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- 研究部副部長 望月毅
- No.0240
リサイクルはしない方が良い?
環境問題を背景にアメリカで小売店によるレジ袋配布の規制が始まった。米都市で初めて、サンフランシスコがレジ袋禁止の条例を制定し、布などで作られ繰り返し利用できる袋やリサイクル可能な紙袋などの提供を小売店に義務づけることとなった。
日本では、すでに数年前から、レジ袋を断わるごとにポイントが貯まるスタンプカードサービスが幅広く導入されるなど、他国に先駆けてレジ袋削減の動きが進められてきた。また、環境省でもマイバッグ(もったいないバッグ)やふろしきを持参してレジ袋を断る運動を呼びかけており、今や、レジ袋削減は、消費者がすぐに取り組める環境保護活動の象徴ともなっている。
しかし、研究者の間には省資源効果を疑問視する声もある。「リサイクルしてはいけない」、「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」などの著者、中部大学の武田邦彦教授は、数多くの著書やホームページ(http://takedanet.com/)で、環境やリサイクルの世界にまかり通る“常識”に、専門家の立場から疑問を投げかけている。
『スーパーの袋というのは石油から作られるが、石油のうちで化学的な原料になるものは少ないけれども、スーパーの袋の原料になるものは余っている』
『なんとか技術を工夫して「せめてスーパーの袋に使って貰いたい」ということで作っているのがレジ袋です。だから、「石油製品の余りもの」をできるだけスーパーのレジ袋に使うのが石油を節約する最も良い方法』
『もしもスーパーの袋がもったいないからといって全部止めてしまえば、その組成の分が余るので石油化学コンビナートでは煙突から煙を出して燃やしてしまうだろう。燃やすぐらいだったらマイバッグよりもスーパーで袋をもらった方が環境に良い』
分離工学、資源材料工学の第1人者である武田教授は、レジ袋のほかにも、「ペットボトルはリサイクルした方が良いか」、「割り箸は使わない方が良いか」、「地球温暖化によって南極の氷が溶け、海面が上昇するか」といった問に、客観的データを分りやすく解説しながら自身の考えを示しており、その多くは“常識”に対する反論で、読み物としてもとても面白い。
たとえば、『紙のリサイクルは環境を破壊している』。根拠としては、大手製紙メーカーが「古紙配合率を100%から70%に引き下げると、化石燃料使用量が10%程度減る」と公表している通り、紙のリサイクルには余計な石油・石炭が必要となる。また、紙の原料である樹木は、太陽のエネルギーから常につくられ続けており、太陽電池、風力発電、バイオマスなどと同じく、すぐに枯渇するようなものではない。だから基本的には限りある石油石炭を使って紙をリサイクルするより、自然と育った樹木を使った方が環境に良いという(ただし、武田教授が対象としているのは情報用紙(コピー用紙)から情報用紙へのリサイクルのケースであり、産業古紙などから作る古紙100%の再生トイレットペーパーは、小売価格をみてわかるようにパルプ物よりも低コストで製造され、エネルギー効率的にも優れたリサイクル製品であるといえるのではないだろうか)。
これまで、リサイクルは環境に絶対的に良いことだと思い込んでいた人にとっては、すぐには信じられない指摘の数々であり、環境保護ブームに乗って、良かれと思ってとっていた行動が、本当に正しかったかと心配になる。真に環境を保全していくためには、製造から使用、廃棄・リサイクルまでの連鎖の中で消費するエネルギーの総量や、使用をやめた場合の環境・生活・経済活動への影響など、大局的な視点から研究し、リサイクル運動を考えていくことが必要であろう。
投稿者:研究部副部長 望月毅|投稿日:2007年08月29日|
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