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- 企画部長 岸本高昌
- No.0308
飽和状態にある静岡県の小売商業 ―量から質への転換で商業力のアップを―
商業統計調査報告書によれば、平成19年の静岡県内小売業の年間商品販売額は11兆547億円で、平成9年からの10年間に△8.3%減少した。商店数もこの10年で△19.9%も減少したが、一方で、売り場面積は+9.4%の増加であった。
売り場面積が増加したにもかかわらず、販売額が減少しているという現象は、全国的に見られる傾向である。この10年間で、全国の小売業における売り場面積は+16.9%増えたが、年間商品販売額は△8.8%の減少となっている。
これまでは、中小商店と大型店との競争の中で、中小商店の廃業などにより商店数は減少しながらも、大型店の郊外立地により、販売額は伸びてきた。実際、平成9年対昭和63年をみると、静岡県の売り場面積は+32.9%増え、年間商品販売額も+29.3%増加した。しかし最近の状況は、売り場面積が増えても、売上は減ってしまう、つまり、大型店が出店しても、商業力アップには結びつかないという状況になっている。
これは一体どういうことなのだろうか。その大きな理由として考えられるのは、デフレの影響であろう。そして、静岡県全体の消費額を算定する元となる人口がほぼ横ばいで推移していること、また、景気低迷により家計支出額が減少していることにあるといってよいだろう。静岡県の人口は、平成9年から平成19年までの10年間に+1.2%増とほぼ横ばいであり、家計支出額を静岡市の勤労者世帯の1カ月当たりでみると、10年間で約5万円も減っている。
こうしてみると、高度成長期以来続いてきた、大型店の立地促進による販売増というわが国小売商業成長の図式が限界に来ているのではないかと考えさせられる。まちづくり3法が改正されたことで1万平方メートル以上の大型店の出店が厳しく規制されるようになったこともあり、これからは、量の拡大で販売額を増やすのではなく、質の向上に目を向けることがより重要になっていかざるを得ないように思う。
小売業界の牽引役である百貨店や総合スーパーの販売額は伸び悩み、これまで著しい成長をみせてきたコンビニエンスストアの販売額も鈍化する傾向にある。一方、家電や衣料、住居用品などの専門量販店などが消費者の支持を集めており、業態間の競争は激化している。今後は、規模の追求から、差別化による高付加価値化への転換が一層求められていくのではないかと思う。
○静岡県の小売業の推移
商店数(店) 年間商品販売額(億円) 売り場面積(千平方メートル)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平成19年 36,786 40,781 4,539
平成9年 45,921 44,488 4,148
昭和63年 51,130 34,400 3,122
資料)静岡県企画部経済統計室「商業統計調査報告書」
○静岡市1世帯当たりの1カ月間の収入と支出(勤労者世帯)
実収入(円) 消費支出(円)
――――――――――――――――――――――――
平成19年平均 540,548 307,180
平成9年平均 589,663 356,883
昭和63年平均 493,790 319,661
資料)静岡県統計協会「静岡県統計年鑑」
投稿者:企画部長 岸本高昌|投稿日:2009年07月02日|コメントを書き込む
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