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- 主任研究員 川島康明
- No.0151
震災対策の値段
このところわが国では、新潟県中越地震、福岡県西方沖地震と大規模な地震が続発している。その被災状況を見て、もし東海地震が起きたらわが社は大丈夫だろうかと不安を持つ経営者も多いだろう。ただし、いざ震災対策をたてようと考えると、どの程度のコストがかかるのか、今ひとつわかりずらい。そこで、中小企業でも講じておくべき主な震災対策の“値段”について考えてみた。
まず、事務所や工場の耐震工事である。総じて中小企業の経営環境は厳しい状況にあるが、万が一、“資金がない”から対策を施さず、建物が倒壊して従業員や顧客が死亡すれば、こと、地震の切迫性が長年説かれている静岡県では、経営責任が問われることは避けられない。そのコストについてだが、工事に先立つ耐震診断は、鉄筋コンクリート造、1,000平方メートルの建物で100から120万円といったところ(診断のレベル、建物の図面の有無や建坪、構造等によって金額は大きく変わる)。この費用については、行政の助成を受けられることもあるので地元の役所等に確認しておくのが賢明である。その結果、改修を要するとなれば工事にかかるわけだが、実際の工事費は、鉄筋コンクリート造で(柱と柱で挟まれた)1壁当たり250?400万円、1,000平方メートルの建物なら6,000万円あたりが一応の目安となる。ただし、建物の具合によっては補強部分が増えたり、制震対策を採用するなどで、費用が数倍に膨らむことも少なくない。このコストを高いと見るか妥当とみるかは経営上の判断となるが、いずれにせよ、就業中に従業員や顧客が集中する建物については、優先的に耐震化していくことが経営者の義務といえる。
次に、電子データのバックアップである。顧客や製品、生産に関わる電子データは、社内のコンピュータやサーバー自体が破壊されれば、その復旧に膨大な時間とコストがかかる。また、震災時、倒壊した建物からデータを持ち出せない事態が起こる可能性も高い。その対策コストであるが、たとえば、富士通が提供するサービスでは、ホームページやIT環境の維持管理も含めて年額150?200万円(データは千葉県館林市に蓄積される)。価格志向であれば、日本ヒューレットパッカードが中小企業向けに、1GB当たり9,800円でバックアップサービスを提供している。データの重要度などに応じて、こうしたサービスの利用を検討してみるのも良い。
3つめが、安否確認システムである。震災直後に従業員の安否確認をスムーズに行えるかどうかは、事業復旧に大きな影響を与える。そのためのサービスが、大手警備会社などから提供されており、サービス内容によって従業員1,000人規模で年間60から200万円。平時の連絡網としても使えるとはいえ割高だと考えるなら、NTTが提供する災害用伝言ダイヤル「171」を活用するのも手である。小規模な企業であれば、震災時、従業員に「171」で安否に関するメッセージを登録してもらうようにし、あらかじめ決めておいた担当者が一括してチェックする社内体制を整えておけば、十分な効果が期待できる。なお、毎月1日には、このサービスを体験利用できるようになっているので、会社として定期的に運用具合を確認することをお勧めしたい。
このほかにも、機械設備や事務機器の固定やガラスの飛散防止、水・食料の備蓄、緊急資金調達手段の確保、顧客対策や広報対策まで、震災対策は多岐にわたるが、今回あげた対策は経営上最低限のラインととらえ、中小企業でも早急に実施されることが望まれるところである。
投稿者:主任研究員 川島康明|投稿日:2005年04月26日|
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