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  • 主任研究員 塩野敏晴
  • No.0239

しのびよる地球温暖化の影

 厳しい暑さが続いている。一般的に、景気動向の面では、「夏は暑い方がプラスに作用する」とされている。当所では、SERIまんすりー8・9月号の特集で、「異常気象と静岡県経済」と題し、夏と冬の気温の変動が、県内産業、経済にもたらす影響について調査したが、総じて見ると「夏は暑く、冬は寒い方が好ましい」という結果になった。具体的には、夏は暑い方が衣料品や飲料、エアコンなどの季節商品が動き、さらに運輸や製紙など、これに関連した産業の需要が増えるという構図である。ただし、静岡県では、気象の変動によりもたらされる影響は思ったほど大きくはなく、夏冬の気象に対する企業の意向も、「平年並みがよい」あるいは「気象はとくに関係ない」という回答が7割を占めていた。

 ところで、過去数十年分の気象データを検証すると、地球温暖化の傾向を反映して、平均気温は長期的にじわりじわりと上昇傾向にあるようで、「暑い夏」は、異常というより恒常的な現象になりつつある。先日も、岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で、70年以上も破られなかった国内最高気温の記録を更新してしまった。東京では、都市化によるいわゆる「ヒートアイランド現象」が温暖化に拍車をかけ、この100年間で平均気温が3℃も上昇したという。

 平均気温の上昇による産業面での影響は、当面は大きくはないようだが、われわれの生活環境には少しずつ影響を及ぼし始めているはずだ。たとえば、梅雨入り梅雨明け時期の不明確さ、夜通し鳴くセミ、「霜柱をみかけなくなった」など、必ずしも温暖化による影響とは限らないが、昔の記憶と比較して、生活環境の微妙な変化を感じている人も多いのではないだろうか。この程度の変化では実害をほとんど伴わないため、一般消費者のレベルで危機感を持っている人は少ないだろう。しかし、世界レベルでは、地球温暖化による影響として、砂漠化や洪水被害の増大、海面の上昇による国土の消失の危機なども懸念されている。国内でも、このところの猛暑による熱中症患者の増加が報じられているが、この他にも温暖化による長期的な影響として、高潮被害や砂浜の消失、伝染病の流行などのリスクが指摘されている。
 地球温暖化防止、すなわち温室効果ガスの削減策として、消費者個人でできることは限りがあるが、一人ひとりの積み重ねが大きな成果にもつながる。「ゆでがえる」にならないように、今のうちから、日常生活の中で少しでも節約するという意識を身につけておきたい。

投稿者:主任研究員 塩野敏晴|投稿日:2007年08月27日|

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