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- 主任研究員 川島康明
- No.0220
「満足」するとはどういうことか
最近は、CS(カスタマー・サティスファクション:顧客満足)活動の一環として、顧客満足度アンケートを定期的に実施している企業が増えているようだ。当所でも、会員の皆さんにアンケートやモニターをお願いして、皆さんの意見を出版物の企画やサービスに生かそうと、所員一同、日々知恵を絞っている。
さて、アンケートでは、「とても満足」「満足」「普通」「不満」「とても不満」といった選択肢を設けて○をつけてもらうわけだが、そもそも、“満足”するということはどういうことなのか、について考えてみる。
ちなみに、辞典では、“満足”とは「心にかなって不平不満のないこと。心が満ち足りること」と載っている。思わず、“不平不満のない”ってそれはそうだろう。“満ち足りる”って訓読みしただけではないか、とつっこみたくなる。
では、自分の経験を振り返ってみると、たとえば映画。「超大作!史上空前の○○」と大々的に宣伝されていて、それほどすごい映画なら見てみようと、ワクワクしながら映画館に足を運んだ。しかし、見終わった時には、「・・・悪くないけど、そんなによかったかな・・・」というすっきりしない気分を味わったことがある。逆に、見たい映画が満席で立ち見もできない。だが、しかたなく入った隣の館で上映されていたマイナーな作品がとても感動的で、非常に満足したということもある。そのほかにも、食べ物や飲み物、飲食店や小売店、大型家電や乗用車まで、皆さんにもきっと、こうした経験があるのではないだろうか。
何かを買おうという時、その商品やサービスの“値段”はたしかに重要な検討材料だ。とはいえ、高いから満足するかというと、そうでもない。安いから満足しないかというと、そうでもない。結局、私たちは、その商品やサービスに対して、自らが抱いている“期待”値と、実際に使った時の“感動”値を比べて、「期待<感動」であれば満足し、「期待>感動」ならば不満になる。その差が大きいほど、満足・不満度は高くなるということらしい。
ということは、「顧客満足度」を高める方向は大きく2つある。
1つは“感動”値を大きくすること。これは、大小問わずあらゆる企業が新商品の開発や接客態度の向上などを通じて目指しているところで、ビジネスの正道といえるだろう。
もう1つは、“期待”値を小さくするということだ。もちろん、消費者は何かを期待してモノやサービスを買うわけだから、期待自体を生み出せなければ商売にはならない。ここで言いたいのは、「過度な期待をさせない」ことが満足度を高める方策になりうるということである。たとえば、販売店が商品のリスクを説明せず、メリットだけを誇張した売り方をしていれば、消費者の“期待”が不自然に高まる一方で、いざリスクが顕在化すれば、“感動”はマイナス方向に大きくふれ、結果として購入者の満足度はガタっと低下するというわけだ。よく耳にする「説明責任」の重要性は、こうした観点からも説明できるだろう。
“期待”と“感動”・・・。人によって、あるいはライフステージによって、クルクルと変わるこうした心理的要因をもとにした“満足”に関わる分析、企業活動への応用研究は、まだまだ発展途上の段階にある。だからこそ、調査研究に携わる1人として、非常に惹かれる研究分野でもある。
投稿者:主任研究員 川島康明|投稿日:2007年01月23日|
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