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インフレ経済ではインフレ率控除後の価値が重要

実質金利と名目金利の違い
 日常生活の中で、われわれが目にする金利はすべて「名目金利」と呼ばれるものである。そして金利が高いのか低いのか頭の中で考える時も、大多数の人は名目金利を基準に判断する。経済学においては名目金利に対して「実質金利」という概念があるが、実体経済への影響は、この実質金利で判断すべきという考えが一般的である。
 実質金利とは名目金利からインフレ率を差し引いたものであり、例えば「名目金利=2%」でもインフレ率が2%であれば、実質金利は0%(2%―2%=0%)になる。これは1年後には2%の金利が付いて「元本+利息」が102になっても、物価が2%上昇して102になっていれば、1年前と同じものしか買えないことになり、金利の価値は実質的には0%という意味を持つ。言い換えれば名目金利とは見かけの金利であり、実質金利こそが本当の金利とも言える。

実質金利で見ると判断が違ってくる
 インフレ率が▲1%の時に新車をローンで購入する場合、「オートローン金利1%」の実質金利は2%になる(1%―(▲1%)=2%)。「今、新車を購入できるのであれば、1%の金利負担は高くはない」と借入れをするのは、名目金利を基準にしている感覚である。逆にインフレ率2%の時の「オートローン金利3%」の実質金利は1%になる(3%―2%=1%)。「3%の金利負担をしてまで購入することはない」という感覚も名目金利を基準にしたものである。デフレ経済では名目金利<実質金利であるが、インフレ経済では名目金利>実質金利となる。今後、日本経済はデフレからインフレに移行していく可能性が高く、名目金利と実質金利の関係が逆転してくる。デフレ経済に慣れてしまった感覚に惑わされて、判断を間違えないよう留意が必要だ。

インフレ率を控除すると資産価値が違ってくる
 長く続いたデフレ経済のもとでは、あえて実質金利という概念を持ち出さなくても、日常生活で大きな不利益を被ることはなかった。それはインフレ率がゼロ近辺であれば名目金利≒実質金利であり、銀行や証券会社の窓口で目にする名目金利は、表示通りの価値を消費者にもたらすものだったからである。しかし、今後政府目標であるインフレ率2%が達成された時には、名目金利を基準にして判断すると大きな不利益を被るリスクが出てくる。
 例えばインフレ率2%のもとで、5年間無利息の状態で資金を寝かせておいたとすると、5年後に元本の100は確保できているが、その時物価は110に上昇しており、同じものを購入しようとしても10足りないことになる。つまり5年後の元本100は購買力で言えば10%減価しており、90の価値にしかなっていないのだ。
 金融商品の説明で出て来る「元本保証」という言葉も、インフレ経済のもとでは特に注意が必要である。元本を保証するというのは、現在の元本100を5年後に最低限100で返却するということであるが、インフレ率によって100の価値は違ってくる。5年後における100を実質的価値でみた場合、インフレ率が0%であれば100であるが、インフレ率2%であれば90になってしまっている。この種の商品は、100の払込金を5年後に100になる割引債90と、リスクの高い商品10に分割して運用し、最悪でも100が残るようにしている場合が多い。10というリスクを取るのであれば、100という多額の現金を使うよりも、当初から10のリスク商品だけを購入した方が、余分な90を使わない分だけ資金の流動性を確保する点で勝っている。心理的な錯覚に惑わされないよう、インフレ率控除後で資産価値を考えることが大切である。

今後の見通し
 本年も前半が終了し、金融市場を大きく動かすヘッジファンドの為替市場、株式市場などにおけるポジションは縮小しているようである。後半における主な材料は、米国経済の回復の強さと金融緩和縮小スケジュール、欧州のデフレ懸念と追加金融緩和、日本の成長戦略の中身と具体化スケジュールなどになろう。ポジションが軽くなり投資余力が増しているヘッジファンドは、これから後半戦に向けて新たなポジション構築を始めて来るが、米国金利上昇がシナリオの中心に据えられるだろう。
 しばらく続いていた各市場の小康状態も、投資家がポジション作りを一気に行うと一時的なオーバーシュートが起こるため、短期的には波乱が起こることも想定しておく必要がある。

投稿者:静岡経済研究所スタッフ|投稿日:2014/07/01|

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