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  • 主任研究員 川島康明
  • No.0194

二輪車文化の醸成に向けて

 静岡経済研究所では、県内主要産業について四半期見通しや年間展望をとりまとめて会員の皆様に提供しています。私は県西部地域に集積の厚い二輪車業界を担当しており、完成車メーカーや部品メーカーの経営者や広報担当の皆さんに、業界の現況などについて定期的にお話をうかがっています。
 現在、完成車メーカーの二輪車事業は、堅調な北米や欧州市場、好調なアジア市場に支えられて販売台数、販売金額とも前年を上回る水準で推移しています。一方、長年減少傾向が続いている国内市場は、250ccクラスのスクーターの健闘により、出荷台数で70万台の水準をかろうじて確保している状況です。業界専門紙である二輪車新聞によると、平成17年は70万6,960台で前年比+0.3%とほぼ横ばいになったようです。
 成熟化が進む国内市場は、販売台数の世界シェアでいえば2%程度に過ぎず、東南アジアやインド、中国が伸長するにつれて台数ベースでのウエートは一段と低下していくのは確実と思われます。こうした中で、今後の国内市場はどうなっていくのでしょうか。
 業界の方々とお話する中で、日本と欧米における二輪車文化の違いについてよく話題が出ます。たとえば、アメリカのハーレーダビッドソンは、バイクという枠を越えて、アメリカという国の思想、生き方を象徴するアイテムであり、高額にもかかわらず日本でもユーザーが着実に増えています。また、ドイツをはじめとしたヨーロッパでは、二輪車は大人の趣味として社会的に認知されており、親・子・孫が一緒に二輪車を楽しむ風景も多々見られるといいます。
これに対して日本では、二輪車=“危険”“暴走族”という悪いイメージのみが先行・定着してしまった感があり、二輪車の良さが社会的に理解されているとはいまだに言いがたいというのが実状です。では、こうした状況が変化していく可能性はあるのでしょうか。そのカギは、80年代のバイクブームを経験している、現在30歳代後半から40歳代前半の二輪車免許保有者にありそうです。この世代は仕事や子育てに忙しく、時間もカネも余裕がないため、二輪車を手放しているケースが多いと思われますが、仕事に一区切りがついて、子どもも成人する頃、昔の楽しみをもう一度体験してみたいと、リターンライダーとなる可能性は十分にあります。現在でも中高年層ライダー向けの雑誌が発刊されたり、中年夫婦でのツーリングの楽しさを伝えるメーカー広告などもみられるようになっていますが、免許保有者数という量の面、二輪車への愛着という質の面から考えても、15年から20年後が「日本に二輪車文化を定着させる最後のチャンス」(完成車メーカーの広報担当者)といえそうです。
 静岡県にはホンダ(本田技研工業)、ヤマハ発動機、スズキ、カワサキ(川崎重工業)という4大メーカーのうち、ヤマハとスズキが本社を構え、ホンダのメイン工場が立地する日本一の二輪車生産地です。浜松市では「バイクのふるさと浜松」と銘打ったイベントを毎年開催していますが、本県全体で二輪車文化の創造・醸成をリードしていくことが切に期待されるところです。

投稿者:主任研究員 川島康明|投稿日:2006年06月27日|

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