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2014年 金融市場の展望

1.注目材料
(1) 米国のテーパリング(量的金融緩和の縮小)
 2014年の世界の金融市場の動向を左右する最大の材料は、FRB(米国連邦準備銀行)によるテーパリングであろう。市場参加者の大多数は、FRBがテーパリングを早晩開始することについては既に織り込んでいるが、リーマン・ショック以降続けられてきた米国史上最大規模の金融緩和が、転換点を迎えるという象徴的な出来事に、虎視眈々と収益チャンスを見出そうとしている。そのためにテーパリングが実体経済に与える影響よりも、単なる「市場を動かす材料」として独り歩きし、市場参加の思惑がぶつかり合って、短期的には相場が大きく変動する可能性がある。
 現在の金融市場は、米国を始め先進国の金融緩和に支えられた流動性相場の様相が強いため、テーパリングの背景にある米国経済の回復という好材料が影をひそめ、流動性の縮小という悪材料が強調されかねない。金融市場を納得させながら金融緩和の縮小を進めていかなければならないFRBは、市場との対話能力を試されそうである。

(2) 日銀の追加金融緩和
 米国が金融緩和縮小に向かう一方で、市場では日銀の追加金融緩和の可能性をうかがう動きが強まりそうである。アベノミクスの第三の矢と言われている「成長戦略」の実効性に遅れが出て来ると、日銀は「2年で2%の物価上昇率」という目標達成のため、一段の金融緩和に追い込まれかねないと市場は予想している。世界の金融市場に対し流動性を供給する主役が、米国から日本に移って行けば、特に為替市場では「ドル高、円安」という流れが強くなる可能性が高い。もしも日銀の行動に躊躇が見られれば、「日銀は目標達成のためにはあらゆる手段を行使する」と認識している金融市場は、ネガティブな反応をするだろう。

(3) 新興国のジレンマ
 米国の金融緩和縮小による「ドル高=新興国通貨安」の進行は、成長一服感が出ている新興国にとっては、金融政策の自由度を狭めるという点で厄介な問題でもある。「通貨安によるインフレを抑制→金融引き締め」と「景気刺激→金融緩和」というトレードオフの難題に、どちらを優先させるのか政策の方向性を金融市場が問いただす場面が出て来るだろう。また新興国の中でも資源に対する依存度が高い国にとっては、ドル高は資源価格安と自国のインフレリスクを高めるというダブルパンチにもなりかねず、金融市場の警戒感も強まっている。

2.市場の動向
(1) 為替動向
 米ドルのレパトリ(海外に投資していた資金を本国に戻す)に伴う「米ドル高」が進む可能性が高い。リーマン・ショック以降の世界的な金融緩和の中で、FRBは最も多額の資金を市場に投入しており、現在FRBの資産は4兆ドル(約400兆円)規模と、リーマン・ショック前と比べて約4倍の水準に膨れ上がっている。市場に出回った資金の多くは、投資資金として米国外に流出しており、FRBが市場に放出した資金を回収し始めれば、為替市場には米ドル買いの大きな圧力がかかってくる。
 2014年の世界経済は穏やかな回復が見込まれており、世界的なリスク資産選好の流れが続きそうだ。市場参加者の資金調達通貨は金融緩和縮小の「米ドル」から、金融緩和拡大の「日本円」へと比重が移っていくことが予想され、いわゆる「円キャリー取引」の規模が拡大し、予想外の「円安」が進む可能性もある。

(2) 金利動向
 デフレ脱却までの金融緩和をコミットしている日本では、短期、長期金利ともに低位安定が続きそうである。インフレ懸念が薄れてきた欧州も、景気対策のため金融緩和を維持する見込みであり、南欧諸国の財政問題も落ち着いているため、短期、長期金利ともに低位安定が予想される。テーパリングが予想される米国であるが、ゼロ金利政策は維持される見込みであり、イールドカーブのスティープニング(長短金利差の拡大)が進みそうである。通貨安によるインフレ進行を懸念する新興国では、金融引き締めが優先されそうであるが、海外からの投資資金が大量に流入している債券市場では、為替相場を睨みながら不安定な動きが予想される。

(3) 株式動向
 世界的にリスク資産を選好する流れが続きそうであるが、経済成長に一服感が出ている新興国よりも、景気回復局面に入った先進国に対する関心が高まりそうである。特に米国ではリーマン・ショック以降の景気回復を評価する動きが続いており、今年も世界の株式市場を牽引して行きそうである。
 日本では円安による企業収益回復と脱デフレ期待が根強いため堅調な展開が予想されるが、海外投資家主導の売買には不安定さも残りそうである。国内投資家による債券投資からの資金シフトや、年金資金など海外の長期資金の流入が強まれば安定感のある上昇が期待できる。

投稿者:静岡経済研究所スタッフ|投稿日:2014/01/06|

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