社員を育てていくことは容易ではない。特に、社長の右腕となるような経営幹部や優秀な営業マン、高い技能を持った技術者などを育てていくためには、それぞれ異なった資質・能力を育成していくことが必要である。
富士市にある各種工業用資材の販売やメカトロ機器の製造を手がけるM社(社員数約90名)では、こうした課題を克服すべく、新たな人事制度を導入した。これは、これまでの年功制+職能制度を踏襲しながらも、成果主義を取り入れたもので、職種別、職種共通、資質の3つの項目を評価の中心に据え、会社としてどういう人材を必要としているのかを社員全員に明確に示し、その達成度合いで評価をするようにした点が特徴である。
具体的には、当社の事業計画は半年ごとに作成されているが、人事評価の項目も半年ごとに見直し、各評価項目は営業面での目標のみならず、営業に必要な電話応対の仕方やパソコンの習熟レベルなど、目標達成に必要な資質・能力も具体的な目標として設定している。つまり、社員にとっては、会社の方針に沿った具体的な意識の持ち方や行動の仕方が明確化された中で、業務に取り組めるようになっている。
当社の人事制度の評価項目は、前述したように、事業計画が作られる半年ごとに見直されているため、経営者の負担はこれまでになく大きいという。しかし、本制度の導入によって、当初考えていた以上に社員のモチベーションは上がり、業績にも結びついていると社長はいう。
中小企業の場合、細かな人事制度を設けなくとも社員一人ひとりに目が行き届く。とはいうものの、それだけでは、激変する事業環境に対応していくために必要となる事柄を具体的に実行し成果に結び付けていく仕組みとして、あまりにも心許ない。企業は人なりという言葉の通り、中小企業においても、大手企業と同様にきめ細かな人事制度が必要なのかもしれない。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2004年05月25日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0096
まちづくり条例の活用を
「米ウォルマート来春沼津に上陸(H15.12.16日経新聞)」、「浜松、ジャスコ核店舗に県内最大級の複合SC(H15.12.17 静岡新聞)」、「県都・静岡に超大型SC、南北競争激化へ(H16.1.23静岡新聞)」、「三島の再開発ビルマックスバリュ出店(H16.1.23中日新聞)」など、最近、静岡県内への大型店の出店表明が新聞等の紙面をにぎわしている。三島の記事は中心市街地の大型店跡地への出店だが、ほかは郊外への出店であり、しかも全国有数の超大型の規模の出店である点で共通しており、都市計画や商業振興などのまちづくりへの影響が懸念されている。
現在、静岡県内では19市町において中心市街地活性化法に基づく「中心市街地活性化計画」が策定され、中心市街地の人口の減少や大型店を含む商店街での空き店舗の増加、行政施設の郊外移転などによって、地盤沈下を起こしている中心市街地の活性化に向けた取組みが行われている。
そもそもまちづくりは、平成10年に制定された中心市街地活性化法、大店立地法、改正都市計画法のいわゆる「まちづくり3法」を拠り所にしており、商業活性化の観点だけでなく、広くまちづくりの視点で中心市街地などのマチを活性化していこうというものである。ただ、まちづくり3法は、その制定時から、大店立地法の施行が工場跡地などへの大規模な商業施設の立地を促進させているとみられることや、改正都市計画法はゾーニング的な手法により商業立地の規制や誘導を行えることとなっているものの、その適用範囲と効果には限界があること、などの課題があるといわれてきた。
これらの課題への対応として、また、地域住民自らがまちづくりにかかわる手立てとして注目されているのが「まちづくり条例」である。日本商工会議所のまちづくり条例研究センターの調査(平成12年度)によれば、現在、全国で条例ないし要綱を制定している自治体は761にもなる。内容は、開発協議の手続きの設定や独自のゾーニング、自然環境の保全のための環境アセスメントなどを目的にしているものが多い。ちなみに、静岡県では、生涯学習まちづくり土地条例で全国的にも有名な掛川市をはじめとして、浜松市や沼津市、三島市、下田市において制定されている。
都市再開発などの計画は、普通でも10年から20年以上という大変長い時間をかけて行われてきており、その間、自治体はもちろんのこと地域住民も大変な労力を費やしている。また、郊外に住んでいる住民にとっても自然や景観などの住環境が変わってしまうことに抵抗は少なからずある。新たな商業集積等の立地は地域住民に利便性をもたらす反面、これまでの地道なまちづくり活動を徒労に終わらせる危険性もはらんでいる。地域の生活環境を住民自らが考えていくことのできるまちづくり条例を今こそ活用していく必要があるように思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2004年02月20日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0083
