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企画調査部長 望月毅 のコラム

  • 企画調査部長 望月毅
  • No.92

"10連休"と"働き方改革"

今年のゴールデンウイーク中に、平成が終わり新しい時代が幕を開ける。新天皇の即位に伴い、祝日・休日が例年より3日増え、一般的には4月27日(土)-5月6日(月)まで10連休が予定されている。これまでにない大型連休のため、銀行窓口の混雑や、ATMの現金不足、クレジットカード等の引き落とし日の変更、金融市場の休場による相場急変 へのリスクの高まりなど、さまざまな懸念が生じている最中である。
身近な国民生活にも大きな影響が出るとみられている。製造業、金融業、行政機関の窓口などはカレンダー通りの休日をとるところが多いものの、小売業、飲食業、宿泊業などサービス業にとってはまさに書き入れ時で、従業員はフル稼働が必要となろう。入院患者を抱える病院や老人福祉施設などは年中無休で、ゴールデンウイークに休める従業者はほとんどいない。
休日出勤せざるを得ない勤労者の悩みの種の一つは、子どもの面倒をどうみるかである。従来の保育施設が休みとなれば新たな預け先を探さなければならない。学校が休みになる分、昼食の用意や日中のケアなど、子育ての負担は増大する。
2019年1月には有効求人倍率が6カ月連続1.6倍超えの1.69倍と、人手不足の状態が深刻化する静岡県。運輸業や販売、サービス、 福祉・介護関連の職業など慢性的に人手が不足している現場で働く勤労者にとって、この10連休はどのように受け止められるであろうか。少子高齢化が進む中で、高年齢者も含め、意欲のある人が幅広く労働力として活躍できる体制を作り、限られた人員でも成果を出せるよう、業務効率化や労働生産性の向上を実現するのが「働き方改革」の主目的であるが、かつてない「10連休」が、今後、働き方改革を進めていくための何らかのヒントや課題を示すモデルケースとなるように思う。
4月1日からは、この「働き方改革」関連法案が大きく動き出し、順次施行される。たとえば、年に5日の年次有給休暇の取得義務化。中小企業を含むすべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち5日については、使用者が時季を指定して取得させなければならないというルールである。使用者に「年次有給休暇管理簿」の作成が義務付けられ、有給休暇基準日や付与日数、有給休暇取得の日付等を記録しなければならなくなり、3年間の保存義務がある。企業の事務負担も生じてくるが、国際的に低い休暇消化率を引き上げて、労働者の満足度も上げていこうという方策である。
人口減少局面に突入し、労働力不足という課題が浮き彫りになった平成。そして、新しい時代の幕開けとともに動き出す働き方改革。10連休の検証とともに、"人を活かす経営・ 産業・地域の構築"について、今後深く掘り下げていきたい。

投稿者:企画調査部長 望月毅|投稿日:2019年03月28日|

  • 企画調査部長 望月毅
  • No.86

巷の景気循環論「相場格言」は当たる?

今、世界は「第4次産業革命」の真っただ中と言われる。蒸気機関の発明による第1次産業革命、石油と電気を活用して大量生産が可能となった第2次産業革命、コンピュータの発達がもたらした第3次産業革命、そのコンピュータがIoTやAIの開発につながり経済社会に大きな変革をもたらすのが、第4次産業革命である。
自動車業界でも、「100 年に1度の大変革期」が到来したと言われている。電動化や自動運転技術が急速に進化し、IT企業などが続々と市場に参入してきている。
こうした大きな変化の波に直面すると、一定期間ごとに大変革が起こり好景気と不況を周期的に繰り返すという経済学説「景気循環論」が思い浮かぶ。主に企業の設備投資の更新期間をもとに約10年周期で循環するジュグラー循環。住宅や工場、商店の建物の寿命に起因して約20年周期で循環するクズネッツ循環。産業革命など技術革新が要因となって約50年周期で循環するコンドラチェフ循環が有名である。
日本でも、経験則から作られた景気循環論がある。それは、コメ相場取引から生まれた「相場格言」のうちの1つ。諸説あるが、コメ相場は、18世紀に江戸幕府公認のもと、大阪に開かれた堂島米会所において商品先物取引が行われたのが起源とされている。凶作となり秋のコメ価格の値上がりを期待すれば先物を買い、豊作で値が下がると予想すれば先物を売る。世間の景気によってもコメの価格は変動するため、中期的に相場の循環が起きることを市場関係者は体感し、現在まで残る相場格言が生まれたのである。
この格言、近年の国内景気の状況から大きく外れていないのが興味深い。循環は干支の12支、12年周期で、2016・17年は"申酉(さるとり)騒ぐ"-英国のEU離脱決定や米国トランプ大統領の誕生で保護主義の台頭が懸念され、株式市場の変動も激しかった。今年18年は"戌(いぬ)笑い"-海外情勢に不透明感はあるものの、国内経済は緩やかな回復が続いている。19年は"亥(い)固まる"-地に足をどっしり踏ん張り、景気の底固めをしていく時期か。そして20年は"子(ね)は繁栄"-東京五輪の開催年である。21年"丑(うし)つまずき"-前回の東京五輪の後も短期的に証券不況に陥っており、オリンピック準備で頑張りすぎて少し力が抜けそうで、ここまでは「予言」が当たる可能性がありそうだと感じさせる。
ただし、相場格言が生まれたのは江戸の鎖国時代であり、海外経済、外国為替相場は関係なかった。今は、海外との関係抜きに経済は成り立たず、為替相場、TPPや米国の輸入関税の動向、原油価格、世界の技術進歩などの変化から目が離せない。さまざまな経験を積み重ねながら、「予言」も大きく変わっていくのかもしれない。

投稿者:企画調査部長 望月毅|投稿日:2018年08月03日|

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