理事長挨拶

皆様におかれましては、健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。旧年中は静岡経済研究所の活動に対し、格別のご支援とご高配をたまわり、心より御礼申し上げます。
昨年を振り返りますと、1月に就任した米国・トランプ大統領の関税政策、“令和の米騒動”に象徴される諸物価の高騰といった、まさに「米」の字に振り回された1年だったような気がします。そのため、我が国の主力である自動車産業を中心に輸出が伸び悩んだほか、物価高に伴う消費者の節約志向の高まりにより、7~9月期の実質GDPは前期比▲0.6%(年率換算▲2.3%)と6四半期ぶりのマイナス成長を記録しました。
ただし、その一方で、春闘賃上げ率が高水準であった一昨年を上回る5.25%にて決着、日経平均株価も一気に5万円台に突入するなど、一時的な調整局面はあったものの、緩やかな景気回復基調は維持されてきたものと思われます。
静岡県についても、当研究所が実施した各種調査によると、設備投資に関しては人手不足を背景に合理化・省力化投資やIT投資が高い水準で計画・実行された一方、原材料高や人件費の高騰などに価格転嫁が十分に追いつかず、収益面では厳しい状況が続いた結果、企業サイドから見た景況感はおおむね横ばい圏での推移となりました。
さて、今年の景気の行方ですが、政局や関税といった不確実要素の低減や、政府の物価高対策の進捗なども相まって、やや明るい展望が開けていくものと期待しています。
こうした中、今年はさまざまなノルム(社会通念)の転換を視野に入れておくことが重要となりそうです。大きな流れとして、人手不足や物価上昇は、今後、不可逆的なものとして捉え直すことが必要です。人口減少に歯止めがかからない状況下、高齢者や女性の労働参加率向上などによって補われてきた労働人口も、「団塊の世代」の後期高齢者到達により、いよいよ限界点が見えてきました。また、それに伴い、賃金上昇圧力や供給制約が一層強まることから物価上昇(=インフレ)も常態化し、“今が一番安い”状況に転じることを覚悟しなければなりません。
このほか、「異常」と表現されてきた酷暑や集中豪雨も、頻度の高い「通常」な気象現象となり、後戻りすることはないと思われていた自由貿易、グローバル化の流れも逆回転しつつあります。自分たちがこれまで過ごしてきた肌感覚とは違う風景や現実に、いかに早く頭を切り替えられるか、そのスピード感も問われる年になるのではないでしょうか。
今年は「丙午(ひのえうま)」の午年です。「丙」は照り輝く太陽を指し、「午」は草木の最盛期が過ぎて成長が止まり始めた状態を表すとされています。午年には株価や景気が下がっていくというジンクスがありますが、2026年が会員の皆さまにとって「天馬空を行くが如く」飛躍的な成長を遂げる1年となりますことを祈念しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
一般財団法人 静岡経済研究所
理事長 馬瀬 和人