企業の社会的責任(CSR)
近年、企業の社会的責任(CSR)に対する関心が高まってきている。とは言っても、一般には聞きなれない言葉だが、CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略で、法令順守や従業員の労働面での人権保護、地球環境や地域社会との関係などに配慮した経営のことを指す。
企業の社会的責任という考え方自体は、CSRなどという言葉で言い表される以前から、企業も市民の一人であるとの考え方から、当り前のこととして認識されてきた。今、CSRが注目されている理由は、昨今の大手企業などの不祥事が多発する中、「コーポレート・ガバナンス(会社が運営され統制される内部的手続)の徹底」や「誠実な顧客対応」、「環境への配慮」など、企業に対する社会的な要請が強まってきている中で、企業と社会とが相乗的に発展していくために、企業はより積極的な取組みを行っていかなくてはならないと考えられ始めていることによる。欧米では、CSRに関連して社会的責任投資(SRI=Socially Responsible Investment)が拡大しているという。企業側がCSRを自主的に行っていくだけでなく、投資家の立場からCSRに基づく行動を資金供給面から促していこうというもので、CSRに熱心でない企業よりも熱心な企業に投資していくことによって、CSRに無関心でいられなくするというものだ。
日本の状況はどうかというと、今年5月に環境省が発表した「社会的責任投資に関する日米英3カ国比較調査報告書」によれば、SRIへの関心は高いものの、実際の行動としては見劣りする状況にある。とはいえ、経済のグローバル化が進んでいる中で、SRIはエコファンドの発行にみられるように、わが国の資本市場においても少しずつ行われてきており、持続可能な社会の実現のための金融面からの働きかけは今後より強まっていくものと思われる。企業の社会的責任は、収益を上げ税金を納めるだけでは、これを全うしたことにはならない時代になってきた。これからの企業経営には、CSRを企業経営全般において幅広く意識し行動していくことが求められている。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2003年11月07日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0070
望まれるのはデフレを『当たり前』ととらえる企業経営
日本経済は、最近時の株価上昇や一部経済指標の改善などから、やや明るさを感じ始めてきているような雰囲気が漂っているが、景気の足を引っ張り続けているデフレの状況は、日銀の量的緩和政策が強力に進められているにもかかわらず、基本的な情勢に変化は見られない。具体的には、全国の消費者物価(除く生鮮食品)は、3月△0.6%、4月△0.4%、5月△0.4%と、マイナス基調が続いている。
今年5月に、当所が静岡県内企業を対象に行った調査によれば、約75%の企業が一般物価のデフレは企業経営に悪影響を及ぼしていると回答している。具体的に感じている事柄としては、「販売・受注単価の下落により売上減少」が75.2%で最も多く、続いて、「取引先の業績不振」56.6%となった。質問項目の中には、仕入コストや人件費などのコスト引き下げが難しい点や、借入れ負担が高まるといった財務面の影響も含まれていたが、デフレが売上減少を生んでいる状況に強い危機感が示された。
日本銀行の7月の「金融経済月報」によれば、国内企業物価は下落が続く可能性が高く、消費者物価も前年比で現状程度の小幅な下落が続くと予想している。当所の調査においても、一般物価のデフレは中長期的なトレンドとして続くと見る向きが過半数を超えている。
デフレの対応として、企業側では借入金の圧縮や設備投資の抑制などの財務体質の強化に積極的に取り組んでいるが、それ以上に注力しているのが、需要を喚起するための魅力的な商品・サービスづくりであった。かつて、プラザ合意によって円高が急速に進んだとき、円高はいつ収束するのかといったことが話題になったが、今は円高が当り前の時代となっているように、デフレないしディスインフレ(物価は上昇しているものの、物価上昇率が減少する状態)が当り前となっている時代が遅からず来るのかもしれない。デフレへの対応を一時的なものとするのではなく通常の経営方針として行っていくことが必要なのかもしれない。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2003年07月25日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0057
