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- 主任研究員 長村敏孝
- No.0195
中国の環境保護に対する取組み
2005年2月に京都議定書が発効となり、日本が、2008年から2012年の間に温暖化ガスの排出量を1990年比で6%削減する義務を負うこととなったことは周知の事実であるが、日本の隣国である中国は、発展途上国とみなされたため同議定書による排出基準の遵守義務は課せられなかったことはあまり知られていない。ところが、中国は近年の急激な経済成長に伴い、二酸化炭素排出量は今や米国に次いで世界第2位(割合にして12%)となっており、水質汚濁や大気汚染、工業廃棄物の急増や砂漠化の拡大など、深刻な環境汚染が進行し、昨年は、環境汚染に関して5万件もの紛争事件があったといわれている。
中国では、上海市でもっとも早く環境保護に対する本格的な取組みが開始された。これは、同市には早くから外資企業が多く進出しており、先進諸国の影響を受けやすい土壌があることから、環境保護の概念が早くもたらされたためであろう。同市では2000年から、2度の環境3カ年計画(第1次:2000-2002年、第2次:2003-2005年)により、環境保護のために合計700億人民元(約9,800億円)が投じられた。環境保全型ゴミ処理発電所や汚水処理工場の建設などの大規模なプロジェクトに加え、市街地の路上ではリサイクル用のゴミ箱が設置され、また、上海市が独自で作成した理科の教科書には環境問題に多くのページが割かれるなど、いたるところで環境保護に対する取組みや意識の高まりを垣間見ることができるようになった。さらに、今年から始まった第3次環境3カ年計画においても、合計400億元(5,600億円)が投入される予定である。すでに1月から、EUで適用されている排ガス基準「ユーロ1」に達していない自動車の高架道路への進入が制限されたほか、ごみ問題の解決のため、化粧品や食品等の包装簡素化を進めるなど、環境保護への取組みを今後もさらに強化していく方針である。
このような上海市の取組みを媒体として、国家レベルにおいても環境保護の概念がもたらされたこともあり、中国政府は環境保護に向けた本格的な取組みに着手すべく、今年2月に第11次5カ年計画に基づく「環境保護強化に関する決定」を公布した。これは、水質汚染、大気汚染、土壌汚染などを重点項目とし、5から15年間で改善していく計画を定めたものである。すでに、北京市には水素を利用した燃料電池で走行する路線バスが登場するなど、環境保護に向けた動きが見られ始めている。そのほか、日本政府が中国政府に対し、省エネ・環境保護における人材育成などを協力していくことに合意したほか、民間レベルでも、日系AV機器メーカーの中国現地法人が、環境問題に関心を持つ中国の高校生を日本に招待し、家庭におけるごみ処理や節水や、電子製品のリサイクル施設の見学などを体験するプログラムを今夏に計画するなど、国際的な提携・協力も見られるようになった。こうした中、今後ますます、2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博を見据えた、中国の環境保護に向けた動きが注目される。
投稿者:主任研究員 長村敏孝|投稿日:2006年09月06日|
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