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  • 主任研究員 塩野敏晴
  • No.0350

生物多様性の保全に向けて「COP10」開幕

 10月11日より、「COP10」(生物多様性条約第10回締約国会議)が名古屋で開催されている。生物多様性の保全に向けて、遺伝子組み換えに関する国際ルールなどが話し合われる。生物多様性とは、自然環境は様々な生物のバランスにより環境が保たれており、一部のバランスが崩れただけで自然環境全体に大きなダメージをもたらす、ということである。

 生態系の破壊による環境被害の例は数多く、ブラックバスなど外来生物による在来種の食害問題が代表的だが、この他にも、全国各地に広がる、増えすぎたシカによる被害も、天敵であるオオカミを絶滅させたことが要因の一つであるとも言われている。また、沖縄や奄美大島では、ハブ駆除の切り札として導入されたマングースが予想に反してハブは食わず、ヤンバルクイナなど希少動物を襲うことが明らかになり、現在はマングース自身が駆除の対象になっている。県内では、全国有数のトンボの生息地である磐田市桶ヶ谷沼で、アメリカザリガニの増加による被害でトンボの数が減少している例がある。これらの事態は、いずれも人間の都合で生態系に手が加えられた結果引き起こされたものだが、当初は環境全体に与える2次的な悪影響までは想定されていなかったに違いない。

 ところで、環境問題に関して、「地球にやさしい」というフレーズが合言葉のように使われているが、私は好きではない。無論、環境保全に反対ということではなく、人間が地球を守ってあげると言わんばかりのこの標語が、逆に地球環境に対する人間の驕りを現しているようにも思えるからである。
「地球にやさしい」とは、地球のためではなく人間自身が「生きていくために必要な環境にやさしい」ということであり、大型動物から虫や微生物に至るまで、環境の構成員全体に配慮しながら、人間だけが快適性を追求するのではなく、我慢するところは我慢しつつ、知恵を出して人間の存続に必要な生態系を保全していく、ということであろう。

 地球が創り出してきた何億年にもわたる生物多様性のバランスに対して、人間の知る生物や環境の知識はたかが知れている。「COP10」では、かつて当地で開催された「愛・地球博」のテーマでもあった「自然の叡智」を世界各地から持ち寄って、人間が地球上で永続的に生きていける環境を維持する方策を編み出すきっかけになることを願う。

投稿者:主任研究員 塩野敏晴|投稿日:2010年10月14日|コメントを書き込む

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