平成14年商業統計速報をみて思ったこと
平成14年商業統計速報が発表になった。
平成14年の全国の小売商品販売額は135兆円で、平成11年の前回調査時比△6.1%の減少となった。事業所数は130万で前回比△7.6%、就業者数は843万人で同△1.0%と、いずれもマイナスとなった。都道府県別では、事業所数は全県で減少し、小売商品販売額は長崎県、沖縄県を除く45県が減少ととなった。
静岡県は事業所数41,877、小売商品販売額4兆2,663億円、就業者数24万9,509人で、前回比では、事業所数△5.6%、小売商品販売額△4.3%、就業者数△0.3%となり、全国同様マイナス基調ととなっているものの、全国平均よりマイナス幅は小さく、厳しいながらも健闘していることがうかがわれる。
ただし、静岡県の1事業所当たりの状況をみると、年間商品販売額は9,754万円で、全国平均の1億394万円を大きく下回っており、必ずしも事業規模は大きくないことがわかる。また、前回比では、全国が170万円の販売額増となっているのに対して、静岡県は134万円の増加と、全国よりも若干低い伸びにとどまっている。
ところで、都道府県ごとの年間商品販売額と1事業所当たりの商品販売額の増減の関係をみると、販売額の上位20県では、1事業所の販売額が前回比平均299万円増えているのに対して、販売額下位20県では同△22万円となっている。つまり、商品販売額が増えることと1事業所当たりの商品販売額の増加とは密接な関係がある。これは、駅前商店街などの中小商店の廃業が続く中で、ショッピングセンターや専門大型店等の新規出店いかんが、地域小売商業の成長を大きく左右していることの証左といえる。
先に見たように、静岡県の小売商業は、事業所数、年間商品販売額ともに全国ほどの落ち込みにはなっていないものの、1事業所当たりの事業規模が小さい状況にある。これは、大型店の静岡県への出店余地があることを示していると言え、静岡県への大型店の出店は今後も増加していくことが予想される。
現在、小売商業の振興施策は、まちづくり3法となったことで、まちづくりの視点が強まり、中小小売商業の振興という視点が薄れてきている感がある。つまり、大型店の出店に対する救済策としての中小小売商業者の支援は止めた訳だが、中小商業者の数を増やし、力のある小売業者を創出していくという視点までなくしてしまっているように思う。地域住民の消費生活を支える地域小売商業が、大型店の出店いかんに左右されるようでは、地域小売商業の振興とはいえない。力のある小売商業者を多数創出し、静岡県発の全国チェーンを作り出すというような視点で、地域小売商業を振興していく必要があるように思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2003年04月30日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0043
地域コミュニティを活性化する電子自治体の取組み
近年、市民主導、市民参加のまちづくりが行政の基本的な姿勢となってきている。しかし、自治会・町内会・各種ボランティアグループといった地域のコミュニティの多くは、市民参加のまちづくりを支えていくにはあまりにも脆弱な状況にある。また、一言で市民といっても、市民の価値観は多様化しており、まちづくりに求めるものも多様化かつ高度化している。つまり、まちづくりの主体となるべき市民のニーズや取組みが、市民同士、あるいは、行政と市民の間で、まちづくりを進めていくパワーとして結集しにくくなってきているという状況が出始めている。顔の見えない市民をどのようにまちづくりに参加させていくかが、地域・行政にとっての大きな課題になっているわけだ。
こうした課題に対して、電子自治体の取組みによって解決しようとする試みがはじまっている。
神奈川県大和市では、市のホームページに設けられている「どこでもコミュニティ」を通じて、地域コミュニティの形成を図ろうとしている。どこでもコミュニティは、市民はもちろん、大和市を応援する人ならして誰でも参加することができ、インターネット上に設けてあることから、いつでも、だれでも、どこからでも、参加できるコミュニティとなっている。どこでもコミュニティは、市民の知恵を形作るソフトであり、市民の意見・要望、相談ごとなどをコミュニティの仲間で考えていく場である。また、どこでもコミュニティは、市民の仲間づくりの場であるとともに、市民と行政職員との情報交流の場ともなっている。
