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インフレ経済における資金運用の注意点

 アベノミクスによる金融・経済政策が効果を発揮し、米国経済を中心とする外部環境の好転も追い風となって、日本経済はデフレを脱却しつつあり、政策目標である消費者物価上昇率2%達成が現実的になってきた。一方で、日銀による異次元の金融緩和により、短期金利、長期金利は歴史的な低水準に張り付いているため、預貯金や国債などの確定利回り商品では、物価上昇分をカバーする利回りを出すのは困難な状況にある。
 インフレ経済において、保有資産の目減りを回避するには、確定利回り商品の中でも金利上昇に強い商品、元本保証はないが高収益が期待できる株式などのリスク商品、更には金融商品以外の不動産、貴金属など多種類の資産に分散投資する方法が一般的である。しかしながら、デフレ経済が長く続き、リスクテイクに慣れない一般投資家が多い中、金融商品の中にはデリバティブを内包した複雑な仕組みのものも多く、取引によっては損失が巨額になるものもある。リスクの所在、流動性の確保(現金化が容易な資産)など取引の特性をよく理解し、リスクとリターンの観点からバランスの取れた資産構成を作る必要がある。

金利上昇に強い商品、弱い商品
 金利が上昇していく局面では、普通預金など金利が変動する商品に優位性がある。市場金利の上昇に伴って金利が上がっていく特徴よりも、いつでも現金化が可能で金利の反転局面で固定金利商品への乗り換えができる点に強みがある。またインフレ経済では、市場金利の上昇に比べ資産価格や商品価格の上昇の方が大きいケースが多いため、土地や金など金融商品以外の運用は金利上昇に強いとされている。
 変動金利商品より利回りが高い定期預金や国債/社債(固定金利)など固定金利商品は、金利上昇に弱い運用である。金利上昇が続いても、満期/償還期限まで運用している資金の利回りは変わらない(固定)ため、受け取る利息が実質的に目減りしてしまうからである。

多額の資金を使わない取引
 円安が進行すると輸入物価が上昇するため、外為証拠金取引によってインフレに備える方法がある。この取引は一定の証拠金(担保)を提供すれば、資金を上回る取引が可能となるため資金的な効率は高いが、理論的な損失は無限大に近くなる取引である。例えば円安になった時に利益が得られるように、米ドルを買って円を売る取引をした場合、反対に1ドル=90円、80円と米ドル安が進んだ時、損失は巨額なものになる。証拠金取引やデリバティブ(金融派生商品)は資金効率が高く、資金の流動性を確保できるメリットがある反面、損失が巨額になるリスクがあることを十分認識する必要がある。

オプション取引
 オプション取引自体は一般投資家には馴染みがない取引であるが、円安や原油価格が上昇した時に利益が得られるようなオプション取引を内包して設計し、インフレに備える投資信託がある。オプション取引とはある資産(株式や商品など)を一定の価格で、一定の期間内に購入または売却できる権利(オプション)を売買する取引であり、権利を購入した者が売却した者に手数料を支払うことになっている。例えば現在100円の物を、1年の間にいつでも150円(権利行使価格)で購入できる権利を10円(手数料)で購入したとすると、その物が200円になった時、権利を購入した者は40円(200円―150円―10円)の利益を上げることができる。一方で権利を売却した者は同額の損失を被ることになる。
 この取引の特徴としては、オプション購入者は支払った手数料が損失の上限となる一方、利益は無限大となる。反対にオプション売却者は受け取った手数料が利益の上限となる一方、損失は無限大となる。不平等な取引のように見えるが、100円の物が1年間で150円以上になる確率が低いため、リスク/リターンの観点からは両者平等なのである。
 定期的な配当を好む個人投資家は多いが、「1ドル=80円より円高にならなければ」、「原油価格が1バレル=80ドルより下がらなければ」といった条件付きで高い利回りを保証している投資信託の中身は、オプションを売却して得た手数料を利回りとして分配しており、一方でオプションが行使されれば元本は大きく毀損することになる。
 様々なオプションを組み合わせて、リスクが少ないように錯覚させる投資信託も多いが、リスク/リターンの原理は変わらない。また権利行使価格が現在価格と大きく乖離しているとリスクが少ないような感覚になるが、本来オプションの売却者は大きなリスクを背負っていることに注意しなければならない。

今後の見通し
 米国経済の本格的な回復とこれに対応するFRB(米国連邦準備銀行)の金融緩和縮小、欧州経済の足踏みと低インフレ、これに対応するECB(欧州中央銀行)の金融緩和継続が鮮明になってきた。日本ではアベノミクス第三の矢である成長戦略の内容が明らかになった。日米欧を取り巻く経済環境の方向性が定まって来たので、今後の金融市場の動向は安定感が出て来る可能性が高い。

投稿者:静岡経済研究所スタッフ|投稿日:2014/08/01|

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