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  • 常務理事 高橋節郎
  • No.0142

地上デジタル放送開始が及ぼす影響

 本年6月1日より、静岡県内でもNHKと静岡放送が地上デジタル放送を開始する。ほかの民放も本年11月よりスタートすることになっている。すでにBS(衛星放送)では、2000年12月よりデジタル放送が始まっているが、地上デジタル放送は視聴者の数がBSに比べて圧倒的に多いため、その影響は相当大きいと予想される。

 一般に言われる地上デジタル放送のメリットは、高画質・高音質、災害情報など地域の情報をきめ細かく伝えるデータ放送、視聴者も番組に参加できる双方向機能、携帯電話等の移動体向け放送、多チャンネル放送などであるが、そもそもアナログ放送からデジタル放送に変更する理由は、電波の有効利用という国策によるものである。すなわち、現在のアナログ放送で使用しているUHF帯域を圧縮することにより、残りの帯域を通信など他の電波利用に振り向けるためである。

 地上デジタル放送を見るためには、地上デジタル放送対応テレビを購入するか、現在のアナログテレビに、専用のデジタルチューナーを取付ける必要がある。また、同放送はUHFの電波を使うため、UHFアンテナが必要である。デジタル放送が始まっても、当面アナログ放送が同じ編成で行なわれるため視聴者にとって支障はないが、最終的にアナログ放送は2011年7月14日をもって終了する。それまで残り6年半と迫っているため、消費者が今後テレビを新しく購入したり買い換える際には、こうした事情を十分念頭において対応することが重要である。ちなみに総務省による地上デジタル放送の世帯普及目標は、ドイツワールドカップサッカーが開催される2006年に10百万世帯、北京オリンピックが開催される2008年に24百万世帯、そしてアナログ放送が終了する2011年には全世帯である48百万世帯となることを期待している。

 放送局にとって、デジタル放送開始に伴う投資費用(送信所・中継局設置、番組製作費用等)は非常に大きい。さらに、今後アナログ放送廃止に向けたスケジュール等について、消費者に十分知らしめる必要があるほか、デジタル放送のメリットを活かした上で、消費者のニーズにマッチするよう番組(コンテンツ)を充実させるなど、企業としての真価を問われることになる。

 一方、これらをほかの産業界の立場からみると、大分様相が異なってくる。将来的にテレビはありとあらゆるデジタル家電と結びつき、また通信とも結合して家庭内の総合情報端末となることが予想されている。そしてテレビは「見るもの」から「使って楽しむもの」に変わり、まさに娯楽の王様となろう。政府のU-Japan構想においても、「デジタルテレビはIT社会のゲートウェイ(出入り口)」とされ、デジタル放送をユビキタス社会の中核と位置付けている。このように地上デジタル放送は、テレビを通じて我々の生活全体を変えていくことになるため、関連業界を中心に新たなビジネスチャンスが広がっていくものと期待されている。

 こうした将来像から考えると、一般の消費者にとっても、今まで以上に各人の興味の範囲や関心といった意識の持ち方次第で、デジタルディバイド(情報格差)が発生するようになり、日常の生活様式や人生の楽しみ方も個人ごとに大きく異なっていくことになろう。その意味で、今後は従来以上に、自分の人生は自分で切り開いていくことの重要性を認識することが大切といえよう。

投稿者:常務理事 高橋節郎|投稿日:2005年02月10日|

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