「どこでもコミュニティ」には、まちづくり会議室や子育て支援、小学生の広場など、さまざまなテーマで意見交換が行われており、市民や市職員から毎月延べ3,000件から5,000件もの意見が寄せられている。市職員は全員参加で取り組んでおり、市民の意見・要望の行政施策への反映もしやすくなっているという。
行政による電子自治体への取組みは、どちらかというと、行政手続きなどの電子化することに重心が置かれているようであるが、これは市民サービスの向上というよりも行政の効率化の側面の方が強いといえる。住民参加・市民主体のまちづくりを実践していく上で、電子自治体を地域コミュニティ形成のツールとして活用していく視点も必要ではないかと思う。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2003年01月20日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0030
地産地消運動を考える
今年度、静岡県では「しずおか地産地消推進協議会」を設立した。これは、農業者や林業者、漁業者をはじめとして、流通業者、調理師や栄養士、学校給食の関係者など、幅広い関係者が集まって静岡県産の食材を地元で消費していこうという活動の組織である。具体的な活動としては、消費者との意見交換のためのフォーラムの開催や、県産品の生産振興や学校給食への導入などを目的とした部会の設置、県内4モデル地区での消費者と生産者との交流などに取り組んでいく。また、スーパーでの消費拡大キャンペーンの実施や、母親を対象にした講習会の実施などのイベントも行っていく予定となっている。
すでに、地産地消に対する取組みは、お弁当業者による地元産野菜等を使った弁当の販売や食肉加工販売店による地元産の豚とシイタケを使ってのハムの製造など、さまざまな形で行われている。なかでも身近なのは、農協等による朝市や直売所である。ここでは、農家が自家で消費する分を多めに作って、地元の消費者に安くて新鮮な野菜や加工品を提供している。こうした店は、静岡県内に300近くあるが、農家の自家消費分を提供していることから販売量に限りがあることもあるが、農家が畑から朝収穫したものを直接店に持ち込むことから、市価よりも安くて新鮮なため、ほとんどの店が午前中には売切れになってしまうほどの盛況ぶりである。
こうした実態から考えてみると、地産地消の推進運動も、消費者への啓発活動はもちろんであるが、消費者の求める地場産品をどのように作り、流通させていくかという仕組みを考えていく必要もあるように思う。ある農協関係者は「昔はローカル市場が各地域にあり、地元で採れた野菜は地元の八百屋を経由して、地元の消費者の口に入った。しかし、今は大量消費・大量生産とそれを支える流通の仕組みになっており、地元消費・地元生産に合った多品種・少量の流通の仕組みが欠けている」といった話をしていた。
もちろん、昔のようなローカル市場を再整備すれば、地産地消が進むというものではない。全国各地で特定の産物が大量に生産され、互いに全国に流通させたことで、われわれの食生活はより豊かなものになったのは事実である。現在の流通の中で地産地消を進めていくためには、地元産だからこそ可能となる新鮮さや価格の安さなどを実現できる流通体制の整備や、地元需要にできるだけ応えていくための年間を通しての多様な食材の生産、また、地元産品を率先して利用する消費者意識の醸成などが必要である。つまり、地産地消は、農家・流通関係者・消費者が三位一体となって取り組んでいくことで、はじめて実現できていくものと考えらよう。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2002年10月07日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0017
人は道の主人公
縁あって「さまざまな『道』?人は道の主人公?」(著者:新世紀の静岡道づくり懇談会、発売元:静岡新聞社)というタイトルの本の出版のお手伝いをした。内容は、道づくりのあり方や道の利用の仕方などについて、一般市民の意見をまとめたものである。具体的には、建築・都市計画・医療・農林・製造・小売・福祉・教育など、多様な分野に携わる人が、静岡県の東部・中部・西部の各地域から集まって、日頃の生活を通じて道について感じていることを発表し合い、また、意見交換した内容を記してある。
