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- 主任研究員 塩野敏晴
- No.0258
地方分権はスムーズな権限移譲から
ここ数年で全国的に「平成の大合併」が進展、静岡県では74あった市町村数は42となり、2つの政令指定都市が誕生した。このように、市町村合併を推進する背景には、少子高齢化の進展がある。
すでにわが国は、人口減少社会を迎えており、今後、経済規模は縮小する一方、高齢化の進展により、社会保障関連費が増大する懸念もある。そこで、行財政の効率化を図るべく、市町村合併により基礎自治体の財政基盤を強化すると同時に、地方でできることは地方で行うという視点から、地方分権が推進され、県から市町への権限移譲が進展している。その象徴的存在といえるのが政令指定都市であり、県内で誕生した2市‐静岡市、浜松市とも、政令市への移行に際して、国道管理、児童相談所設置など、静岡県より、大幅な行政事務の移譲を受けている。
ところが、先日、静岡県の旅券申請・交付業務を各市町に移譲するという方針に対し、政令市である静岡・浜松両市が受け入れを拒否するという事態が起きた。県から市町への権限移譲という行政改革の流れに逆行する対応だが、「移譲交付金では必要経費を賄えない」「交付日数が現行より余分にかかる」という両市の主張にも一理あるように思える。
両市への移譲が不調に終わった背景としては、申請手続きを市に移譲しても偽造防止等の必要上、旅券の作成業務は県で行わざるを得ず、全面的な権限移譲ではないところに要因があるようだ。地方分権に向けての行政改革は、表面上のみ権限移譲されても「二重行政の解消」や「手続きの簡素化」といった行政効率化の内容が伴っていなければ地方にとって必ずしもメリットばかりではなく、権限移譲はスムーズに進展しないという事例であるといえる。
今後も市町村合併や道州制導入も検討されるなど、地方分権が推進されていく中で、国から都道府県、都道府県から市町村へと行政事務を権限移譲する際に、このような事態が起きることも想定される。
地方分権の主要な目的の一つが行政事務の効率化にあることからも、権限移譲の際には、移譲する側、受ける側双方の協議により、最も効率的な手段を見つけ出していくことが必要であると思う。
投稿者:主任研究員 塩野敏晴|投稿日:2008年02月14日|
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