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- 主任研究員 塩野敏晴
- No.0178
「平成の大合併」と中山間地の行く末
「平成の大合併」により、全国各地で巨大な面積を有する市が誕生している。平成15年4月に旧静岡・清水両市の合併により誕生した新「静岡市」は、面積1,374平方キロメートルと、当時は、福島県いわき市を抜いて全国一の広さを持つ市であった。しかし、静岡市の日本一の座は2年と続かず、今年2月に合併した岐阜県高山市は、2,179平方キロメートルと東京都にほぼ匹敵する面積に至った。さらに、今年7月に誕生した新「浜松市」も1,511平方キロメートルと静岡市を抜いて、高山市に次ぐ全国第2の面積である。こうした合併により誕生した巨大市に共通する課題は、広大化した市域全体に、いかに効率的な行政運営を行うか、という点であろう。とりわけ、過疎地、中山間地対策の問題が重くのしかかってくると思われる。
先日、市町村合併をテーマとするシンポジウムで、合併により広大な中山間地を抱えることになった浜松市に絡めて、あるパネリストが次のような意味の発言をした。「なぜ山間地振興を図る必要があるのか。過疎に悩む山間町村が政令指定都市になるのだから、それでよいではないか」と。北遠地域に住む人が聞いたら怒りそうな発言だが、ある意味では的を射ている。少なくとも合併による行財政改革を推進する政府の思惑はここにある。「今の財政状況が続けば過疎町村まではとても手が回らないから、後は市で面倒を見てくれ」ということである。その背景には、少子高齢化に伴う居住人口の減少により、従来通りの行政運営が非常に非効率になりつつある、という現実がある。
最近、県内の路線バスで、多数の路線で運行中断が恒常的に行われていた、という不正が発覚した。無論、補助金まで投入して維持している公共交通機関の運行を、現場の判断で勝手に打ち切ってしまうのは、言語道断である。ただし、裏を返せば、それほど多くの路線で、乗客が誰もいないような非効率な運行を継続している、というのが実態であろう。
過疎化によるこうした事態は、今後、さらに加速していくことが予想されるだけに、行政側の改革だけでなく、住民側にも地域全体の生活水準の維持のために何をなすべきかとの意識改革が求められているのではなかろうか。
中山間地にとって、少子化による居住人口の減少は避けられない現実ではあろうが、現代はIT化の進展で、情報に関しては全国どこでも同じものが手に入る時代である。都市部に居住する、現役をリタイヤした人、あるいは通勤の必要のない、いわゆる在宅ワーカーと呼ばれる人の中には、居住環境は中山間地の豊かな自然の中がよい(公共サービス等の不便さは納得の上、多少の自腹を切ってでも暮らしたい)、と考える人もいるかもしれない。そうした人たちにも門戸を開いた上で、住民参加型の地方自治が実現できないものかと思う。
投稿者:主任研究員 塩野敏晴|投稿日:2005年11月24日|
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