本書には、「中山間地を走る道路は、都市部との交流を図っていく上で、一層の整備が必要である」とか、「道は、そこに位置する街の雰囲気と合っていない。まちづくりと道づくりはもっと一体的であるべきだ」、「障害者にとって、歩道橋や地下歩道は『通るな』と言われているに等しい」など、文化的な視点や、環境や福祉の視点、また、経済的な視点や生活手段からの視点など、道に対するさまざまな想いが記されている。辞書によると、道路とは、「人や車などが交通するための通路」という意味だが、道の果たす役割は交通の円滑化のためだけでなく、質的な面で、より充実させていく必要があることに気づかされる。
当り前ではあるが、道にはさまざまな役割を期待されるさまざまな道があり、そこにはさまざまな人がかかわっている。本書出版のきっかけは、国土交通省の静岡国道工事事務所の発案からきており、すでに、静岡県内の道づくりは、市民のさまざまな声を反映しながら進めていこうとしており、同事務所のホームページ上からも意見が述べられるようになっている。ぜひ、読者の皆さんも静岡県の道づくりに意見を寄せられたらいかがだろう。
なお、本書は、静岡県内の主要書店で販売されているので、道づくりに関心のある方はぜひご一読をお勧めしたい。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2002年06月28日|
- 企画部長 岸本高昌
- No.0005
TMO活動のすすめ
「中心市街地活性化法」が施行されて、4年が経とうとしている。本法は、中心市街地の整備改善と商業等の活性化を柱として、地域の創意工夫を活かした総合的なまちづくりを目的としており、すでに、静岡県内では、静岡市や浜松市、沼津市をはじめとして14市町で、本法律に基づいた「中心市街地活性化基本計画」が策定されている。
しかし、その実行のための組織である「TMO(Town Management Organization)」の設立は、島田市、掛川市、三島市、沼津市にとどまる。浜北市や富士宮市など、TMOの設立に取り組んでいる都市もあるものの、基本計画策定の数に比べるとまだまだ少ない。
TMOの役割は、市町村が策定した基本計画に沿いながら、中心市街地における商業等の活性化のための事業に関わり、まちづくり全体のけん引役を果たすことにある。TMOの発想の原点は、中心市街地全体を1つのショッピングセンターと見立てて、総合的なマネジメントを行うことにあり、歴史・文化施設や行政施設、情報発信施設など、商業機能のみならず、中心市街地が持つ多様な機能を相乗的に活かしていくことで、まちににぎわいを取り戻していくことにある。つまり、TMOは、一商店街だけの活性化ではなく、中心市街地全体の商業の活性化を目指しており、そのためには、商業機能の強化だけでなく、中心市街地に人を呼び込むためのさまざまな仕掛けづくりに携わっていく総合プロデューサーのようなものである。
中心市街地活性化法は、TMOを必ず設立しなければならないとしているわけではない。しかし、その役割からすれば、TMOは中心市街地ににぎわいを取り戻すためにきわめて有効な組織であることがわかる。中心市街地活性化基本計画を策定し、行政が中心となってハードの整備改善を進めるだけでは、まちがにぎやかにならないのは歴史が証明している。
現状、静岡県内の各TMOの活動は、必ずしも十分な成果を上げているとは言い難いようであるが、TMOが設立されていない都市に比べれば、まちづくりははるかに進んでいるといえる。魅力的な中心市街地の存在は、その都市全体の魅力アップにもつながり、本格化する都市間競争の生き残りに向けた重要な要素の一つでもある。TMOの設立に向けた一層の取組みを期待したい。
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2002年04月19日|
- 企画部長 岸本高昌
- 研究員 海野覚
- 研究員 後藤淳一
- 研究員 高橋晴美
- 研究員 勝見政律
- 研究員 植松紘史
- 研究員 青嶋一浩
- 研究員 大石彰男
- 研究員 田原 真一
- 研究員 齋藤衛
- 研究員 増田知臣
- 研究部長 大石人士
- 研究部副部長 望月毅
- 主任研究員 塩野敏晴
- 主任研究員 玉置実
- 主任研究員 川島康明
- 主任研究員 大石真裕
- 主任研究員 長村敏孝
- 主任研究員 冨田洋一
- 常務理事 高橋節郎
- 専務理事 中嶋壽志
- 調査部長 鈴木宏和
- 特任部長 内野孝宏
- 女性の就業促進のために一層の意識改革を
- 大型専門店の行方
- 飽和状態にある静岡県の小売商業 ―量から質への転換で商業力のアップを―
- 富士山静岡空港の利活用のために広域観光・交流プログラムの策定を
- 外国人旅行者を素通りさせないために
- 静岡の食文化を地元で発信していこう
- 商店街活性化のためには小売店への地道な支援活動を
- 宿泊者増のために幅広い地域からの誘客を
- 改正まちづくり三法に思う
- 多様性の提供で活性化が期待される静岡県の小売業














