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  • 主席研究員 望月毅
  • No.86

巷の景気循環論「相場格言」は当たる?

今、世界は「第4次産業革命」の真っただ中と言われる。蒸気機関の発明による第1次産業革命、石油と電気を活用して大量生産が可能となった第2次産業革命、コンピュータの発達がもたらした第3次産業革命、そのコンピュータがIoTやAIの開発につながり経済社会に大きな変革をもたらすのが、第4次産業革命である。
自動車業界でも、「100 年に1度の大変革期」が到来したと言われている。電動化や自動運転技術が急速に進化し、IT企業などが続々と市場に参入してきている。
こうした大きな変化の波に直面すると、一定期間ごとに大変革が起こり好景気と不況を周期的に繰り返すという経済学説「景気循環論」が思い浮かぶ。主に企業の設備投資の更新期間をもとに約10年周期で循環するジュグラー循環。住宅や工場、商店の建物の寿命に起因して約20年周期で循環するクズネッツ循環。産業革命など技術革新が要因となって約50年周期で循環するコンドラチェフ循環が有名である。
日本でも、経験則から作られた景気循環論がある。それは、コメ相場取引から生まれた「相場格言」のうちの1つ。諸説あるが、コメ相場は、18世紀に江戸幕府公認のもと、大阪に開かれた堂島米会所において商品先物取引が行われたのが起源とされている。凶作となり秋のコメ価格の値上がりを期待すれば先物を買い、豊作で値が下がると予想すれば先物を売る。世間の景気によってもコメの価格は変動するため、中期的に相場の循環が起きることを市場関係者は体感し、現在まで残る相場格言が生まれたのである。
この格言、近年の国内景気の状況から大きく外れていないのが興味深い。循環は干支の12支、12年周期で、2016・17年は"申酉(さるとり)騒ぐ"-英国のEU離脱決定や米国トランプ大統領の誕生で保護主義の台頭が懸念され、株式市場の変動も激しかった。今年18年は"戌(いぬ)笑い"-海外情勢に不透明感はあるものの、国内経済は緩やかな回復が続いている。19年は"亥(い)固まる"-地に足をどっしり踏ん張り、景気の底固めをしていく時期か。そして20年は"子(ね)は繁栄"-東京五輪の開催年である。21年"丑(うし)つまずき"-前回の東京五輪の後も短期的に証券不況に陥っており、オリンピック準備で頑張りすぎて少し力が抜けそうで、ここまでは「予言」が当たる可能性がありそうだと感じさせる。
ただし、相場格言が生まれたのは江戸の鎖国時代であり、海外経済、外国為替相場は関係なかった。今は、海外との関係抜きに経済は成り立たず、為替相場、TPPや米国の輸入関税の動向、原油価格、世界の技術進歩などの変化から目が離せない。さまざまな経験を積み重ねながら、「予言」も大きく変わっていくのかもしれない。

投稿者:主席研究員 望月毅|投稿日:2018年08月03日|

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