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- 主任研究員 長村敏孝
- No.0243
上海の日本料理店にCSの原点を見た
私事で恐縮であるが、小職は2002年から2005年までの3年間、静岡銀行の上海駐在員事務所に在籍していた。上海には、現在日本人駐在員が多く、出張者や旅行者を含めると常時、7万人もの日本人がいると言われている。そうした背景もあり、ここ数年で日本料理店が急増し、今では200から300もの店が存在すると言われている。上海に駐在していた頃は、「毎日、中華料理ばかりでよく飽きないね。」と言われたものだが、上海で(他の都市でもそうであるが)中華料理ばかり食べることのできる日本人はまずいないだろう。そういう訳で、日本料理屋にもお世話にならざるを得ないのだが、ここで忘れがたい一軒の店を紹介したい。
上海での駐在経験のある方なら誰でも知っているその店であるが、とにかく、いつ行っても客があふれんばかりであり、容易に空席を発見できたのは、2005年4月の反日デモ直後のほんの一時期だったと記憶している。
なぜ、その店はそれほど流行っているのか?まず、一度来店すれば、次に来たときには客の名前を覚えていて、呼びかけてくれる。日本で同じ事をされれば、少々鬱陶しさを感じることにもなろうが、なぜか海外ではこれがうれしいものである。客の名前を覚える秘訣は、常にメモ帳を携帯し、客の名前と特徴を記入し、その情報を店員同士で共有することだそうだ。さすがに、以前太った友人を連れて行った時に、メモ帳に「胖」(発音は「パン」、中国語で“太っている”の意)と記入しているのを見た時は吹き出しそうになったが・・・。また、それだけでなく、トイレに行って戻ってくると、「お帰りなさい。」と言ってくれるし、もずく酢を注文すると、「うずらの卵は入れますか?」と聞いてくるし、さらに、ちょっと常連になると、「いつも来ていただいてますのでサービスです。」などと言って活け造りを無料で進呈してくれるなど、枚挙にいとまがない。とにかく、かゆいところ、いや、かゆくないところにも手が届くのである。
聞いた話によれば、接客マニュアルがかなり細かく作られているということである。日本でマニュアルどおりといえば、「○○でよろしかったですか?」などといった変わった?日本語に代表される、きわめて無機的なものを連想してしまうのであるが、そこではマニュアルに則って接客が行われているものの、無機質な感じはなく、笑顔や、ひとつひとつの挨拶や声掛け(もちろん日本語)に心が込められており、フェイス トゥ フェイス(Face to face)、さらには、ハート トゥ ハート(Heart to heart)が存在しているのである。確かに、従業員(ほとんどが20歳前後の女性)は、内陸部の貧しい地方から来ているケースが多く、より高い収入を得るために、ウェイトレスからマネージャークラス、幹部クラス、という具合に昇級していくには、たくさんの客にファンになってもらう必要があることも事実であるが、そこでは、まさに、CS(顧客満足)の原点とも言えるべきものを見ることができるのである。ただ、こうしたサービスもあって、羽目を外しすぎてしまう日本人客が多いことも事実である。「お客様は神様」とは言うものの、できれば行儀のよい神様でありたいものである。
投稿者:主任研究員 長村敏孝|投稿日:2007年09月26日|
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