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  • 主任研究員 塩野敏晴
  • No.0059

政令指定都市化に伴う変化は「拡大」というよりも「区分」

 平成15年4月1日、旧静岡市と旧清水市は合併し、新しい「静岡市」が誕生した。2年後の政令指定都市への移行に向けて、静岡市行政区画等審議会も開催され、旧静岡市域を南北2区、旧清水市域を1区とする3区案で大筋合意した模様である。

 先日、合併および政令指定都市化では「先輩格」のさいたま市を訪ねた。さいたま市の場合は、旧浦和市と旧大宮市が4区ずつ、旧与野市を1区とする9区に区分された。区名の選定に際しては、まず自由回答で区名案を募り、次に上位3案を含む6案の中から区名を選択してもらうという2段階方式で市民の意見を吸い上げたようだが、市民からの投票結果をみると、いずれの区も旧市名を用いた区名が1位になるなど、地名に対する捨て難い愛着がうかがわれる。結局さいたま市では、「『旧市名+方角』の区名を使わない」「区全体の合意が得にくい特定地域の名称は除外」「簡素さということから、名称は区を入れて3文字以内」という方針が打ち出され、旧市名を用いたものは「大宮区」「浦和区」だけ、また旧市名以外で唯一地名を用いた「見沼区」に関しては、「『沼』という語感が悪い」「区域と地名とが合致していない」といった反発も多かったようである。
 合併により新しい都市づくりを進める行政側からすれば、「旧市名にこだわるべきではない」という考えが先立つが、住民にとっては、自分の属する地域名や住所がどうなるかは、最大の関心事であり、最もこだわりたい事象であろう。

 さいたま市では、今後、市民の行政サービスがそれぞれの区役所で行われるようになるだけではなく、イベントなどによる地域振興においても、全市的なものよりも区単位での開催が主体になるとのことである。合併といえば「規模の拡大」に専ら注目が集まりがちであるが、政令指定都市化に関しては、むしろ「区分されること」に大きな意義があるといえそうである。市民の帰属意識も従来の「市」から「区」へと次第に変わっていくであろう。区名はその象徴となる。

 静岡市では、今回の合併により、旧清水市は市名を失い、住所表示も変更になった。一方、旧静岡市の住民にとっては、現状では「何も変わっていない」というのが実感であろう。しかし、政令指定都市移行後は、単独1区になりそうな旧清水市よりも、2区以上に区分されることが確実な旧静岡市側に「変化」の実感が湧いてくることになりそうである。

投稿者:主任研究員 塩野敏晴|投稿日:2003年05月14日|

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